
あまりの美しさに「フォードが自ら購入し自社に展示した」という逸話も
そしてこのクルマのデザインは当時20代後半であったジョルジエット・ジウジアーロである
イタリアン・ラグジュアリーと俊敏な走りの融合を象徴する最高峰のGT(グランツーリスモ)ブランド、マセラティ。
その歴史の中で最も美しく、アイコンとして語り継がれるモデル「ギブリ(Ghibli)」が、1966年のトリノ・モーターショーでの発表から60周年という大きな節目を迎えることに。
そしてマセラティは2026年11月3日、創業家であるマセラティ一族の手によって大切に受け継がれてきた1970年製「ギブリ SS クーペ」に対し、厳格な歴史的価値を証明する「マセラティ・クラシケ(Maserati Classiche)」の公式認定(Certification of Authenticity)を授与したと発表し、半世紀の時を超えて輝きを放ち続ける名車の全貌、そしてマセラティが未来へ継承するクラフツマンシップについて見てみましょう。
Image:Maserati
記事要約
- トリノ・モーターショーでのデビューから60周年を迎えた伝説の「ギブリ」を祝し、マセラティ一族が所有・保管してきた1970年製「ギブリ SS クーペ」が公式歴史遺産保護部門「マセラティ・クラシケ」の認定を取得
- 巨匠ジョルジェット・ジウジアーロ(カロッツェリア・ギア時代)が手掛けた流麗な2+2クーペボディに335馬力を発生する4.9L V8エンジンとZF製5速MTを搭載し、最高速度280km/hを誇るGTカー
- モデナの本社やウンベルト・パニーニ・コレクションをはじめ、国際的なオーナーズクラブとともに歴史的車両が集結し、現行の「グランツーリスモ」へと受け継がれる伝統と美学を提示している
マセラティ一族が所有する「ギブリ SS クーペ」の概要
今回認定を受けた車両(シャシーナンバー:AM115/491948)は、1970年11月25日にイタリア市場向けに納車された非常に特別な「ギブリ SS クーペ」。
Image:Maserati
新車出荷当時のボディカラーは「Oro Longchamps(ゴールド)」であったものの、現在は鮮やかな「Giallo Fly(イエロー)」の塗装が施され、インテリアには当時からのオリジナルのブラックレザーがそのまま美しく残されています。
創業者たちの情熱と記憶を宿したこの個体は、ブランドのルーツと未来を繋ぐ象徴として、モデナにあるウンベルト・パニーニ・コレクションなどに代表されるマセラティの貴重な歴史遺産の一角を成しており、そして今回「晴れて」マセラティ・クラシケ取得と相成ったというわけですね。
巨匠ジウジアーロが生んだデザインとパワフルなスペック
初代ギブリは、当時カロッツェリア・ギア(Carrozzeria Ghia)に所属していた弱冠20代後半の天才デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロによってデザインされており、ロングノーズ・ショートデッキの圧倒的なプロポーション、そしてリトラクタブル・ヘッドライトを採用した低いフロントノーズ、さらには流れるようなファストバックのリアスタイルを有し、現代の最高峰GTカーの原点であるとも評される存在です。
Image:Maserati
-
-
【これを押さえておけば大丈夫】ガンディー二にジウジアーロ、近代のデザイナーまで。自動車デザインの歴史を塗り替えた「伝説のカーデザイナー12人+α」
Life in the FAST LANE. | 名車の影には必ず「名デザイナー」が存在する | そしてデザイナーの情熱が名車を作り上げる 単なる移動手段としての「道具」を超え、見るものの心を奪い、走 ...
続きを見る
今回クラシケの認証を取得した「マセラティ一族によって所有されるギブリ SS クーペ」の主要スペックは以下の通り。
| 項目 | スペックおよび詳細 |
| 年式・ボディタイプ | 1970年製 2+2 クーペ(ギア製デザイン) |
| シャシーナンバー | AM115/491948 |
| パワートレイン | 4.9L V8 ガソリン(キャブレター仕様・ドライサンプ潤滑) |
| 最高出力 | 335 hp |
| トランスミッション | ZF製 5速マニュアル・トランスミッション |
| 最高速度 | 280 km/h |
| エクステリア / インテリア | Giallo Fly(イエロー) / オリジナルブラックレザー |
ドライサンプ潤滑方式を採用することでV8エンジンを極限まで低い位置に搭載することが可能となり、この低重心なメカニズム、そして流麗なボンネットラインが実現されていますが、その洗練されたスタイルと圧倒的なパフォーマンスは、かのヘンリー・フォード2世をも魅了し、デザイナーへのインスピレーションを与えるという目的にて、自社デトロイト開発センターのロビーに展示するために(フォードが)購入したという逸話も残されています。
Image:Maserati
競合・他社クラシックカー事業との比較と「マセラティ・クラシケ」の位置付け
昨今、ポルシェやフェラーリ、アストンマーティンなどのプレミアムブランドが歴史的価値の保全を目的とした「ヒストリック部門(クラシック部門)」を強化しており、マセラティも2021年に「マセラティ・クラシケ」を設立し、カスタマイズおよび伝統継承部門「BOTTEGAFUORISERIE(ボッテガ・フオーリセリエ)」の傘下で事業を展開している最中です。
-
-
「普通のクルマは寿命の限られた消費財かもしれませんが、フェラーリはまったく違います」。フェラーリ自らが文化財保護と語る、フェラーリ・クラシケの活動とは
| フェラーリはクルマではなく「ブランドを」売っている | ここまでブランド価値向上に注力する自動車メーカーはフェラーリをおいてほかには無いだろう さて、フェラーリのクラシックカーは非常に高額なことで ...
