| このフェラーリF50最初のオーナーはシンガポールのフェラーリオーナーの経営者 |
そして最初のオーナーは一度もこのフェラーリF50を運転したことがなかったという
さて、走行距離わずか625マイル(約1,000キロ)という信じられない低走行のフェラーリF50がオークションへと登場予定。
F50はフェラーリが50周年を迎えるにあたって発売した記念限定モデルですが、F40が「そのままレースに出ることができるロードカー」というコンセプトで会ったのに対し、F50では「公道を走るF1」というスパルタンな思想が貫かれており、カーボンファイバー、ケブラー、ノーメックスハニカムで成形された曲線的なコーチワークを用いることで(1970〜1980年代のウェッジシェイプを避け)1950年代と1960年代に活躍したフェラーリの伝説的なレーシングカーを連想させる”流れるような”ラインを強調しています。
なお、ルーフは取り外し式となっており、(取り外しはファクトリーでないとできないものの)これを外すことでバルケッタへと変身させることも可能です。
フェラーリF50に積まれるエンジンはF1マシンから
そして「公道を走るF1」というコンセプトを持つだけあってF1マシン由来の自然吸気のV型12気筒(1992年のF1マシンに搭載されたF130B型)エンジン)を車体ミッドに搭載し、520馬力を発生し、0−100キロ加速3.6秒、最高速度325km/h達成することに。※しかし排気量を4.7リッターに拡大し、かつ扱いやすさを追求したデチューンによっていくぶん(F1マシンに比較して)マイルドな性格を持っている
ホイールはセンターロック、ブレーキはブレンボ製のアルミモノブロックとフロント14インチ、リア13.2インチという巨大なローターが組み合わせられています。
リアウイングはF40から続くボディ一体型。
サイドのブラックのラインもF40を連想させるデザインです。
リアフードのスリット入りポリカーボネート製フードもやはりF40がモチーフだと思われます。
一方、エアロダイナミクスはF40から格段の進歩を遂げており、フロアはフルフラット、そしてグラウンドエフェクトを追求した形状に。
そして通常モデルとの共通性がない独自のドアミラーを持つのもスペチアーレの特徴だと言えそうです。
フェラーリF50の生産台数は349台
なお、フェラーリF50の生産台数は「F40を作りすぎた」という批判を受け入れて349台に制限されており、この最後の「9」とは、エンツォ・フェラーリの信念であった「顧客が求めるよりも、常に1台少なく作る」という考え方を反映したもの。
ただし実際には1台どころか購入希望者の要望よりも遥かに少なく、その希少性と他に類を見ないコンセプトから、瞬く間にコレクターズアイテムとしての地位を確立することとなっています。
今回オークションに出品されるF50(シャーシ番号103274)につき、専門家であるマルセル・マッシーニの調査によると、349台中8番目に製造され、1995年7月に組み立てが開始、完成は10月。
ボディカラーはロッソ・コルサ、インテリアはネロという仕様を持っています。
1995年11月にシンガポールの自動車ディーラー、Hong Seh Motors経由にて最初のオーナーであるアルフレッド・タン氏へと納車されたそうですが、同氏はHong Seh Motorsの(当時の)オーナーで、父親から経営を引き継いだのち、Hong Seh Motorsがフェラーリの公式ディストリビューターとなるために尽力してきた人物なのだそう。
そういった人物だけあってアルフレッド・タン氏はF50を長年にわたって自宅で手つかずの状態で保管し、一度も運転しなかったと紹介されています。
アルフレッド・タン氏は18年間このフェラーリF50を所有した後の2013年、テキサスを拠点とするエンスージアストへと売却し、このF50は2番目のオーナーによってアメリカに輸入され保管されることに。
このフェラーリF50はそれ以来、テキサス州キャロルトン市にあるノーウッド・オート・イタリアの専門家によって整備され、その間には最小限の走行距離にて抑えられていたといい、このあたりが「走行距離わずか1,000キロ」という理由となっています。
2014年6月には、マッチングナンバーのシャシー、エンジン、ギアボックス、コーチワークを有することをフェラーリのクラシックカー部門であるフェラーリ・クラシケが認証しており、直近だと2022年10月にノーウッド・オート・イタリアにて整備を受け、燃料ホース、クラッチの点検、アクセサリーベルト交換、エアフィルター、燃料フィルター、オイルフィルター交換、そしてブレーキとクラッチのフラッシュ、オイル交換が行われていることも記録されています。
今回の出品に際し、新車販売時にセットされていたラゲッジ、取り外し可能なハードトップ用のフライトケースが付属し、1995年の原産地証明書、工場発注書、シンガポールへの輸出時の船荷証券、ノーウッド・オート・イタリアのサービスインボイス、マルセル・マッシーニの鑑定書、フェラーリ・クラシケによるレッドブックが付属する、とのこと。
これまでにも多数のフェラーリF50が出品されてきたものの、これだけ走行距離が少ない個体は他に見たことがなく、まだF50を入手していないコレクターはもちろん、入手済みのコレクターの目にとっても非常に魅力的に映るかもしれません。
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