| ポルシェはこれまでに様々なパートナー、そしてスポンサーとともにモータースポーツを戦ってきた |
ポルシェが20回目のル・マン総合優勝を狙うに際し、これほどふさわしいカラーリングもないだろう
さて、ポルシェは今年のル・マン24時間レースを戦うに際し「ポルシェ963」を投入しますが、そのうち3台はワークスチームであるポルシェ・ペンスキー・モータースポーツからの出走です。
そして今回、ポルシェはその3台に使用されるカラーリングを公開し、その意味について解説するコンテンツをリリースしていますが、このカラーは「ル・マンでもっとも多くの勝利を挙げた(19回の総合優勝と110回のクラス優勝を果たしている)」ポルシェのモータースポーツにおける歴史を視覚的にあらわしているといい、重要なレーシングカーのカラーに敬意を表するとともに、ポルシェのスポーツカー誕生75周年、そして伝統あるル・マン24時間レースの開催100周年という節目を祝うものだとアナウンスされています。
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今年のル・マン24時間レースを走るポルシェ963にはこういったカラーリングが施される
今年のル・マン24時間レースを走るポルシェ963には、マルティニ、ロスマンズ、ガルフといったスポンサーのカラーや、「ピンクピッグ」「ヒッピー」「ザルツブルグ」といった象徴的なレーシングカーに用いられたカラーが再現されることに。
これらはイエロー、レッド、ダークブルー、ライトブルー、グリーン、ピンク、オレンジの7色、それらを束ねた特徴的なストライプにて表現されています。
ここでそれら各カラーの由来を見てみましょう。
オレンジ・・・「栄光のル・マン」で一躍有名になったガルフ917
ポルシェ963に用いられるオレンジ色のストライプは、伝説的なガルフ・ポルシェ917にちなんでおり、このガルフカラーを身にまとったポルシェ917は映画「栄光のル・マン」にて一躍有名に。※スティーブ・マックイーンがポルシェ917をドライブし、歴史上最も優れたモータースポーツの描写を行った映画として今も高い人気を誇る
1971年10月にはこのガルフカラーを身にまとうポルシェ917がル・マンでの表彰台を獲得し、ある意味ではポルシェとル・マンをもっとも端的に表しているカラーかもしれませんね。
参考までに、ガルフカラーは「ブルーとオレンジ」にて構成されるものの、ブルーの部分はチームによって薄いものから濃い色味にまでアレンジされることが多く、しかしこのオレンジは「不変」のカラーコードを持っているようですね(かつてガルフが販売店の店頭に置いていた缶の色に由来する)。
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ピンク・・・レースで不運に見舞われた伝説の "雌豚ベルタ(ピンクピッグ)"
1971年のル・マンに登場し、ファン、ドライバー、関係者を喜ばせたのがこのポルシェ917/20、通称「ピンクピッグ」。
ポルシェのデザイナー、アナトール・ラピーヌは、ピンクのボディに肉屋で用いられる豚肉の部位を示したラインを描き出し、そこへ「スナウト、ハム、ポークナックル、ブレーン」といったラベルを付けることに。
「雌豚ベルタ」「トリュフハンター」「ツッフェンハウゼンのトリュフ嗅ぎ」など様々なニックネームで呼ばれることになりますが、最終的にドイツ語圏では "ザウ "という呼び名が定着し、英語では "ピンクピッグ(Pink Pig) "と呼ばれています。
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グリーン・・・ポルシェ上層部を驚かせた「ヒッピー」
1969年4月、(ラトビア出身の)アナトール・ラピーヌはポルシェの新しいチーフデザイナーとして採用されることになりますが、そのわずか1年後にデザインしたのが「約1500本のスプレー缶で描かれた緑と紫のサイケデリックな」ポルシェ917LH。
このペイントはポルシェの重役の一部を騒然とさせたものの、レーシングチームのオーナーであったハンス・ディーター・デシェント、スポンサーを努めたマルティーニ&ロッシの責任者は非常に喜んだと言われています。
ブルー・・・ポルシェと言えば「マルティニ」
1970年、ハンス・ディーター・デシェントは、ル・マンで初めてアルコールブランドであるマルティニ(イタリア)をスポンサーとして起用し、その翌年には オーストリア人のヘルムート・マルコとオランダ人のギス・ファン・レネップ組がこのカラーが施されたポルシェ917KHを駆り優勝を飾ることに。
なお、この際に走破した5,335kmという距離は、当時では考えられないような記録であったといい、これが破られたのは39年後なのだそう。
この「マルティニ」は非常にポルシェとの結び付きが強いカラーリングでもあり、ポルシェのレーシングカーというまっさきにこれを連想する人も多いようですね(ポルシェも過去に何度かオプションにてマルティニ風のステッカーを用意したことがある)。
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ダークブルー・・・ 一時代を築いたロスマンズデザインのポルシェ956と962
ぼくがポルシェのレーシングカーと聞いて最初に連想するのがこのロスマンズ。
ダークブルーとホワイトにレッドとゴールドのアクセントを加えたロスマンズデザインは、ポルシェの連勝記録と結びついており、1982年のル・マン24時間レースに出場した3台のポルシェ956は、1位、2位、3位を独占し、なんと4番手を30周遅れにするという圧倒的な強さを誇るなど、「無双」時代のポルシェとともにあったカラーです(とにかくこの時代のポルシェは強かった)。
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レッド ・・・オーストリアのナショナルカラーをまとう「ポルシェ・ザルツブルク」
908LHによるポルシェ初の総合優勝を”わずか120メートル差”で逃した1969年の翌年、ポルシェがル・マン24時間レースに持ち込んだのがこの「ポルシェ・ザルツブルク」。
(ポルシェ一族のルーツである)オーストリアのナショナルカラーであるレッドとホワイトを身にまとい、(ドライバーがマシンに走り寄るという)ル・マン式スタートを初めて採用したのもこの年であり、多くのアクシデントが生じたサバイバルレースを制したのが23号車のポルシェ917KHザルツブルグで、イギリスのリチャード・"ディック"・アットウッド、ドイツのハンス・ハーマンの2人によるドライブにて、5周のリードを保ちながらポルシェ初のル・マン総合優勝を決めています(そのため、このカラーは918スパイダーのオプションに設定されたり、のちのコンセプトカーに採用されるなど、非常に重要視されている)。
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イエロー・・・ポルシェとペンスキーが共に過ごした栄光の日々の記憶
最後に紹介されるのは「イエロー」。
ポルシェとイエローというのはなかなか結びつきませんが、1970年代初頭、アメリカのチームであるペンスキー(今回のル・マン参戦のパートナーでもある)とポルシェとがタッグを組み、カンナムシリーズで2つのタイトルを獲得しています。
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参照:Porsche