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ポルシェはこんなところまで軽量化していた!「超軽量キー/キーシリンダー」

2018/07/31

| ポルシェの軽量化に対する情熱は尋常ではなかった |

ポルシェがその伝説的レーシングカー、「917K」に採用されるキーを紹介。
ポルシェ曰く「モータースポーツ史上、もっとも含蓄に富んだキー」と表現するそれは、ドイツの企業「Kirsten」が開発した超軽量構造を持つイグニッション・キーシステム。

この採用の経緯として、1967年当時、フェルディナンド・ピエヒ氏(ポルシェ創業者、フェルディナント・ポルシェ氏の孫)の指示にてポルシェのモータースポーツ部門は「すべてのコンポーネントについて」軽量化が図られていたとしており、その際に「従来品よりも軽い」として採用されたのがこのイグニッション・キー。

軽量化は「チリも積もれば」でコツコツと

ポルシェ917Kはポルシェ908の後継にあたりますが、実際に重量は908の660キロから917Kでは600キロにまで軽量化。
そのためにはフレームをアルミからマグネシウムに変更したり(50kgの軽量化が達成できたという)、クランクピンの数を減らすべくボクサーエンジンから180度V12へと変更したり(二気筒で一本のピンを共有できる)という努力がなされたそうですが、これはイグニッションキーにまでこだわったからこそ実現した軽量性だと言えそうですね。※エンジンは908が8気筒、917Kは12気筒なので、917Kはもっと重くなっていてもおかしくない

おそらくはイグニッション部分も軽いのだと思われるものの、キーヘッド部分はこんな感じで「穴」が開いており、つまりそのぶん「肉抜きされて軽量化がなされている」ということになり、ここまでこだわったからこそ、917シリーズは1969~1973年という長きに渡り第一線で活躍できたのかもしれませんね。

なお、「ポルシェのキー」というと思い出すのがシリンダー位置。
左ハンドルの場合、「左手」側にキーシリンダーが位置していますが、一般的な他メーカーの車では左ハンドルでもキーシリンダーは「右手側」に位置します。
世の中には右利きの人が多いということに配慮した結果だと思われるものの、ポルシェはなぜ左側にキーシリンダーを持ってきたのか、が気になりますよね。※下の画像はオプションの「ドライブ&エントリー」装着

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このキーシリンダーの配置もやはり「レース」に基づいていて、昔のレースはサーキットにずらりとクルマを並べ、ドライバーはクルマから降りてこれまたズラリとコースの反対側に並んだ状態。
そこから「レーススタート」となりますが、スタートと同時にドライバーは一斉に自分のクルマに駆け寄り、乗り込んでからエンジンをスタート。

この場合、右にキーシリンダーがあると、(レーシングカーのシフトレバーは右にあるので)右手でエンジンをスタートさせてから右手シフトレバーを1速に入れる、という手順となります。
しかしポルシェのように左側にキーシリンダーがあれば「左手でエンジンをスタートさせる一方、右手で1速にレバーを入れることができる」ので、少しでも早くスタートできる、ということに。

この伝統が現代のポルシェにも生きているということになりますが、こんな感じでポルシェのクルマは「何もかも理詰め」で、すべてのパーツに理由がある、というのが興味深いところ。

VIA:PORSCHE

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