ぼくのお気に入りとなる腕時計ブランド、ベル&ロス(Bell&Ross)からニューモデルが二つ登場。
今回発表されるのは「BR03-92 ホログラフ(黒い文字盤)」と「BR03-92 ホロラム(シルバーの文字盤)」。
両者とも非常にシンプルでベル&ロスらしいデザインではありますが、ブラックのカーボンコーティングはなく、もともとのコンセプトである「戦闘機の計器」という印象も希薄で、同時に「ベル&ロスらしくない」モデルであるともいえます。
ベル&ロスは「BR01」に代表されるデザインで一気に名を上げたブランドで、もともとのバックボーンとして腕時計マニュファクチャラーとしての製造や開発機能を持たず、「デザイナーズブランド」としての側面が強いのが特徴。
↓画像はBR01-92
よって、ブランド最大のウリは「デザイン」となるわけですが、あまりにBR01(とそのスモール版であるBR03)のインパクトが強く、それ以外は「何を作っても受け入れてもらえない」というのが現状です。
ちょうどポルシェ「911」が素晴らしすぎ、911以外のモデルが受け入れてもらえなかった時代のポルシェと似ていますが、ベル&ロス自身もまた、自身が作り出した最高傑作を超えることができない、というジレンマに陥っているのでしょうね。
なおケース素材はステンレススティールで、「マイクロブラスト加工」がほどこされたマットな表面仕上げ。
名前からすると微細な粒子を吹き付けて表面を削り取るものと思われますが(サンドブラスト加工のような)、これは最近オーデマピゲでも「フローズン」として採用されているものと似ており、ひとつのトレンドなのかもしれません。
「BR03-92 ホログラフ」は空港の時計のように「時間を読み取りやすくした」ことが特徴とされ、「BR03-92 ホロラム」は空港の滑走路にある照明コードがモチーフ、とのこと(かろうじて航空機繋がり)。
なお文字盤はパネライの上位モデルに採用される「サンドイッチ文字盤」のような感じですね。
両方ともケースサイズは42ミリ、キャリバーはBR-CAL302.で自動巻き。
価格はどちらも42万円ですが、BR03-92 ホロラムのほうだけが世界限定500本となっています。
ベル&ロスがBR 03に「ラファール」を設定。
ラファールは言わずと知れたフランスの戦闘機ですが、デルタウイング、翼端のミサイルランチャーが特徴ですね。
カタール、インドにも配備されるなどかなり幅広く活躍しており、「バーチャファイター」で武器商人の息子という設定だったフランス人少年リオンの苗字も「ラファール」。
さて、そのベル&ロスの”ラファール”ですが、ひところの「デカ厚」ブームが過ぎたことを考慮してか、イメージリーダーのBR 01よりも一回り小さなBR 03で出してきたところが興味深いですね。
ケースはブラックセラミック、文字盤はグレー。
ハンズもブラックとグレーというベル&ロス得意のカモフラージュ仕様。
クロノグラフ用の針先端がオレンジ、タキメーターの文字もオレンジになっているのが新しいところで、モノトーンにこういった明るい色を使用するのはベル&ロスとしては非常に珍しいですね。
ベル&ロスによると、オレンジは航空機にとって非常に重要な色で、テストフライトのカラーでもある、とのこと。
インデックスはこれもほかのモデルとは異なり小さめ(クロノグラフといえども、いままで大きな文字を使用している)で、そしてラファールの機体に使用されるフォントだそうです。
なおランボルギーニ・ムルシエラゴLP650-4ロードスターもグレー(グリージョ・テレスト)とオレンジの配色で、イタリア空軍をイメージしたカラーリングとなっていますね(斜体のフォントもミリタリー調)。
腕時計メーカー、ベル&ロスがスーパーカー「エアロGTコンセプト」を発表。
ベル&ロスのデザインソースでもある航空機をイメージしたもので、1950年代のグランドツアラー的イメージも反映している、とのこと。
腕時計メーカーが自動車を発表するのは非常に珍しく(過去にはスウォッチ。発表後に撤退してメルセデス・ベンツが全面的に引き受けることになりましたが)、しかしベル&ロスは腕時計メーカーというよりもデザイン会社に近い側面を持っているので、これも当然の流れかもしれません。
ベル&ロスはもともと二人の時計オタクによって設立され、しかし彼らは技術者ではないのでまずはSinnに自分たちのデザインした腕時計を委託生産することからビジネスを開始。
しかしその腕時計があまりに革新的なデザインを持っていたのでラルフローレンの広告に使用されたりと大きな反響があり、シャネルと提携したりと主に「ファッション系」で大きな影響力を持つ腕時計メーカーですね。
現在は工場を保有するに至っていますが、通常は「職人が設立することが多い」腕時計ブランドにおいてはちょっと変わった流れを持つメーカーと言えます(価格帯は異なりますが、リシャール・ミルもコンセプトが先に来て設立されたという意味では似ている)。
なお腕時計メーカーと自動車メーカーとのコラボはけっこう多いですが、購買層が一致しているのかもしれませんね(ベントレーとブライトリング、フェラーリとウブロ、IWCとAMG、ランボルギーニとブランパン、等)。
今回発表された「エアロGTコンセプト」を見ると、斬新な中にもドアミラーのステー、マフラー(?)、サイドのエアインテーク、キャノピーなどに航空機モチーフを見て取ることができますね。
ベル&ロスの腕時計自体は機能的に他に勝るものはとくになく、加工技術や精度においても他ブランドを圧倒するものではありませんが、デザイン的には大きな特徴があり、「身につけていて楽しい」腕時計であることは間違いありません。
なお今回のエアロGTコンセプト発表にあわせ、「BR 03-92 AeroGT/BR 03-94 AeroGT」という二種類の腕時計も発表しています。
ベル&ロスは中古になると非常に安くなるので、(中古購入限定ですが)オススメの腕時計でもあります。
https://www.youtube.com/watch?v=tblNNKhiqLQ
https://www.youtube.com/watch?v=fE9zISoxOPs