| トヨタはbZシリーズを最大で7台まで拡大する計画を持っているようだ |
EV単体というよりも、EVを発売することでカーボンニュートラルを実現するという壮大な計画そのものを重視している模様
さて、トヨタがbZ4Xの詳細を公開。
今回の情報公開においてはメカニズム面よりも「思想」について触れるところが多く、そのアプローチが「プラクティカル&サステナブル」であること、bZシリーズとは「beyond Zero(ゼロを超えた価値)」であることなどが述べられています。
さらには地球を「ホームプラネット」と表現し(大きく出たな・・・)、”CASEへの対応による技術革新でクルマの可能性を広げ、すべての人の移動を自由にするサービスの提供に取り組むとともに、SDGsの達成に貢献したいと考えています”とコメント。
トヨタはすでに2050年にカーボンニュートラルを実現することを公言していますが、HEV/PHEV/BEV/FCEVという電動車のフルラインアップ化を推し進めること、そしてbZシリーズもこの方針に基づいていることについても言及しており、bZ4Xはこういった計画の中の一つにしか過ぎない、ということですね。
bZシリーズには4つの目標価値がある
加えてトヨタはbZシリーズに4つの目標価値を設定しているといい、その概要は下記のとおりです。
トヨタ bZ4X 4つの価値
- You & Othersヒトとヒト・・・快適な移動空間に加え、大切な家族や仲間と過ごすかけがえのない時間と新しいライフスタイルを提供
- You & Your Carヒトとクルマ・・・BEVならではの運転の楽しさ、可能性を期待させるワクワク感の提供
- You & the Environmentヒトと地球・・・CO2排出量など、マイナスを減らすだけではなくプラスを生み出す
- You & Societyヒトと社会・・・安心・安全な社会づくりへの貢献
トヨタbZ4Xはこんなクルマ
そしてトヨタbZ4Xそのものについてですが、こちらについても「概念」を全面に押し出しており、まずコンセプトとして「Activity Hub」を掲げ、これは「bZ4Xは単なる移動手段ではなく、乗員全員が楽しい時間や空間を共有できる」ハブとしての機能をもたせるという考え方。
この概念については相当量がトヨタから情報提供がなされているものの、それらを見てもあまりに抽象的なので、具体的にどんなクルマなのかを見てみると、「専用のe-TNGAスケーラブル・アーキテクチャーを採用したFFとAWD」で、ハンマーヘッドシャークをモチーフにしたデザインを持ち、355ボルトのリチウムイオン電池は(71.4kWh)を床下に内蔵した電気自動車。
効率を上げるため緻密な温度制御を行い、WLTPサイクルでの満充電あたり航続距離は2WD車で約500km、重量級のAWD車で約460kmだとアナウンスされており、バッテリーは最大6.6kWのAC充電と最大150kWのDC充電に対応し、30分で80%の充電が可能です。
驚くべきことに、トヨタは10年間または24万km走行した後でも、バッテリーの容量が90%に保たれるとしており、同時に、バッテリーの電圧、電流、温度のリダンダントモニタリング、コンタミネーションの除去、高抵抗のクーラントなどを用いた「バッテリーセルの高度な安全性」により、衝突時の「保護性能」も確保している、とのこと。
2WD車には201ps(150kW/204PS)のエレクトリックモーターをフロントに搭載して前輪に駆動することで0-100km/h加速を8.4秒で加速し、AWD車にはツインモーターを搭載し、それぞれ107ps(80kW/109PS)、合計215ps(160kW/218PS)の出力を発揮します。
AWD車の車重は2WD車に比較して85kg重い2,005kgとなるものの、パワーとトラクションの向上により、0-100km/h加速は7.7秒をマークし、スバルのAWD技術である「Xモード」と「グリップコントロール」をトヨタとして初めて採用することに。
bZ4Xはトヨタ初のBEV専用アーキテクチャー「e-TNGAプラットフォーム」を採用しますが、これはもちろんスバルとの共同開発となり、低重心・高剛性を実現していることが大きな特徴。
サスペンションは、フロントにストラットタイプのコイルスプリング、リアにダブルウィッシュボーンタイプのコイルスプリングを採用し、さらにはSUVに求められるオフロード性能を追求するとともに、ステア・バイ・ワイヤシステム(トヨタ初)を採用しながらも、ステアリングフィールの向上やシャシーセッティングにより、機敏な走りを実現したとしています。
bZ4Xの全長は4,690mm、全幅は1,860mm、全高は1,650mm、ホイールベースは2,850mmというサイズを持ち、ボディサイズの割にホイールベースはかなり長く、EVならではの構造的メリットを生かしている模様。
そしてこのロングホイールベースにより、5人乗り仕様のキャビンは、室内長1,940mm(76.4インチ)、室内幅1,515mm(59.6インチ)、室内高1,160mm(45.7インチ)の広々とした空間を実現しており、ミディアムセグメントのSUVではクラストップレベルレッグルームを持っているようですね。
トヨタbZ4Xのインテリアはこうなっている
インテリアに目を移すと、デジタルインストルメントパネルと中央に配置された大型タッチスクリーンが目に入りますが、このタッチスクリーンには、OTA(オンライン)ソフトウェアアップデートに対応するトヨタの最新インフォテインメントシステムが搭載されており、クラウドナビゲーションや音声認識機能も強化されています。
また、特殊ガラスによる防音効果や風切り音の低減など、(こちらもEVの美点を活かすべく)静かな走りを実現している、とのこと。
ちなみにステアリングホイールには(通常の円形ステアリングホイールに加え)異形ステアリングホイールを設定しており、こちらはけっこう衝撃的なルックスを持っていますね。
車内に光を取り込むパノラミックルーフもオプションで用意されていますが、ルーフに設置されたソーラーパネルも注目に値する装備で、エアコン、シートヒーター、ステアリングヒーター、前席放射状フットヒーターは、ヒートポンプのエネルギーを利用して最大限の効率を追求しているほか、発売を予定しているDC外部電源機能を使えば、停電時の家庭のエネルギー源や、アウトドアでのあらゆる家電製品のエネルギー源としても活用できる、とも紹介されています。
もちろんCASEを強化するからにはドライバーズアシストも充実しており、トヨタ・アドバンスド・パーク・システムなどを含む最新のトヨタ・セーフティ・センス・スイートのADASが搭載され、ミリ波レーダーや単眼カメラの検知範囲を拡大するなど、ハードウェアも強化されており、将来的には高いレベルの自動運転に対応するのかもしれません。
トヨタはbZ4Xを2022年中頃に全世界で発売し、これに続いて3つのフル電動モデルを追加したのち、2025年にはbZファミリーを7台にまで拡大させる計画を持っていることも明かされています。
今回の発表では具体的なグレードや価格についてのアナウンスはなく、追加での情報公開も待たれますね。
トヨタbZ4Xを紹介する動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=UolII1L4y-k参照:TOYOTA