| スーパーカーやスポーツカーはパーツやコンポーネントどうしのクリアランスが非常に小さく、そのぶんリスクもほか車種に比較すると小さくはない |
さらにエンジンの発生する熱も大きく、そのためどうしても火災のリスクは拭い去れない
さて、フェラーリが北米において296GTBと296GTSに対してリコールを届け出ており、対策が終了するまで「クルマを運転しないよう」呼びかけるという対応を行っています(リコールナンバー23V329000)。
不具合の内容としては「燃料タンクの接続パイプに漏れの可能性がある」とされ、対象となるのは425台。
米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)に提出されたリコール報告書によると、フェラーリ296GTB/296GTSにおいて、アルミニウム製の燃料タンクコネクティングパイプが、ガラス繊維とイノックス鋼でできた高電圧バッテリー保護カバーに意図せず接触する恐れがあることがわかったとのことで、接触した際にはアルミニウムとスチールに化学反応が生じる可能性があるとされ、これによって腐食が生じて燃料漏れにつながり、結果的に296GTBおよび296GTSの火災の危険性を高める、と記載されています。
スーパーカーはほかのクルマとは異なる設計思想を持っている
実際の構造を見ていないので正確なところはわからないものの、一般的にスポーツカーやスーパーカーは「可能な限り」コンパクトに車体を作るため、そして重心を集中させるために重量物を密集させており、よって各パーツ、各コンポーネントのクリアランスが非常に小さくなっているうえ(これに起因して予想外の問題が生じる可能性がある)、エンジンの出力が高いことに起因して発生する「熱」も非常に大きく、そのため(ほかの車種に比較して)様々なトラブルが出る可能性が高いものと考えられます。
このあたり、スポーツカーやスーパーカー、サイズに余裕のあるサルーン、そこまで重量配分にこだわらかくてもいいSUVやミニバン、コンパクトカーとは異なる思想によって作られていて、その特殊性がある種の災難を呼び込むことは否定できないのかもしれません(それでも性能追求のため、”極限”を追求するのがスポーツカーやスーパーカーである)。
今回の問題について、フェラーリは、現在の燃料タンク接続パイプを、耐腐食性のゴム製保護スリーブを装着したものに交換することによってこの問題を解決するといい、北米では7月7日までに該当する車両の所有者に通知書を送付し、修理の日程を決めるためにフェラーリ・ディーラーに連絡するよう指示するとともに、「車両の使用を控えるよう」要請することになるもよう。
問題が発見されたのは中国にて
なお、この問題が発見されたのは4月12日に中国で行われた納車前点検においてだとされ、ここで腐食と燃料漏れを発見したそうですが、その後、別の車両においでもコネクティングパイプに同様の劣化が確認されたために調査を開始し、その結果として「設計上の欠陥によりパイプと保護カバーが意図しない形で接触していること」を突き止めています。
フェラーリによれば、この問題に関連した事故、負傷、実際の燃料漏れ、死亡の報告は受けておらず、NHTSAが公開したフェラーリからの文書によると、フェラーリは現在ディーラーにある296GTB/296GTSの問題が修正されるまで販売を停止することも決定済み。
加えて、現在生産中のフェラーリ296GTB/296GTSについては対策部品が使用されており、4月20日以降に生産される車両には新しいパーツが組み込まれているようですね。
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参照:NHTSA