欧州CarMagazineによると、ポルシェはフランクフルト・モーターショーにて「911スピードスター」を発表する、とのこと。
なおこれまでは「356、930、964、997」の4つの世代で「スピードスター」が発表されていますが、964や997はそのモデルライフの最終あたりに発売されており、今回もしスピードスターが登場すれば「991(991.2)」世代の最後を飾る大物登場、となるかもしれません。
ここでざっと過去のモデルを振り返ってみましょう。
まずは356スピードスター。
1954年発売、4722台が生産されたと言われますが、「オリジナル」が出回ることは非常に少なく、(オリジナルに敬意を払った)レプリカが数多く見られるモデルでもあります。
幌の簡素化、チョップされたフロントウインドウは「軽量化」「低重心化」を狙ったものとされ、純粋に運動性能向上を狙ったモデルでもあったのでしょうね。
次いで1988年登場の930型スピードスター。
標準ボディ、そしてターボと同じフレアフェンダーを備える「ターボルック」も発売されており、生産は2000台程度とされ、日本には150-200台程度が入ってきたのでは、と言われていますね。
インテリアが豪華仕様となっている個体もあり、356とはやや経路が異なる「エクスクルーシブな」路線に走ったモデルではないかと思います。
その後は964スピードスター(1998年)。
標準ボディのみとなるものの、フロントウインドウの簡素っぽさが356を連想させますね。
生産台数は936台で、日本には106台が輸入され、964世代から設定されたオートマティックトランスミッション「ティプトロニック」が74台、と7割を占める結果に。
ティプトロニックの導入は賛否両論ありましたが、結果的にはポルシェの販売を大きく拡大する結果となっています(水冷化も同様)。
直近のスピードスターとなる997スピードスター。
356へのオマージュということもあって生産台数は356台、と歴代スピードスターの中で最も少なく、中古市場でも安定して高値を維持する車(長期的に見ると911Rよりも価値が高いと考えている)。
ポルシェの考える「もっとも価値の高い限定モデル」のベスト4にランクされる車で、エンジンはカレラGTSの408馬力版、0-100キロ加速は4.6秒。
日本への輸入はわずか6台で、これまで「10%くらい」が入ってきた930/964世代のスピードスターに比べると非常に少ない数字となっています。
もちろんフロントスクリーンはカットされて全高はマイナス6センチ。
ホイールは戦闘の「フックス」、ソフトトップは手動で、ダブルバブル形状のカバーも装備されるなど、歴代スピードスターの中でも「もっともスピードスターの本質に近い」モデルと考えてよさそう。
なお、今回発表される「991スピードスター」の詳細は不明ですが、「911GTS」の3リッターツインターボエンジン(450馬力)を採用する、とも言われます。
生産台数は「おそらく」相当に絞ることになると思われ、以前にポルシェが宣言したとおり「販売する人を慎重に選ぶ」ことになるのでしょうね。
「スピードスター」は一般的に、上述の通り「車体上部をカットして低重心化と軽量化を図り、運動性能を向上させた車」と捉えられ、一般的なオープンモデル~たとえばカブリオレ、コンバーチブル、ロードスタ~よりもスパルタンな性質を持つ、とされています。
よって、他メーカー、たとえばアストンマーティンやマツダでもほかにオープンモデルがあるにもかかわらず、スピードスターとなると、こういった「過激なスタイリングを持つ」デザインへと変更されることが多いようですね。
加えてシート後方の「ダブルバブル」「スピードスターカバー」は「スピードスターの定番」とも言えるもので、多くのメーカーが取り入れる意匠でもあります(ポルシェ・ボクスターでも986世代はオプションでこれが用意されていた)。