続きを見る
マセラティ・クラシケの最大の特徴は、単なるパーツ供給やレストアにとどまらず、社内アーカイブに保管された当時の膨大な製造記録や図面、技術文書を基に、専門家による厳格な分析を経て「確かな本物であること」を公式証明する点にあり、対象となるのは製造から20年以上が経過した市販車や限定車、モータースポーツ車両に及び、コレクターズアイテムとしての資産価値と自動車文化としての価値を恒久的に高める役割を果たしています。
-
-
マセラティがクラシックモデルの認証とレストアを開始、第一号の「ミストラル3700」の認証が完了。ちなみにマセラティの車名が風に由来するようになったのはミストラルから
| マセラティはモータースポーツにおいて華々しい歴史を誇っている | 昨年より再ブランディング開始、そしてあの日の輝きを取り戻してほしいものだ さて、マセラティは昨年大きく体制を変更し、パーソナリゼー ...
続きを見る
さらにマセラティは今年がちょうど「トライデント(三叉の銛エンブレム)誕生100周年」ということもあり、そしてブランドのリブートの柱の一つとして「歴史」を押し出していて、その中で「マセラティ一族が保管するギブリ」という存在はまたとないアイコンとなりうるのかもしれません。
-
-
100年の魂を宿すマセラティ「MC PURA チェロ トリブート1926」が電撃デビュー。伝説のレーシングカーを現代に甦らせた至高のワンオフモデル
Image:Masrtati | ミッレミリアの熱気とともにモデナで覚醒した、美しきワンオフ・マセラティ | 製作されるのは1台のみ、VIP顧客へと納車 イタリアのモータースポーツの歴史が最も熱く燃え ...
続きを見る
Image:Maserati
60周年を祝う歴史的モデル群と現代「グランツーリスモ」への繋がり
ギブリ60周年のイベントでは、マセラティ・オーナーズ・クラブ・イタリアの協力により、歴史的に貴重なモデルがモデナ本社へ集結するといい、パニーニ・コレクション所蔵の希少な「ギブリ スパイダー」をはじめ、イタリア政府で要人警護に使われた装甲仕様の「クアトロポルテ III」、特別仕様の「クアトロポルテ III ロイヤル」、そして1996年にパワーボート世界記録を打ち立てた船体に敬意を表して36台のみ限定生産された「ギブリ II プリマティスト(Primatist)」など、ファン垂涎のラインナップが顔を揃えることになるのだそう。
そして1966年にギブリが切り拓いた「魅惑的なデザイン、優れたパフォーマンス、長距離走行の快適性」というイタリアン・グランツーリスモの哲学は、現代の最新モデル「マセラティ グランツーリスモ」へと受け継がれているといい、伝統のV6ツインターボ「ネットゥーノ(Nettuno)」エンジン搭載モデルから、100%電気自動車である「グランツーリスモ フォルゴーレ(Folgore)」に至るまで、時代が変わっても一目でマセラティとわかる美学と走りの歓びは今もなお息づいています。
Image:Maserati
結論 マセラティ一族が守り抜き、マセラティ・クラシケの認定によってその本物としての価値が永遠のものとなった1970年製「ギブリ SS クーペ」。
デビューから60周年を迎えた今もなお色褪せないその優美なプロポーションとV8エンジンの情熱は、モデナの伝統とクラフツマンシップを象徴する宝であり、未来へ向かうマセラティの歩みを力強く照らし続けているかのようですね。
合わせて読みたい、関連投稿
-
-
マセラティが経験してきた「情熱と苦難の110年」。その歴史における情熱、試練、そして再興の軌跡
マセラティの歴史は様々な変遷の上に成り立っている 序論:トライデントの肖像 - 情熱と苦難の110年 現在その「苦難」が大きくクローズアップされるマセラティ。 イタリアを代表する高級自動車ブランドでは ...
続きを見る
-
-
「フェラーリ」「ランボルギーニ」の次はマセラティ。映画『マセラティ:ザ・ブラザーズ』では名門の栄光と悲劇がアル・パチーノら超豪華キャストで描かれる
Life in the FAST LANE. | 信じられないレベルの豪華キャストが集結。『マセラティ:ザ・ブラザーズ』予告編解禁 | まさかマセラティの映画がハリウッドにて制作されようとは フェラー ...
続きを見る
-
-
アルファロメオとマセラティが「内燃機関搭載モデル」をそれぞれ2車種追加すると発表。アルファはフラッグシップ、マセラティは高級グランドツアラー投入へ
| ステランティスが放つ“起死回生”の新型4モデルの正体とは | ひとまずステランティスに「残る」こととなったアルファロメオとマセラティではあるが 美しいデザインと官能的な走りで世界中のカーガイを魅了 ...
続きを見る
参照:Maserati

















