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フォルクスワーゲンの苦境はまだまだ続く?その対策として「当初の計画を破棄してガソリン車を継続して生産する」可能性が報じられる。数年前の狂騒はなんだったんだろう

フォルクスワーゲン

| フォルクスワーゲンの戦略は柔軟性を欠いており「完全に誤りだった」ということに |

そもそも、なぜ消費者を無視したクルマを作って「売れる」と考えたのかはナゾである

フォルクスワーゲンは、どうにも苦境から抜け出せないもよう。

激しい競争、コストの上昇、電気自動車(EV)の開発遅れに直面しているだけでなく、EVの普及の遅さにも悩まされていて、今回ドイツのニュースメディア「Handelsblatt」が報じたところ、この問題は深刻であり、フォルクスワーゲンはEVへの移行を見直し、ティグアン、ゴルフ、T-Rocといった内燃機関モデルの存続期間を延ばす方向で検討を開始した、とのこと。

ちなみにですが、ほんの数年前だと、フォルクスワーゲンは「全ブランドを完全電動化へとシフトさせる」という計画を貫いており、そこでその方針と合致しないランボルギーニ、そしてブガッティを「(利益が出ているにもかかわらず)売却」しようとしたことも。

実際のところブガッティはリマックへと譲渡(契約内容がかなりややこしいようだ)されてしまったという状況でもありますが、今からすると「あの騒ぎはなんだったんだろうな」という感じですね。

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既存のフォルクスワーゲン各モデルは「予定よりも長生き」

ただ、フォルクスワーゲンが「内燃機関搭載モデルの寿命を延長する」といっても、新しいモデルを開発するという話ではなく、新しいエンジンの開発は行わず、現行モデルを改良しながら販売を継続する(引っ張る)という計画であるとされ、加えてアウディやポルシェも同様の方針を取る可能性が高く、ガソリンエンジン搭載版のマカンやカイエンがしばらく存続するということは既報のとおり。

もちろんこの決定の背景には、フォルクスワーゲンの財務状況が大きく影響していて、EVへの移行には莫大な投資が必要であり、現行の内燃機関モデルを延命する方がコストを抑えつつも「売上げを確保することが容易」。

ただ、今回の報道では、具体的な「延命」の日程は明かされておらず、しかし少なくともフォルクスワーゲンが掲げていた2033年の「完全電動化」目標を超える可能性が指摘されています。※EV開発が計画より遅れている現状では、内燃機関モデルを存続させることで、新しいEVが市場に投入されるまでのギャップを埋める狙いがあるのだと思われる

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方針転換の原因は「EV普及の遅れ」

フォルクスワーゲンが方針を変えた理由として、「Handelsblatt」はEVの普及スピードが予想よりも遅いことを指摘しており、実際、2024年のドイツにおけるEVの市場シェアは14.6%から13.6%へと減少していて、ヨーロッパ全体においてEVの成長が鈍化しています。

一方で、アメリカでは2024年にEVの市場シェアが増加しているものの、ヨーロッパはフォルクスワーゲンにとって最大級の市場であり、この鈍化が大きな懸念材料となっているのは間違いなく、もしヨーロッパの消費者が引き続きガソリン車やディーゼル車を求めるのであれば、「フォルクスワーゲンもそうした選択肢を提供し続けなけいと」ビジネスが立ち行かなくなることは火を見るよりも明らかです。

この決定は合理的な戦略であると思われるものの、いくつかの問題を引き起こす可能性があり、まずは「現行モデルの寿命を延ばせば延ばすほど、相対的に後発車に対して古臭くなってゆくので競争力が低下するリスクがある」こと。

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さらに大きな問題は、欧州の厳格な排出ガス規制に違反する可能性で、フォルクスワーゲンはすでに、2024年の欧州排出ガス規制の目標を達成できない見込みだとも報じられ、その結果、15億ドル以上の罰金を科される可能性が指摘されています。

開発コストや製造コストが上昇する中、フォルクスワーゲンは繰り返し巨額の罰金を支払う余裕はなく、そのため、同社は今後、欧州の排出ガス規制の緩和を(ほかのライバルを巻き込んで)求める可能性があり、それまではテスラのようなEV専業メーカーから「クレジット」を購入し、あるいは将来的にハイブリッド車やEVの販売が伸びれば、排出ガス規制の問題もある程度解消されるのかもしれません。

ただ、現時点ではフォルクスワーゲンの未来は不透明であり、波乱含みの状況が続くことだけは間違いなさそうですね。

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参照:CARBUZZ

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