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(かつて)ポルシェ・ボクスターを買おうとしたこと、そして現在

2017/11/06

|ぼくにとっていつもポルシェはとくべつな存在だ|

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あのとき986ボクスターを手に入れようと努力した経験が今も生きている

ぼくがポルシェに対して非常に特別な感情を抱いていることについて、その製品の素晴らしさのほか、もうひとつ理由があるのですね。
それは、当時のぼくにとって「まったく別世界の存在で、手の届かない」はずのポルシェを頑張って手に入れた、という気持ちにかかわるものです。
支払い総額807万円のボクスターSは当時のぼくにとって年収の倍に至る高額な車であり(今でもその感覚は変わりませんが)、冷静に考えると「年収の倍」の車を買う、というのは正気の沙汰とは思えません。

ですが、ぼくのモットーのひとつとして「できないこと、不可能と思えることにチャレンジしてこそ意義がある」というものがあり、手が届かないものをどうやって手に入れるか?ということを考えたわけですね。
「いつかは買う」では永遠に買えないので、「いつまでに買う」と目標を定めたのです。

様々な苦労がそこにはあったのですが(長くなるので割愛します)、結果として発注に至ったときの感慨というのは特別なものがあったわけです。
ぼくが注文したボクスターは、在庫車ではなくオーダー車ですので、ぼくの指示する仕様に沿ってポルシェAGがイチから「ぼくの車を組み立てる」ことになるのですが、「自分の努力の結果としてポルシェ社に、自分の車を作ってもらうことができた」という達成感は非常に大きなものがあります。

もちろんローンたっぷりですので不安はあったのですが、重要なのは発注に至るまでの“できないことをやろうとした”過程であり、そしてその過程は今後もぼくの糧となると信じていましたし、「最悪売ればチャラ」という思いもあったことも事実。

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買わずに人を羨むよりは、買ってから支払いに苦しむほうが有意義だ

かつてスティーブ・ジョブズが「失敗することは大したことじゃない。それよりも“自分は会社を作った”と言えることのほうが重要だ」と言いましたが、まさにそれと同じですね。
重要なのは、自分の努力で、自分自身のお金でポルシェを買った、というところにあるのです。
払えなくなれば売って出直せば良いですし、仮に売ってしまい手元にポルシェが無くなったとしても、重要なのは「いまポルシェが手元にあること」より、ポルシェを買ったというその「経験」。

「いや自分も頑張ればポルシェ買えたんだけどね」と買わずに言うよりは、実際に発注して納車された経験のある身で「いやポルシェ買ったんだけど払えなくなったから売っちゃったんだ。また買うけどね」と言ったほうがまだマシだ、と考えるわけです(車を購入することは事業の失敗とは異なり、負債が膨らむことはない)。

ポルシェを買ったということ、ポルシェを実際に所有してその楽しさを感じることができるという幸せは支払いの不安に遥かに勝りますし、実際に自分で壁を設定し、それを乗り越えたということは、ぼくの人生において非常に大きな意味を持っているわけです。
そして、当然ながらそれはぼくの以降に人生において大きな影響を与えており、そのためぼくはポルシェを「ぼくの人生を大きな変化に導いてくれた」象徴だと考えているのですね。

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あの時努力してボクスターを手に入れていなければ。妥協できる範囲の車だけを乗り継いでいたならば。今のぼくは間違いなく無いだろう、と断言できます。

そんなわけで、ぼくはポルシェに対して(おそらく他の人とは異なる理由で)特別な感情を持っており、同様の理由から「ポルシェを買おうかどうか迷っている」という人に対してはぜひ買うべきだ、と言いたいと思います。

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