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| マセラティは文字通り「存続の危機」にある |
さらには今後回復の兆候が見られず、「売却」が考えられるもっとも濃厚な線である
さて、すでに3月に入ろうという時期ではありますが、続々と各社の決算発表が行われており、今回マセラティがその業績を公表することに。
そしてその内容は驚くべきもので、2024年の販売台数が(2023年の)26,600台から大きく減少し、半分以下の11,300台へと「57%も落ち込んだ」ことが明らかになっています。※2.6億ユーロもの損失を計上したことにも触れられている
ちなみにですが、フェラーリは昨年0.7%増の13,752台を販売しているので「マセラティはフェラーリに逆転され」、そして57%販売が増加したランボルギーニ(10,700台)に抜かれようというポジションにいます。
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一体マセラティに何が起きたのか
「売上が半分以下」というのは尋常ではない事態ですが、その原因について明確なものはなく(おそらくは複数要因が介在)、しかしステランティスの最高経営責任者(CEO)であったカルロス・タバレス氏は、退任前に販売不振の原因としてマーケティングの悪さを挙げており、先月新たにマセラティのCEOに就任したサント・フィチリも同様の見解を示しています。※ぼくとしては「マセラティを選ぶべき、固有の魅力が失われた」「価格が異常に高い」からだと考えている
そして今回の決算発表に際し、マセラティの親会社であるステランティスが「この結果がいくつかのプロジェクトのキャンセルを引き起こす」ことを認め、そのひとつはステランティスが計画していた15億ユーロの投資を取り消したこと。
これによってMC20のピュアエレクトリックバージョン、そしてクアトロポルテとレヴァンテの後継モデル(いずれもフルエレクトリックになるとされていた)の未来が疑問視されていて、この決定は、販売の減少と驚異的な財務損失に苦しんでいるマセラティにとって、最悪のタイミングで下されたものだといえそうです。
というのも、現在のラインアップがマセラティの不振を招いたのだと考えられ、しかし今後販売を見込めるであろうニューモデルの投入がないとなれば「ここから販売を伸ばす手段がない」と考えられるからで、まさに現在のマセラティは「翼を失った状態」。
ステランティスの最高財務責任者(CFO)ダグ・オステルマン氏が公開した財務文書によると、これにより「発売前の特定のプロジェクトがキャンセルされることになる」、しかしどのモデルがキャンセルされるのかは現時点ではわかっておらず、しかし「特に中国市場におけるそのビジネスのダイナミクスや、どのくらい早くそのラグジュアリーマーケットが電動化に移行するかについての期待を認識しなければならない」とも指摘しています。
今回の件に関し、イタリアの労働組合「FIM」は3月11日に予定されている会議でマセラティの未来についての明確な説明を求めていますが、FIMのファーディナンド・ウリアーノ事務局長は「マセラティは最も重要な状況の一つです。品質と高性能のモデルを持ちながらも、マーケティング面でのミスと不手際に苦しんでいます。もうこれ以上、時間を無駄にできません」と述べており、何らかの対策と雇用の確保を求め、マセラティと徹底的に闘うことになるのかもしれません。
ここで忘れてはならないのは、元ステランティス最高財務責任者(CFO)ナタリー・ナイト氏が(2024年7月に)マセラティが売却される可能性についてほのめかしていたことで、「将来的に、マセラティにとって最適な場所を見つける時が来るかもしれません」というコメントを出したこと。
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これは後に「撤回」されていますが、内部で「マセラティ売却」についての議論がなされていることは間違いないであろうと考えています。
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