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レクサス社長「どのメーカーもEV化へと急ぎすぎている。ドライバーはそれを望んでいないにもかかわらず、にだ」

2018/08/20

| トヨタがEVに慎重なのにはワケがあった? |

レクサス・インターナショナル・プレジデントの澤 良宏氏が英国Autocarのインタビューに答えたところによると、「どの自動車メーカーもエレクトリック化に傾倒しすぎている。それではドライバーの要望を満たせないだろう」とのこと。
トヨタ/レクサスというとハイブリッド化の急先鋒と言えますが、こういったレクサスの責任者からこういった話題が出るのは大きな驚き。
実際のところレクサスは「F」シリーズをエレクトリック化することでBMW「M」、メルセデス・ベンツ「AMG」に対抗しうると語っており、てっきりエレクトリック化を進めるのかと考えていたので、その言葉だけを見ると、その方針とは「相反する」ようにも聞こえます。

ただ、澤 良宏氏の言葉に耳を傾けてみると「もっとも」な部分もあり、それはたとえば「エレクトリックビークルは特定の人の、特定のクルマにしか向かない」と述べていること。

ランドクルーザーのような、極限環境で使用されるクルマ、それを必要とするユーザーはEVとマッチせず、現在の「充電に長い時間を要する」「充電設備が必要な」状況では、逆にユーザーに不便をかけることになる、としています。

加えて「EVは継続使用を考えた時にバッテリーを交換しないといけない」とも語っており、そのためEVはハイブリッドに比べて事情が複雑で、ユーザーやそのクルマの将来も考えるべきだ、と発言。

これは「EV=未来だから」とEVに飛びついて目先の利益を得ようとする企業に対する警告のようにも聞こえますが、いちはやくハイブリッドに取り組んできたトヨタ/レクサスだからこそ思い至る点でもあり、クルマを作る会社としての「社会的責任」を強く意識しているトヨタならではの見解だと言えそう。

実際のところ、現在中国にてたくさん出てきている新興EVメーカーは「非常に短命に終わるだろう」というアナリストの予測もあるほどです。

なお、トヨタに関しては、事業を通じての社会との繋がりをずっと重要視しており、たとえばトヨタ内部に対しては「従業員を切り捨てない」というものがありますね。

http://stereotomy2.com/2017/04/01/post-26648/

そして社外、つまり社会に対しては「高性能な蓄電池」の開発を考えており、これは1925年の時点でトヨタグループの創始者である豊田佐吉氏が100馬力で36時間運転を持続することができ、かつ重さは225キロ、容積は280リットルを超えず、工業的に実施できる」という基準を掲げ、この性能を持つ電池の開発を奨励したことでもわかります。※”佐吉電池”と呼ばれ、開発者には当時のトヨタの資本金と同じ額を支払う、としていたほど

当時としては先見の明があったとしかいいようがなく、そして同時に「これくらいの性能でないと使い物にならない」と考えていたのもまた同様。

BMWがソリッドステートバッテリー開発に向け動き出したとの報道。ポルシェ、トヨタ含め実用化一番乗りは?

ちなみにこの性能をもつ電池は今現在も実用化されておらず、現在トヨタはパナソニックとの協業にてソリッドステートバッテリーを開発中だと思われますが、「この基準(現在だと充電という要素がプラスされていると思われる)を持つバッテリーが実用化されるまでにはEVを発売できない」というハードルを自らに課しているのかもしれません。

側から見るとトヨタは「EV開発に力を入れていない」「EV関連技術が遅れている」と思われがちですが、その裏にはこういった事情があり、影ではこっそりとEVおよびバッテリーを開発していて、「技術の進歩がトヨタの求める要件を満たす」のを待っているのかもしれません。

「トヨタはEV開発には及び腰だった」。そのツケが回ってきている現状について考える

VIA:INSIDE EVS

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