| 33年間も空調のきいたガレージにて保管されていた新車 |
「メルセデス・ベンツは過剰なほどの品質を持っている」
かつてそう言われた時代があったわけですね。
そして今回、そういった時代に生産されたW201世代のメルセデス・ベンツ190が中古市場に登場。
なお、190シリーズは全世界で180万台以上が販売されたので「中古車」としては珍しくなく、しかし今回これが話題になるのは「このメルセデス・ベンツ190の走行距離が新車同然、わずか499キロ、そして未登録だから」。
| まだ「Cクラス」誕生以前の”もっともコンパクトな”メルセデス・ベンツ |
なお、メルセデス・ベンツ190は、メルセデス・ベンツが初めて投入したDセグメントのクルマ。
1982年に発売され、日本では1995年にガソリンエンジンを搭載した「190E」が輸入されています。
190Eの全長は4,420ミリ、全幅は1,680ミリ。
エンジンは2リッターなので「5ナンバー」ということですね。
当時日本はバブル経済真っ只中だったということもあって「売れに売れ」、ラインアップ中もっとも小さなメルセデス・ベンツだったこともあって日本では「小ベンツ」という不名誉なニックネームを頂戴することに。
発売当初の販売価格は535万円、しかし後に(たぶん消費税導入に伴う物品税廃止で)499万円に価格が下がったと記憶していますが、当時「メルセデス・ベンツが500万円を切った!」とセンセーションを巻き起こすことに。
なお、冒頭で掲げたように当事のメルセデス・ベンツは過剰と評される品質を持っていたため、今でも190の多くは「元気に走行中」。
そして今回販売されている個体は1986年製の2.3リッターモデル、「190E 2.3」。
ちなみにこのメルセデス・ベンツ190E 2.3にはコスワースがチューンした伝説の190E 2.3-16(ナルド・サーキットで市販車最速記録を樹立したこともある)が存在し、この190E 2.3-16は今でもかなりな価値を誇るクルマとして知られます。
さらにこの後継モデルとして190E 2.5-16も発売されており、こちらは「もうひとつ高価」。
なお、今回販売されている190Eは上述のように未登録で、しかもエアコンにて温度や湿度が管理されたガレージにてずっと保管されていた、とのこと。
たしかにそのコンディションは「新車同然」であり、レザーシートはこんな感じで「ショールームに置いてある新車」のよう。
そして木目パネル「あるある」の”ひび割れ”も見られず、33年間このコンディションを維持していたのは驚きそのもの。
もちろん説明書や書類も完備。
不思議なのは「なぜこのオーナーは登録もせず、ずっとこのクルマをエアコン付きガレージに保管していたか」。
このクルマが希少車であれば理解できますが、メルセデス・ベンツ初の普及価格帯のクルマで、かつ売れに売れまくったクルマであることを考えると、将来的な値上がりを期待したとは考えにくく、謎が謎を呼ぶ状態。
そしてエンジンルームももちろん「新車同様」。
シャシー下回りも完全に新車。
今回、このメルセデス・ベンツ190Eの販売価格は約600万円に設定されていますが、この価格を見ても「投機目的」で購入したとは思われず、長い間保管していた理由、そして今回売りに出した理由を知りたいものだ、とも思います。
もしかすると、これを売りに出した(元?)オーナーはメルセデス・ベンツのコレクターで、ガレージにはほかにゴマンと未登録のメルセデス・ベンツがあり、新しい車を追加してゆくと「置く場所がなくなるので」、”売ってもいい”と判断したクルマを売却しているのかもしれませんね。