| 今回の契約は「独占」ではなさそうだ |
マクラーレンが「ガルフと数年にわたるパートナーシップ契約を締結した」と発表。
今回の提携については、モータースポーツ部門(マクラーレン・レーシングF1チーム)のみならず市販車部門にまでその効力が及び、かなり幅広い内容だと言えそうです。
マクラーレンとガルフとの関係性は1968年にまで遡ることができるそうですが、F1やカンナムのほか、様々なレースにおいてマクラーレンを支えてきたガルフとの関係性が久しぶりに復活したということになりますね。
正式なパートナシップのスタートは来年から
今回のパートナーシップは2021年からスタートするそうですが、ガルフはマクラーレンに潤滑油と燃料を提供し、マクラーレンは車体にガルフカラーを採用するほか、様々なイベントにおいてガルフブランドを押し出してゆく、とのこと(ガルフカラーを採用した限定モデルが登場することになりそう)。※ただしF1においては先行してパートナーシップが開始され、イギリスGPからガルフカラーが採用される
マクラーレンは資金難が報じられているものの、今回の「スポンサー獲得」によっていくばくかの改善が図られたとも考えられ、このほかにも水面下で様々な交渉が行われているのかもしれませんね。
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「ガルフ」とは?
よくガルフって聞くけど一体何なの?という人も多いと思うので、ここで簡単に触れてみましょう。
ガルフは1901年にテキサスにて創立された石油会社で、その後1968年にフォードとスポンサー契約を締結し、ル・マンへとGT40で参戦したのがモータースポーツとの最初の関わりだと言われています。
そのためフォードは現在でもガルフカラーを「特別視」しており、現代のフォードGTにも「ヘリテージ・エディション」としてガルフカラーが設定されていますね(ただしGULFのロゴはない)。
そして一方のガルフもフォードGT40とのコラボレーションをひとつの資産として捉えており、現在でもガルフの発売するオイル「アロー」にはGT40なるグレードも設定されています。
おそらくはフォードGT40にガルフカラーを用いたことがガルフ社にとって大きな転機となったのだと思われ、その後ガルフは1968年にマクラーレン、1969年にはミラージュ(フォードGT40ベースのプロトタイプスポーツカー)、そのほかポルシェ、アストンマーティン、アウディ等様々な自動車メーカーへとスポンサーとして資金を提供することになり、その見返りがもちろん「ガルフカラー」。
スティーブ・マックイーン主演「栄光のル・マン」にはガルフカラーに彩られたポルシェ917が登場しますが、この映画がガルフカラーを世界に広めたとも言われ、ある意味では最も有名な組み合わせかもしれませんね。
ただしこの「ガルフカラー」のブルー部分については「コカコーラのレッド」のように厳密に色味が定められているわけではなく、ある程度自動車メーカーにその自由度が与えられていたようで、フォードGT40に採用されていたブルーについては、フォードのデザイナーがカラーを決めたと言われています(ゼニスブルーと命名されている)。
そしてマクラーレンについてはこれまで「ネイビー」を採用することが多かった、というのも一つの特徴(ライトブルーが全く用いられず、ネイビーとオレンジのみの組み合わせを持つ個体もある)。
しかし今回発表されたオフィシャルフォトを見るに、F1マシンにはネイビー、市販車(720S)には「ライトブルー」を全面的に採用していて、この差については、F1マシンではこれまでのヘリテージを重要視し、市販車の場合だと、よりガルフっぽさをアピールするため「(商業的な理由で)世間一般に浸透しているガルフカラー」のほうを重視したと考えられます。
反面、「オレンジ」については、これまでのレーシングカーを見る限りだと「おおよそ色味が統一されている」模様。
実際にガルフはオレンジに関して強いこだわりをもっており、公式サイトでは下記のように紹介されています。
1903年、場所はNew Orleans。その頃はまだ灯油が主な製品の時代でした。灯油は食料雑貨店で販売されていて、客持参の容器にポンプで注入し販売していました。その灯油の仕入先は色で区別されていました。GulfがNew Orleansで商戦に勝とうとするなら、既に使われていない色を選ぶ必要があり、それがオレンジ色でした。
現在ガルフはシェブロンに吸収され、その中の一ブランドとなっていますが、「製品よりもそのカラーのほうが珍しい」という特殊な例でもあります。
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そのため、多くのメーカーやショップ、個人が「ガルフ」を意識したカラーリングを採用していますが、今回のマクラーレンとガルフとの提携によって、ほかに同影響が出るのかどうかは不明。
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一企業(一ブランド)が複数企業とスポンサー契約を結ぶ例も多く、かつ今回のマクラーレンとは「独占契約」と報じられているわけではないので、ガルフカラーは今後もほか企業、ほかそしてブランドに採用され続けるかもしれませんね。
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参照:McLaren, Gulf Japan