| メルセデスAMG C63に積まれる4気筒+プラグインハイブリッドはF1直系の素晴らしいユニットである |
フェラーリF80同様、ダウンサイジングがなかなか顧客に受け入れられないのが難点である
さて、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディといった「ジャーマンスリー」の間でも大きく異なるのがガソリンエンジンの扱い。
メルセデス・ベンツとアウディはガソリンエンジンを「消滅させる」方向にて動いており(ただし最近ではその方向に変化が生じている)、一方のBMWは「V8をラインアップから外す気はない」とコメントしているわけですね。
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メルセデス・ベンツの「V8廃止」はやはり顧客離れを招く?
そしてメルセデス・ベンツはそのハイパフォーマンスブランド「AMG」において、V8、そして直6すらも廃止する方向へと動いており、代わりに「直4+プラグインハイブリッド」をその上位モデルに導入しはじめているのですが、ちょっと前まではこの変化について「間違いではなく、顧客がちゃんとついてきている」とコメントしています。※この直4エンジン+プラグインハイブリッドは従来のV8よりもはるかに強力で、遥かに先進的で効率的である
ただ、最近になってメルセデス・ベンツはこの選択によって「顧客を失っている」とついに認め、一部の顧客は「パワー」「効率」よりも「V8にしか見られない」ある種の喜びを重視している、と言及。
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これは2023年3月からAMGを率いるマイケル・シーベが、英国の自動車雑誌「Car」のインタビューに応じコメントしたもので、さらに同氏は「メルセデスAMGがC63のV8エンジンを4気筒エンジンに切り替えたことで実際に顧客を失った」と明確に言及することに。
ただし興味深いのは「(直4へのスイッチは)それでも正しい判断だった」と述べていて、その理由は以下の通り。
「C63は当社のポートフォリオで非常に重要な車です。これまでもそうでしたし、今もそうであり、これからもそうでしょう。現在のバージョンでは、最新の技術を採用することに決めました。何か新しいものを求めていたため、F1の パワートレインを公道走行可能な車に搭載しました。当社の非常に忠実な顧客の中には、このコンセプトに少し苦労する人もいます。もちろん、V8エンジンにこだわる顧客も失ったことは間違いありませんが、このクルマは実際に運転し判断する必要があります。非常に説得力のある製品です。
この技術で当社は大きく前進しましたが、販売員や顧客にこの技術をもっと説明すべきでした。今後も説明を続け、さらに改善していきます。ドイツには”第一印象は二度とチャンスがない”という諺があります。より良い第一印象を逃してしまったかもしれませんが、機会があれば、きっとこの技術に納得していただけると思います。」
このコメントを見るに、「純粋主義者」からの反発にもかかわらずメルセデスAMGが「直4」を推し進めることになるものと思われ(相当な開発費を投じているので、これを廃止するとは考えにくい)、実際に同氏は「メルセデスAMGにとって電動化は依然として未来であると確信している」と述べており、今後もこのプラグインハイブリッドパワートレーンを継続して使用することになりそうです。※一方、メルセデスAMGはガソリン車への投資を「期限なしで」続けることにも言及している
「私はAMGの完全電動化の未来について非常に前向きです。この新しい技術は、私たちに多くの機会を与えてくれます。今日の内燃機関ではできない多くの新しいことが可能になります。」
正直なところ、ぼく自身もこの「4気筒プラグインハイブリッド」については非常に優れたものであると認識しているものの、マイケル・シーベ氏が自ら語るように「その良さが理解されていない」ということに尽きるのかもしれず、これはフェラーリが「V6+プラグインハイブリッド+4WD」という非常に優れたパワートレーンを採用しているのに「ファンに理解されない」のと同じなのかもしれませんね。
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