| SUVブームは長く続かないだろう |
高名なカーコレクター、ジェイ・レノ氏がメディアのインタビューに答え、今後のコレクター界におけるトレンドと「価値が上がりそうな」クルマについてコメント。
まずは今後のトレンドですが、現在の「SUV一強」現象を踏まえ、「今後これは長続きしないだろう」と答えています。
ただ、これは「一般に売れる」クルマではなく「コレクターズアイテム」に限っての話。
マツダ・ロードスターは「未来のクラシックモデル」
SUVでのコレクターズアイテムというと70系ランクル、ランドローバー・ディフェンダー、メルセデス・ベンツGクラスが思い浮かびますが、ジェイ・レノ氏はこれらよりも「マツダ・ロードスター」と「初代トヨタ・プリウス」が次に来る、とのこと。
マツダ・ロードスターについては特定世代を指したわけではなく、シリーズ全体が「現在のマスタングのように」幅広い世代に愛され、かつ旧いモデルも新しいモデルも同じように支持を集めるだろう、としています。
この理由としては「求めやすい価格で、エンスージアストも納得の楽しさを持っている」こと、「レアすぎず、一般性がある」ことを挙げています。
たしかに「レアすぎない」というのは重要な要素で、マスタングもここは同じですね(数が少ないと価格が上がりすぎて、一般コレクターやファンにとって手の出ないモデルになる)。
映画「ルーパー」でも、初代マツダ・ロードスターを2044年の未来に「EVに改造して」大切に乗っている主人公が登場し、米国でロードスターは「将来にわたって残る資産」であると一般に認識されているのかもしれません(スニーカーだとコンバースみたいなものかも)。
プリウスも外せない
そしてもうひとつ、意外なのは「初代プリウス」。
いったいなぜ?と思うのですが、ジェイ・レノ氏いわく「プリウスはけしてエンスージアストに受けるクルマではない」と前置きしながらも、「ハイブリッドを一般に広め、革命を起こした意義は大きい」とし、将来的にコレクターの注目を集めるだろうとしています。
初代プリウスは「将来」的に性能の絶対的・相対的劣化によって自動車としての価値はなくなってしまうと思われますが、そのエポックメイキングな存在として、自動車史を語る際に「外せない」の確か。
言うなればレトロゲーム機(ファミコンのような)のようなもので、現代のゲーム機に比較すれば性能は劣るものの、社会に与えた影響や知名度、特定世代の人に与えたインパクトからすると「いつまでたっても色褪せない」価値を持つということなのでしょうね。
プリウスもよく映画に登場する車ですが、「環境を気にする、意識高い系」の人が乗る車として描かれることが多く、つまりは「人々が共通のイメージを、しかも明確にいどくことができるクルマ」だと言え、それだけ認知度が高いとも言えます。
GM EV1の価格は急上昇中
なお、プリウスの価値が上がる「根拠」としてとしてジェイ・レノ氏が挙げたのが「GM EV1」。
これは最初の世代となるEV(その意味では初代プリウスと立ち位置がよく似ている)で、1996-1999年にカリフォルニアとアリゾナ地域のみにて、かつ「リースのみ」で提供されたクルマ。
初期型の生産台数は650台、後期型は不明(これよりも少ないはず)。
世界初の量産EVとし、満を持してスタートした「EV1計画」でしたが、機械的トラブルが相次いでプロジェクトは休止。
そのためGMはEV1を回収してほとんどを廃車にしたといい、残った個体の価格は1台5000万円程度に値上がりしている、とのこと。
米環境省(EPA)が定めたEVの燃費(ガソリン等価換算燃費)基準、MPGeだとEV1は205となり、日産リーフで128、テスラ・モデルSで98、BMW i3で109だとされ、「失敗作」と言われた割には現代のEVと比較しても「最高レベル」の数値を持っているようですね。
ところでホンダ・インサイトは?
ここでぼくが思い出すのは初代ホンダ・インサイト。
これもプリウスと同じハイブリッドカーですが、燃費のためにほとんどを犠牲にしたクルマで、空力改善のためにスパッツやアンダーカバーを装着したり、スピーカーのマグネットの重量を嫌い高価なフェライト磁石(時事力が強く軽い)を使用したり、重量が増えると走らなくなるので2シーターに限定したり、というクルマ。
燃費としては当時プリウスを抜いて「最高」を誇っており、これも「ゲームチェンジャー」のうちの一台。
ただ、「犠牲を最小限に留め、しかしインサイトと同等の数値」を達成したプリウスのほうが(燃費ナンバーワン、しかし犠牲の多いインサイトよりも)高く評価されるべきなのかもしれません。
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