| ポルシェとしては「フォルクスワーゲンに任せたばかりに」と考えているのかもしれない |
こういったフォルクスワーゲンとの関連性の強さがポルシェの価値を下げている、とも
さて、先般よりソフトウエア開発の遅れが指摘されていたポルシェのEVセグメントですが、今回その影響が目に見える形であらわれることになり、ポルシェCEO、オリバー・ブルーメCEOが現地メディアに対して「ピュアエレクトリック版マカンの発売を1年延期する」とコメント。
このエレクトリック・マカンはもともと2023年に発売される予定となっており、それに向けて数々のテストが行われていたものの、「ハードウエアに問題はないが、ソフトウエアの遅延によって」2024年の発売へと後ろ倒しされることとなったわけですね。
おそらくはフォルクスワーゲングループのEV全体に影響が波及
なお、このマカン・エレクトリックは車体に「PPE(プラットフォーム・プレミアム・エレクトリック)」を使用しており、これはアウディとポルシェとが共同にて開発したもので、フォルクスワーゲンのほかブランドの車体としても活用されることになると言われます。
そしてこのPPEをコントロールするソフトウエアを開発しているのがフォルクスワーゲングループのソフトウエア会社、キャリアッド(Cariad)で、しかしここでの開発に遅延が生じたと報道されていて、そのためにポルシェはもちろん、アウディ、ベントレーの新車投入計画に影響が出るのは必至といえそう。
ただ、今回ポルシェは公的にマカン・エレクトリックの販売延期に言及したものの、アウディやベントレーは同様のコメントを出しておらず、もしかすると開発が遅れているのは「ポルシェならではのパフォーマンス」に関連する部分なのかもしれません。※タイカンのプラットフォームはポルシェの設計による「J1」であり、よってPPEにはこれを制御するソフトウエアを転用することはできない
ポルシェはフォルクスワーゲンの「技術的水準」に満足していない
ちなみにポルシェはPPEを使用したEVをほかにも投入する予定を持っていて、それはフォルクスワーゲンの持つハノーバー工場にて生産することが決まっており、しかしポルシェは「ポルシェの求めるレベルのクオリティを持つEVはハノーバー工場では生産できない」としてハノーバー工場での生産をキャンセルしています。
もちろんフォルクスワーゲンはこの「ポルシェのEV」製造にて利益を上げる計画をもっていたので、ポルシェがその生産を引き上げるとなると損失が生じることになり、そのためポルシェはその分の損害金をフォルクスワーゲンへと支払うことに。
ただ、そうしてでもポルシェは「フォルクスワーゲンの工場ではなく自社の工場で」EVを作りたかったと見え、それだけポルシェの求めるレベルとフォルクスワーゲンの現実とに開きがあるのかもしれません。
ちなみにですが、この「フォルクスワーゲンのハノーバー工場にて生産予定だった」のはポルシェのフラッグシップEVだといい(先日話が出たカイエンの上に位置するSUVなのかも)、これには「4輪ステアリング、トルクベクタリング、エアサスペンション」が装備されていて、これらを制御するソフトウエアの開発が遅れている可能性もありそうです。
しかしながら、これが「ポルシェだけに関連する」問題でなかったとすれば、アウディはこれまで進めてきた「アルテミス・プロジェクト」を見直さなくてはならず、ベントレーも「2030年までに完全電動化」するとして掲げた計画を撤回せざるを得なくなり、フォルクスワーゲングループ全体を揺るがす問題となるのかもしれません。
ちなみにですが、ガソリンエンジン搭載版のマカン、そしてマカン・エレクトリックとは「1年半」併売されると言われていて、当初の予定だとマカン・エレクトリックが2023年(おそらくは秋)に発売されるはずだったので、ガソリン版マカンの寿命は「2025年春まで」の予定だたわけですね。
しかし今回マカンの発売が1年遅れることとなっていて、となるとガソリン版マカンの寿命も1年伸びて2026年春に延長されるのか、当初の予定通り2025年春にそのライフを終えるのかは不明です。
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参照:Automobilewoche