| ここまで芸術的なパイプ取り回しを実現する職人もそうそういない |
世の中には様々なカスタムカーがありますが、今回はマツダ・ロードスターにトヨタのV12エンジン(1GZFE)をスワップしてしまった男が登場。
現在まだ車両は製作中であり、自身のYoutubeチャンネルにてその過程を披露していますが、とにかくその技術と根気には頭が下がります。
もともとロードスターに積まれるのは4気筒エンジンなので、相当に無理をすることになるものの、エキゾーストパイプの取り回しを工夫することでなんとか納めているようですね。
なお、こういった「手間のかかるカスタム」について、一般的にショップでは割に合わずに請け負うことはできないと思われ、まさに個人ビルダーにしかできないカスタムだと言えそうです。
ロードスターのエンジンスワップは珍しくないが
なお、マツダ・ロードスターは(米国だと2リッターエンジンを積むものの)非力だと言われることが多く、よってエンジンスワップ(それでもV8どまり)やターボ/スーパーチャージャーを装着するケースも多数。
英国BBRからは比較的安価なターボ/スーパーチャージャー後付けキットも登場していますね。
しかしながら今回ロードスターに搭載したのはよくあるGM製のV8ではなく、280馬力を発生するトヨタ製のV12エンジン「1GZ-FE」。
これはトヨタが先代までのセンチュリーに搭載していたもので(現行センチュリーはV8+ハイブリッド)、排気量は5リッター、出力は280馬力を誇ります。※280馬力自主規制がなければ、もっと出力が出ていたと言われる
ベースは直6エンジンだとされ(これを2つくっつけている)、となると1JZ系と設計をともにしている可能性が高く、そうなると「非常に信頼性が高く、高度なチューニングに耐えうるタフなエンジン」。
現在でも「速度違反最高記録(時速358キロ)」ホルダーであり続ける”トップシークレット製V12スープラ”に積まれるのもこの1GZ-FEで、ただしこちらは片バンクに一つづつターボを装着したツインターボエンジンであり、その出力はなんと930馬力。
そしてこのロードスターにはエアクリーナーボックスはなく「12連ファンネル」。
エンジン自体も「赤いヘッドカバー」を見て分かる通り、すでに手が入っているようですね。
さらに驚かされるのは、芸術品のような「エキゾーストパイプ」。
ちなみにこのパイプは「12 in 1」つまり12本をイキナリ1本にまとめるもので、本人曰く「世界初」。
通常は片側6本を1本にまとめるものですが、この「V12ロードスター」では12本を1本にまとめるという荒技を採用しています。
もちろんパイプはすべてハンドメイド。
1本ごとに異なる形状が必要で、しかもこういった複雑な形に加工してゆきます。
それを1本づつ丁寧に取り付け。
なお、片バンクから取り出したパイプはいったん前に引き出し、そこで1本へと集合させます。
さらにはツインターボ化も行うようですね(しかもかなりタービンが大きい)。
思いっきりエンジンが飛び出るのかと思えば意外と収まるもので、それでも一部はボンネットと干渉するためにボンネットを加工する必要も。
ちなみに車体フレームの先端は「エキゾーストシステムを収めるために」カットし、新たにパイプにて作り直しています。
現在のところはまだまだ製作中であり、完成状態がどんな車になるのかはわかりませんが、とてつもなくフロントヘビーなクルマとなり、かつ「12 in 1」ツインターボという世にも稀な構造を持つだけに(排気干渉とか大丈夫なんか・・・)、一体どういった走りを見せるのかにも期待です。
なお、「熱がヤバい」とのことで、ラジエターやインタークーラーの取り回しにも興味があるところですね。