| やはりフェラーリ「XXプログラム」直系はダテではない |
数値的なスペックの違いは小さいかもしれないが、表れるタイムの差は比較的大きい
さて、レビューが解禁されたばかりのフェラーリSF90 XXですが、フェラーリが公式にフィオラノ・サーキットにおける「市販車最速記録を樹立した」と発表。
ステアリングホイールを握ったのはフェラーリの開発テストドライビング責任者であるラファエレ・デ・シモーネ、そして軽量カーボンファイバーホイールとミシュランCup2Rタイヤが装着され、第三者の認定機関とメディア立会のものと記録が更新された、とのこと。
なお、今回SF90 XXが記録したタイムは1分17秒309で、これまでの記録保持者であったSF90ストラダーレ(オプションのアセットフィオラノ・パッケージ装着車)のタイムをを1.4秒短縮しています。
フィオラノ・サーキットとは
今回の記録更新に使用されたフィオラノ・サーキットとは、フェラーリが本社すぐ近くに有するテストコースであり、51年前にエンツォ・フェラーリの命によって設置されたコースです。
全長約3キロ、FIAグレード1Tに分類されるサーキットですが、フェラーリはここでロードカーの開発やF1マシン含むレーシングカーの開発を行っており、晩年のエンツォ・フェラーリはこのコース脇に拠点を移して過ごしたことでも知られます。
参考までに、フェラーリ・ラフェラーリの最速ラップは1分19秒709、812コンペティツィオーネは1分20秒008、296GTBは1分21秒、458スペチアーレだと1分23秒50、F40は1分29秒60というタイムを記録しており、フェラーリのロードカーがいかに進化したかもわかりますね。
なお、レーシングカーまで含めるとなると、ファステストラップはミハエル・シューマッハがフェラーリF2004で記録した0分55秒999だとされ、意外なことに「最新のF1マシン」ではなく、これはF1マシンそのもののレギュレーションの変更によるものなのか、それともミハエル・シューマッハのスキルによるところが大きいのかはちょっと気になるところです。
フェラーリSF90 XXは799台のみが生産される限定モデル
そしてこのフェラーリSF90 XXは799台のみが生産される少量限定モデルであり(オープン版としてSF90 XX スパイダーが別途599台用意される)、SF90ストラダーレに比較して30馬力パワフルで、10kg軽く、そしてダウンフォースは2倍というクルマ。
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ただし最大のトピックは、フェラーリが限られた顧客を対象に開催している「XXプログラム」直系として”初の”公道走行モデルということですが、これがフェラーリとしては非常に珍しい「リアウイングを装着したロードカー」へのエクスキューズになっているものと思われます。
一方、通常の仕様を考慮して快適装備系が残されていることもひとつの特徴であり、フェラーリとしては「ガレージにしまっておくのではなく、日常的に運転して欲しい」という願いを込めているのかもしれません。
なお、サーキット走行専用の「XX」モデルとしては、FXX-K Evo、599XX、エンツォフェラーリをベースとしたFXXが存在し、そこから得られた成果は様々な市販車へと反映されていて、とくに488ピスタや812コンペティツォーネといったハードコアモデルにその傾向が顕著ですが、XXプログラムは市販車をベースに開催され、市販車への(そこで得られた知見の)フィードバックを目的に運営されているため、F1からの技術的フィードバックとは違う角度からの効果が期待できるようですね。
フェラーリSF90 XXのレビュー動画はこちら
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