| 屋内駐車場にカバー付きで保管されていただけに状態は悪くない |
もちろん集中的なレストアを要するとは思われるが、そのベースとしては理想的
さて、フランスの駐車場に19年もの間放置されていたフェラーリ・テスタロッサがオークションへと登場することに。
このテスタロッサは、ミュルーズにあるフェラーリ正規ディーラーにてシャルル・ポッツィ(法人名)名義にてムッシュー・ジャック・Sが1989年に新車購入したもので、その後1992年に社名を変更し、1996年に住所を変更しています。
つまり登録名義や所在地は変わっていても実質的にはワンオーナーということになりますが、2003年にサントロペへと向けて走ったのを最後とし、ずっとこの駐車場に眠っていたのだそう。
いったいどうしてフェラーリ・テスタロッサは19年も駐車場に?
そこで疑問に思うのが「なぜ19年も駐車場に放置されていたのか」ということ。
まず、このオーナーはこのテスタロッサのほかにもポルシェ911スピードスターなど多数のクルマを所有しており、それらに乗ることが多くなったためにテスタロッサにカバーをかけて保管することにしたのだそう。
その後2012年にこのオーナーが亡くなるのですが、その際にテスタロッサは娘に寄贈され、しかしずっと動かされることなく今日に至っており、なぜかその娘は今になってこのテスタロッサを売ろうと決めたようですね。
見る限りでは駐車場を借りているようなので(さらにナンバーも付いている)、それなりの保管費用がかかっていたとは思いますが、そういったコストも気にならず、もしくはこの建物自体が自身の所有なのかもしれず、いずれにせよ常人には理解し難い例でもあります(以前に中国では、自分が所有しているクルマが何台、そして何があるかわからなくなり、ホテルに駐車したクルマをずっと忘れたまま放置して高額の駐車料金を請求された例があった)。
見たところ、そこまで程度は悪くない
このテスタロッサの走行距離は22,433km、おそらくはクルマに愛情を持っていた人物の所有ということもあって当時は手入れがしっかりなされていたものと思われ、かつ屋内駐車場にカバーを掛けて保管されていたということもあり、経年劣化以外は大きな問題はなさそうに見えます。
整備手帳にも記録がしっかり残り・・・。
レザー製のケースに入った工具類も完備。
エンジンフードを閻くと、防音材(遮熱材?)のようなものが劣化して垂れ下がっていますが、そのほかは問題なさそう。
インテリアはベージュレザー(テカりはあるが、ひび割れはなさそうだ)に覆われ、レッドのフロアマットは特注品だと紹介されています(ステアリングホイールも特注かもしれない)。
予想落札価格は最高で1500万円ほどというエスティメートが出ていますが、レストアベースとしては理想的なコンディションを持っており、今後生産されることがないであろう、貴重なミドシップV12フェラーリを手にする数少ないチャンスかも知れません。
フェラーリ・テスタロッサはこんなクルマ
フェラーリ・テスタロッサは、1984年10月のパリモーターショーにて発表され、ポジション的には512BB(ベルリネッタボクサー)の後継ということになりますが、大きく異なるのは、最初から北米市場向けとして、北米の厳しい安全性や環境規制にあわせて設計されていたこと。
レオナルド・フィオラヴァンティ(ピニンファリーナのチーフデザイナー)によってデザインされ、巨大なサイドギル、ワイドなリアエンドなど、文字通り1980年代アイコンとなった要素を持っており、リアのフィンは現代のフェラーリの特別限定モデル、デイトナSP3のインスパイアもととなったほど。
搭載されるのは4.9LリッターV12(400馬力)、最高速度は290km/h、0-100km/h加速は4.8秒というスペックを誇ります。
-
マイアミ・バイスに登場した個体と同じ仕様を持つフェラーリ・テスタロッサが競売に登場!高額落札も納得の素晴らしいコンディション
| これだけのコンディションを持つフェラーリ・テスタロッサはなかなか出てこない | しかも外装ホワイト、内装ベージュという希少カラー さて、マイアミ・バイスに登場したものと同じ仕様を持つフェラーリ・テ ...
続きを見る
上述の通りポップアイコンとも言える性質を持ち、一つのシンボルとして機能したことは間違いなく、そのため当時マイケル・ジャクソンが出演したペプシのCMのためにワンオフでオープンモデルが制作されたり、様々なチューナーにインスピレーションを与えたり、今でも「バービーカー」のモチーフになるなど絶大な影響力を放ってきた一台でもありますね。
-
まさかのフェラーリ・テスタロッサ風「実物大バービーカー」登場!あなどるなかれ、そのカスタムクオリティは一流だ・・・
| 正直、このバービーカーに乗る勇気はないが、非常によくできていることは間違いない | どうやらバービーの新製品のプロモーションのために制作されたもよう さて、本日よりロサンゼルス・オートショー(モー ...
続きを見る
合わせて読みたい、フェラーリ・テスタロッサ関連投稿
-
フェラーリ・テスタロッサの外観をなるべく維持し「中身を最新に」アップデートしたレストモッド登場!当時の自動車電話はBluetoothに、最高速は290km/hから324km/hへ
| さらにこのテスタロッサにはABSやトラクションコントロールも追加されている | このフェラーリ・テスタロッサが販売されるかどうかはわからないが、けっこうな需要がありそうだ さて、以前にスイスのファ ...
続きを見る
-
ニックネームは「ポルシェテスタロッサ」!リンスピードがポルシェ911をフェラーリ風に改造したコンプリートカー、R69ターボが競売に登場
| どうしてこんなクリーチャーができてしまったのかボクにはわからない | さて、非常に珍しいポルシェ930ターボのカスタムカー「リンスピード・ポルシェR69ターボ」が競売に登場。パっと見たところ個人が ...
続きを見る
-
【動画】フェラーリ・テスタロッサ純正ラゲッジセットは110万円!その積み方、ほかメーカーの専用バッグも見てみよう
| 現代のスーパーカーの専用バッグはとてもこの値段では収まらない | フェラーリ・テスタロッサの純正バッグ、そしてその積み方を紹介する動画が公開に。これはユーチューバー、「ノーマルガイ・スーパーカー」 ...
続きを見る
参照:Artcurial