| 日本だとまずこういった例は考えられない |
BMWは現在メルセデス・ベンツに対してライバル心を剥き出しにして「追いつけ、追い越せ」といった状況ではありますが、実際のところ両者の関係は悪くなく、プロモーションにおいてお互いが乗り入れを行うことも。
今回報じられたのは、メルセデス・ベンツとBMWがお互いの本社にお互いのEVを展示したという例で、かなり面白い行動だと考えています。
まず、BMW側は上の画像のような感じでメルセデス・ベンツEQCを展示していますが、事情を知らずにBMWを訪れた人はちょっとびっくりするかもしれませんね。
メルセデス・ベンツ側はこうなっている
そしてメルセデス・ベンツ側は本社壁面のショーケース(スゴいなこれ!)の左端の最上段にBMWのエンブレムとともにiX3を展示することに。
すべてはメルセデス・ベンツの広い心がなせるワザ?
なお、こういった事例が起こりうるのはメルセデス・ベンツの広い心があるからこそだと考えていて、というのもBMWが100周年を迎えた際にはメルセデス・ベンツがお祝いの動画を公開したことがあるため(その逆はない。これを受け、のちにBMWが”お礼”としてAMG50周年の際にお祝いを述べたくらい)。
メルセデス・ベンツとBMWはほぼ同じマーケットで勝負しており、顧客を取り合っている間柄で、メルセデス・ベンツはBMWが敵対心を剥き出しにしていることは重々承知だと思うのですね。
そんな中で「自分を標的にしている相手を」祝うことは容易ではなく、しかしそれができるのがメルセデス・ベンツだと言えそうです。
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ほかにはこういった例も
そして最近、メルセデス・ベンツのディーター・ツェッツェ会長が(高齢のため)退任した際、BMWはディーター・ツェッツェ氏がメルセデス・ベンツを去って自宅に戻り、その直後に「ようやくこれで好きなクルマに乗れる」としてBMW i8に乗って出かける様子をパロディ動画として公開したことも。
この動画についてはメルセデス・ベンツの社屋にて撮影したと思われるシーンもあり、メルセデス・ベンツの協力と理解があってこそ公開できたものだと思われます。
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メルセデス・ベンツはポルシェを助けたことも
さらにメルセデス・ベンツはかつてポルシェが苦境に陥った際にはポルシェに仕事を回す形で「500E」を発売しており、これもまたメルセデス・ベンツの余裕だったのかもしれません。
おまけにメルセデス・ベンツ・ミュージアムにポルシェを展示したり、ポルシェミュージアムと共同してお互いの博物館を行き来する人には「割引」を展示したり、お互いの従業員に「相手方の博物館を訪れた際には割引が得られるように」提携したことも。
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日本だとまずこういった例はないだろう
メルセデス・ベンツは「自動車を発明した企業」として知られますが、世界で初めて運転免許を取得した人物もメルセデス・ベンツ創業者であるカール・ベンツ。
他の会社に対してメルセデス・ベンツが寛容なのは「自動車を発明した企業」としての責任感、そして業界を牽引せねばならないという責任感からなのかもしれませんね。
日本に目を移すと、たとえばトヨタとホンダ、ホンダと日産が「共同でプロモーションを行う」ようなもので、そのような例は「まず考えらない」とも思います。
ただ、現在のトヨタであれば、「日本の自動車業界を守らねばならない」という責任感からライバルとも手を組む可能性がありそうですが、ライバルの方からそれを拒否しそうでもありますね。