| ポルシェ911(912)にスバルのエンジンをスワップするのは珍しい |
さて、世の中には様々なエンジンスワップ車が存在しますが、今回紹介するのはポルシェ912にスバルの水平対向エンジンを載せてしまったという個体。
ちなみに「912」は911の廉価版という位置づけで(1965年発売)、搭載されるエンジンはフラット6ではなくフラット4。
そのほかインテリアが簡素になるなどのアレンジが施され、「356から大幅に価格が上がってしまった」911よりも安価に仕上げ、かつ356と同等の価格に設定することで顧客離れを防いだ、と言われています。
ポルシェ912は911に比較すると「バランス良好」
ただ、この912はエンジンがコンパクトであるため、911の宿命でもあったリアヘビー傾向が影を潜め、むしろ乗りやすいということもあって根強いファンを持つ模様。
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そしてこのポルシェ912にマウントされるのはスバル・インプレッサWRX STI Spec Cに搭載されていたもの(タービンは交換されてツインスクロールに、そしてインタークーラーの容量も増加させている)で、ポルシェ356や550のレプリカにスバルの水平対向エンジンを積んだり、フォルクスワーゲン・ビートルにスバルのエンジンを積む例は過去にあるものの、911(912)にスバルのエンジンを積んだ車両というのはかなりレア。
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なお、インプレッサWRX STI Spec C(18インチ仕様)は1000台のみが限定されたホモロゲーションモデルで、エンジンは2リッター水平対向4気筒(308馬力)というスペックを持っています。
もちろん、同じ水平対向4気筒といえどもスバルとポルシェとのエンジンが同じわけではなく、スワップにあたってはかなりな苦労があり、見ての通り奇想天外なレイアウトを採用することに。
もちろんスバルのエンジン(EJ20)は水冷なのでラジエターを搭載する必要がありますが、ラジエターはフロントに、そしてそしてウォーターラインはボディの両サイドにこんな感じで通すことに。
つまりこのポルシェ912はエンジンスワップだけではなく、水冷化も行ったということになり、フロントにラジエターを積むことで重量配分がさらに改善しているものと思われます。
ちなみに出力は300馬力とのことで、もともとのWRX STi スペックCと同等ですが、ポルシェ912の車体重量は950kgくらいなので、十分なパワーだと言えそうですね。
リアのエンジンフードはダックテール、そしてホイールはおそらくカスタム品と思われるものの、クラシカルなイメージを保っているようです。
エンジンフードには「2.0」のバッジ(もともとの912の排気量は1600cc)。
フロントフェンダーにはおなじみのペガサスマーク。
ポルシェ912 STiのインテリアはこうなっている
そしてこちらはポルシェ912 STiの室内。
非常にシンプルで、オリジナルのイメージを大事にしていることがわかります(912のダッシュボードはもともと鉄板むき出し)。
シートは伝統のチェック柄を採用し、おそらくは貼り替えられているものと思われます。
室内後半にはロールケージが組まれ、一見すると不似合いなレース用ハーネスが与えられているところが「普通のポルシェではない」という主張を放っていますね。
全体的に見て、(エンジンスワップに関わらず)不可逆的な改造が施されていないようでもあり、オリジナルのポルシェ912、そしてポルシェのヘリテージに敬意を払った作りを持つという印象。
912は同世代の911に比較するとかなり安く入手できるようで、かつ「不動」のクルマを買ってきてこういったモディファイを施すのも面白い、と思います。