そんなクルマはぼくもやっぱりノーサンキュー
ここ最近、次期日産GT-R関連報道が続きますが、その内容も二転三転。
直近の報道だと「次期GT-Rはハイブリッドシステムを採用」という話が中心を占め、日産内部もこれを認めるコメントを残していたものの、今回それを覆す驚愕の内容が日産GT-Rチーフ・プロダクト・スペシャリスト、田村宏志氏から発せられることに。
ハイブリッド化されたGT−Rの価格は2000万円を下らない
田村氏によると、まず次期R36 GT-Rの開発にゴーサインが出たとし(次期GT-Rの登場が明確になったのは喜ばしい)、しかし日産は「全く新しい、ハイブリッド対応のプラットフォームを設計するか」「現行GT-Rのプラットフォームを改良して使用するか」決定をしていない、とのこと。
そして田村氏は後者(R35の改良)のほうが可能性が高いとしており、その理由として「よく考えてみてくれ。本当に人々はハイブリッドとなったGT-Rを欲しいと思うだろうか?99%の顧客は”ノーサンキュー”と言うだろう」と発言。
さらにハイブリッド化を行うべきではない理由のひとつとして「コスト」を挙げていて、というのも「現時点でも1000万円もするGT-Rをハイブリッド化すれば2000万円の車になってしまう」。
「価格か、ハイブリッドなのか。あなたならどちらを選ぶだろう?両方を求めることはできず、どちらかしか選べない」と田村氏は言うわけですね。
そして同氏はもしGT-Rにハイブリッドシステムを積むならば、その重量は少なくとも200キロに達し、最低でもプラス数百万円と見積もっており、たしかにこれは「ノーサンキュー」。
それでもなぜスーパーカーはハイブリッド化するのか
なお、現在世の中はエレクトリック化に向けて動いていて、フェラーリも今後発表されるモデルのほとんどはハイブリッド化される可能性が高い、という状況。
ただしちょっと前までは「2019年以降発売のモデルはすべてハイブリッド」と語っていたものの、最近では「V12エンジン搭載モデルはハイブリッド化しない」とも宣言しています。
一方でアストンマーティン、マクラーレン、ランボルギーニはハイブリッド化を表明しており、このまま行けばランボルギーニ・ウラカン、アヴェンタドールの後継モデルは「まず間違いなくハイブリッド」。
上述の田村氏が見積もったように、相当に重量が重くなり価格も高くなることが予想されますが、それでも各メーカーがハイブリッド化するのは「環境規制対応のため」。
そうしないことには「ガソリンエンジン単体では」クルマを販売できない国が欧州を中心に多数出てくるためですが、ハイブリッド化による重量増加はスポーツカーにとって致命的でもあります。
しかしのくがそれよりも重要だと考えるのは「イメージ」で、環境規制のために、つまり「走行性能向上のため」ではなく妥協の産物としてハイブリッド化されたスポーツカーを人々は受け入れることができるのか、ということ。
たとえばポルシェ918スパイダーのように、「速く走るため」という大義名分があればまだしもですが、「環境に配慮して」重く、ピュアさを失ったスーパースポーツはどうしても認めることはできない、と考えています。
ただ、それを一番よく理解しているのはスポーツカーメーカー自身であり、「ハイブリッド化を行うのであれば、エンスージアストも納得できる方法で」、つまりガソリン車では成し遂げることができない領域に到達するためにハイブリッド技術を使用すると考えられ、それが唯一の免罪符になるのかもしれません(それでも断罪される可能性は高そうですが)。
しかしながらこういった状況は「あくまでも現在のハイブリッド技術をベースに」考えた場合であり、仮にソリッドステートバッテリーが実用化されたりすると、また違った状況になることも考えられます。