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日産はホンダとの合併に際し「2026年までに営業利益を4000億円に持ってゆく」信頼できる根拠を示す必要があるものの、現時点での利益は下方修正によって1400億円にとどまり、合併に暗雲が立ち込める

日産(NISSAN)

| やはりこの合併はホンダにとってあまりメリットがある話ではないだろう |

日産がここから利益を回復させることは(様々な状況から判断し)非常に難しい

さて、現在日産とホンダは合併の可能性を探るべく協議中ではありますが、そこでは様々な課題が山積し、つい先ごろには「ルノーの持つ日産株37.5%」が障壁になるのではと報じられたばかり。

そして今回懸念として上がっているのが「日産が合併に必要な利益をあげる事ができないのではないか」。

日産
日産とホンダとの合併に「新たな問題」が生じる。ルノーが持つ37.5%の日産株の不確実性にホンダが懸念、日産に買い戻しを打診するも「そのコストは5650億円」

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日産は利益を3倍にせねばならないものの、2024年ではむしろ90%の減益を記録している

先月の(ホンダと日産による)合同記者会見では、両社が2026年8月という合併の仮のタイムラインに向け、日産の営業利益を大幅に増加させるという野心的な目標を示すグラフを公開していますが、これはホンダの社長兼CEOである三部敏宏氏が言う通り「日産とホンダがそれぞれ独立した企業として成功を収めなければ、統合は実現しない」という考えに基づいたもの。

両者の合併においては「持株会社」が誕生し、その下にこれまでと同じく日産とホンダが別々に存続して(つまり日産とホンダとが同じ会社になるわけではない)個別に活動しつつも技術やプラットフォームを共有しながらスケールメリットを追求することとなるわけですが、もし日産が「永遠に赤字体質」であれば、ホンダのあげた利益が日産によって食いつぶされるだけになってしまい、文字通り「合併する意味がなくなってしまう」わけですね。

そして会見時に掲げられた目標が「日産は2026年度に約4000億円の営業利益をあげる」というもので、そうしなければホンダに見限られてしまうリスクが存在し、日産は合併を確実にするために利益を大幅に増加させるという圧力に直面していて、明確な財務改善がなければ合併が実現しない可能性が高まっていきています。

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ただ、ここで掲げられた目標は非常に厳しいもので、なぜなら日産の営業利益は90.2%減少し、3367億円から329億円に落ち込み、営業利益率はわずか0.5%となったから。

さらに、2024年度の上半期には、純利益が前年同期比で93.5%減少し、2962億円から192億円に激減しています。

そして2025年に入ったものの、日産はなんらかの期待の新製品を市場へと投入したわけでもなく、新しい生産設備が稼働して納車台数を増加させる見込みがあるわけでもなく(むしろ需要が減り生産規模を縮小している)、2026年度までに(2024年度の通気見通しである)1400億円をを4000億円に増加させるというのは絵空事に近いようにも思えます。

日産とホンダとの合併は暗礁に乗り上げる?

日経アジアによると、合併後のグループは年間3兆円の利益を上げ、1兆円のシナジーを生み出すことを目指しているそうですが、そのため日産は長期的に6000億円の利益を上げる必要が指摘されており、それ以前に日産が2026年度までに(公式発表で掲げた)4000億円の利益を獲得するための信頼できる戦略を示せなければ”合併は実現しない可能性が高い”。

参考までに、ホンダは2024年度に約1兆4200億円の営業利益を見込んでいて、一方で日産は通期見通し営業利益を1500億円に下方修正しており、(非常に)困難な状況を浮き彫りにしています。※日産の内田誠社長は「350万台を販売すれば利益を上げ、株主への還元と成長投資を行うことができる」と述べるが、2024年度に予想される販売台数は340万台にとどまる

ホンダ

現時点では合併に関する多くの条件にはまだ最終決定が下されておらず、日産とホンダは6月に株式移転比率を決定する予定であり、合意書調印前の株価平均を考慮に入れることになりますが、合併発表後、ホンダの株価は、日産がホンダを後押しできないかもしれないという懸念から急落しており、市場も「今回の合併には困難が伴う」という判断を下しているように思えます。

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