Image:Volkswagen
| VWの救世主は電気自動車ではなくSUVであった |
それでも中国での販売状況がVWの浮沈の鍵を握ることは間違いない
さて、中国での大幅な販売現象が報じられるフォルクスワーゲンが2024年のグローバル販売状況について概況を公開。
大枠としては以下のとおりです。
- 2024年に480万台を納車し、SUVがその47%を占める
- ティグアンが最も売れたモデルで、次いで2025年にモデルチェンジされる予定のT-Roc。
- (縮小したといえど)中国は2024年もフォルクスワーゲンにとって最大の市場であり、220万台を記録したものの、8.3%の減少を見せる
フォルクスワーゲンの2024年はこんな感じであった
そこで今回発表された内容を掘り下げてゆくと、まずは全世界で480万台の販売を記録し、しかしこれは前年比で1.4%の減少となっており、この全体的な減少は控えめではあるものの(予想したよりもかなり小さい)、競争の激化や市場の需要の変化に伴う課題を浮き彫りにしています。
実際のところ、この中で完全電気自動車(EV)が占めるのは38万3,100台で、前年比で2.7%の減少となり、これはEV市場での存在感を強化しようとする同社にとって、歓迎すべき結果ではないことが容易に想像されます。
最大市場である中国では220万台が納車され、全体の売上の約46%を占めましたが、これは2023年から8.3%の減少であり、中国の地元ブランドが競争力を強化したことが影響しています。
一方、VWの地元であるヨーロッパでは、同社は引き続き市場リーダーの座を維持して125万4,500台を販売していますが、こちらもやはり1.7%の減少となっています。
ただしフォルクスワーゲンにとって3番目に大きな市場である北米では59万2,300台を販売して前年より18.4%の大幅な増加を記録し、さらに南米では47万9,400台を納車して21.1%のこれまた大幅増を達成。
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なお、南米(南アメリカ)では、販売のほとんどがブラジルで行われ、ポロの販売台数が17万2,510台に達し、これは「新記録」なのだそう。
さらに細かく見てゆくと、ドイツ市場にいてもフォルクスワーゲンは引き続き市場を支配して19.1%の市場シェアを維持し、ゴルフ、T-Roc、ティグアン、パサート、ポロの5モデルが国内の売れ筋車種トップ10にランクインすることに。
参考までに、ティグアンに関しては2024年のフォルクスワーゲンのベストセラーとなり、次いでモデルチェンジ目前のT-Rocがこれに続きますが、2024年のフォルクスワーゲン全体の売上の47%がSUVであったことから、フォルクスワーゲンは引き続きSUVに注力するものと思われます。
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そしてフォルクスワーゲンが注力する電動車に目を移すと、2024年の完全電動車(EV)の納車台数は38万3,100台で前年比2.7%減となり、特にVW ID.4の販売減少(-55%)が大きく影響していますが、これは昨年の販売停止命令が影響したためだと説明されています。
今回の概要発表に際しフォルクスワーゲンの販売、マーケティング、アフターサービス担当取締役マーティン・サンダー氏が発したコメントは以下の通り。
「世界的に見て、2024年は経済の停滞、政治的課題、そして特に中国における激しい競争に直面した年でした。しかし、私たちは新しい年を楽観的に迎えています。魅力的な製品を揃えており、広範なモデル群を通じてさまざまな顧客ニーズに応えています。」
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