メルセデス・ベンツが「頼みの綱」の中国にて販売を失い15％の人員整理に着手。販売を伸ばすことは難しいと判断し「構造改革」にて利益を確保

｜　もはや中国市場にて販売を伸ばすことは「どの海外自動車メーカーにとっても」非常に難しいだろう　｜

中国市場は「価格訴求力」がモノをいい、そして海外目メーカーはこれに対抗できない

さて、先日は「ポルシェの中国法人が、現地ディーラー網を整理する」と報じられたところですが、今回は「メルセデス・ベンツの中国法人が2月25日から、全体の15％に相当する人員の整理を開始した」というニュースが流れることに。

この状況については実際にメルセデス・ベンツも認めており、整理の対象は「販売」「金融部門」となることにも言及したうえ、以下の通りのコメントを発しています。

「自動車業界における厳しい市場環境と変革の機会に直面する中、メルセデス・ベンツは業務の効率性と市場競争力を継続的に向上させるために、積極的に事業を調整しています」。

ちなみにメルセデス・ベンツは中国市場を「生命線」と位置づけて最重要視する戦略を取ってきましたが、その市場から「しっぺ返し」を食らってしまったという状況です。

販売を伸ばすことは難しく、この状況を乗り切るには「効率化」意外の手段はない

メルセデス・ベンツ中国はさらに、「今回の調整には、業務プロセスや組織構造の最適化と合理化が含まれており、事業運営をスリムで強靭なものとし、業務効率を向上させることを目的としています」と述べていて、つまるところ、そして販売部門の整理に手を付けたところを見るに、「販売によって利益を伸ばすことは難しい」「であれば今の売上において利益を確保できる構造へと変革せねばならない」と考えたのかもしれません。

解雇対象はメルセデス・ベンツ・オートモービル・ファイナンスおよび北京メルセデス・ベンツ・セールスが中心となり、現地メディアの報道によると、中国の国有銀行を含む金融機関が”より競争力のある自動車ローン”を提供しているため、同社の金融部門が競争力を発揮することが難しくなっているのだそう。

さらには一部の有期契約社員の契約を更新しないなどの措置を取っていることもわかっていますが、今回の人員削減が中国の現地法人本社や現地企業との合弁事業で運営される生産部門に影響を与えるかどうかはナゾのまま。

この決定は、中国市場で外国自動車メーカーが直面する厳しい状況を浮き彫りにしていて、海外のブランドは中国国内メーカーに市場シェアを奪われ続けており、特に高級車メーカーは大きな影響を受けていると言われます。

メルセデス・ベンツ、ポルシェ、BMW、アウディといった欧州の既存自動車メーカーは、Nio、（ファーウェイが展開する）マエストロ、シャオミ、BYDの高級ブランドであるヤンワン、さらには紅旗（ホンチー）といった中国のEVスタートアップや老舗メーカーとの新たな競争にさらされており、そして「勝算」が非常に薄いと見られているわけですね。

そしてこの波は普及価格帯のクルマにも波及しており、フォルクスワーゲンは「For China, in China（中国のために、中国で）」という戦略を打ち出していて、地元のEVスタートアップの株式を取得し、中国のEVメーカーのプラットフォームを活用した現地向けの車両を開発中。

アウディも現地向けの廉価ブランドを発表するなど「これまでにない」展開を見せていますが、「攻め」「守り」といったぐあいに自動車メーカーによって対応が分かれており、ここから各社がどう動くのかを注視したいところでもありますね。

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参照：The pear, Bloomberg, Autopix