
| こうなると気になるのが「アフィーラ」の行方であるが |
この記事のポイント
- 四輪事業が赤字転落:2025年4〜12月期で1,664億円の営業赤字を記録
- 戦略の修正:北米市場のEV失速と米関税の影響で、従来のEVロードマップを「白紙」含む大幅見直し
- GM提携の解消:GMのプラットフォーム採用を縮小し、自社開発へリソースを集中
- ハイブリッド回帰:2030年のハイブリッド販売目標を220万台へ倍増させ、経営の立て直しを図る
- 新型車は継続:次世代EV「0シリーズ」や電動「アキュラRSX」は2026年後半に投入予定
ホンダを襲った「EVの冬」と米国の冷戦
「2040年に新車販売をすべてEV・FCV(燃料電池車)にする」という、日本のメーカーで最も過激な目標を掲げていたホンダ。
今まさにその代償を払っているという状況にあり、直近の決算では、EV関連の在庫や設備で2,671億円の減損損失を計上し、さらに米国での高い関税負担が2,898億円の利益を押し下げるなど四輪事業は危機的な状況にあります。
貝原典也副社長は「北米のEV市場環境はマイナスの状況だ。中国の計画もいったん白紙に戻す」と述べ、これまでの強気な姿勢を一転させているのが直近の状況となっています。
2026年以降の逆転シナリオ:ハイブリッド強化と自社開発EV
ホンダは今後、膨らみすぎたEV投資を削り、需要が急増している「ハイブリッド車(HEV)」で収益を確保しつつ、自社開発の次世代EV「0シリーズ」に勝負をかけるという新しい戦略を提示しています。
そして「ハイブリッドへとシフト」という戦略は多くの競合他社とも共通する内容ではあるものの、「EVを自社開発」という部分は他社とは大きく異なっていて、この部分には着目する必要があるのかもしれません。
ホンダの新旧戦略比較
| 項目 | 修正前の計画 | 2026年以降の新戦略 |
| EV販売比率(2030年) | 全体の30%〜40% | 20%程度へ下方修正(柔軟に変更) |
| ハイブリッド販売目標 | 現行の延長線上 | 220万台(2030年目標) へ大幅増 |
| EVプラットフォーム | GM製「Ultium(アルティウム)」 | 自社開発「0シリーズ」 へシフト |
| 四輪事業の注力点 | 急進的なEVラインナップ拡大 | 収益性の高いハイブリッドと二輪で支える |
注目される「2026年後半」の新型車
戦略修正の真っ只中にあっても、ホンダの「魂」とも言えるモデルの開発は止まっておらず・・・。
- Acura RSX(電動プロトタイプ生産型):2026年後半、オハイオ州のEVハブから出荷開始。ホンダ自社開発プラットフォームの第一弾に
- Honda 0 Series SUV:CESで注目を集めた「薄い・軽い・賢い」がコンセプトの次世代EVで、2026年内の投入を予定
Image:Honda
関連知識:なぜホンダは「GMとの蜜月」を終えたのか?
ホンダとGMは当初、低価格帯EVの共同開発を進めていましたが、2023年末にこれを解消。さらに今回の決算では、GMのプラットフォームを使った「ホンダ・プロローグ」や「アキュラZDX」の販売不振も確認されています。
この背景には、「ホンダらしさ」の喪失があると分析されており、つまるところ「他社のプラットフォームを使うことでビジネス上のスピード感は出せたものの、ホンダらしい軽快な走りや独自性を出しにくかった」というわけですね。

Image:Honda
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そのため、今後は自社の「0シリーズ」プラットフォームにて再び「ホンダにしか作れないEV」を目指す原点回帰の姿勢が鮮明になっているのですが、これはかなり「コストがかかる作業」でもあり、他社と手を組むフォード、ステランティス、ルノー、フォルクスワーゲン等とは大きく異なる戦略です。
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昔からホンダは「純血を守る」傾向にあると言われるものの、それによって「ホンダらしさ」を失わずにすむ反面、「コスト」という非常に大きな代償を払うことに。
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ぼくとしては、「何もかも自社開発を行うことがホンダらしさを守る唯一の方法ではない」とも考えていて、提携や共同開発を行ったとしても「自社らしさ」を打ち出す方法は存在し(実際、ポルシェがこれを実現している)、ホンダとしては「この新しい時代において」、新しい方法によってホンダらしさを表現する方法を考えたほうがいいんじゃないかとも考えています。
実際のところ、ホンダ自身も「ホンダらしさ」を見失っている可能性が考えられ、もしホンダがそれを十分に理解できていたならば二代目NSXはもっと違った結果となっていたはずであり(自社開発にもかかわらず成功を収めることができなかった)、まずはホンダは自分自身とじっくりと向き合う必要があるのかも。
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参考までに、ぼくの考えるホンダらしさとは、けして「スポーツ」ではなく、それまでの固定観念をひっくり返してしまうような「新しい価値観の提示」であり、シティターボや初代ステップワゴン、初代オデッセイなどで見せた”新種”の誕生、そして初代NSXが提示した「普通に乗れるスーパーカー」というパラダイムシフトであり、つまりは「発想の転換」にあるとも考えています(反面、今のホンダは100年に一度という自動車業界の変革期にある大きな流れに飲まれてしまっている)。
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結論:理想主義から「現実的な勝利」への転換
現在の戦略に話を戻すと、「全車EV化」という高い理想は素晴らしいものですが、今の市場が求めているのは、信頼性の高いハイブリッド車と、本当の意味で革新的なEV。
今回の戦略修正は、一時的な「後退」に見えるかもしれません。
しかし、二輪事業(バイク)が記録的な販売台数を叩き出して支えている今のうちに、四輪の出血を止めて「ホンダ製EV」に磨きをかけることは、将来の「逆転満塁ホームラン」に必要な準備期間だと解釈することも可能です。
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参照:Honda


















