| 市場に出ているアウディR18 TDIのうち、唯一走行可能な個体らしい |
さて、アウディのル・マン・レーサー、R18 TDIが販売中。
このR18 TDIは2011年のル・マン24時間レースを走るために開発された車両ですが、今回販売されているのは実際にレースを走っておらず、ホモロゲーション取得のために製作された個体です(シャシーナンバー100)。
まさかこのクルマが販売されようとは
このアウディR18 TDIに積まれるエンジンは3.7リッターV6ターボ(ディーゼル)、その出力は532HP。
R18 TDIはR15の改良版という位置づけですが、エンジンのダウンサイジングによる軽量化(25kg)、クローズドボディ化による空力性能向上のおかげで高い戦闘力を誇り、2011年のル・マン24時間レースでは(24時間走って)2位のプジョーにわずか14秒差という僅差にて勝利を奪取。
ちなみにその翌年には「R18 TDIウルトラ(ウルトラとは、アウディの軽量化技術の総称であったが、最近はあまり用いられなくなった)」「「R18 e-tronクワトロ(R18 TDIウルトラのハイブリッド版)へと進化しています。
なお、アウディはこのR18 TDIについて、イベント展示のために2013年スペックのボディを装着したことがあるものの、2018年にはもともとのスペックに戻された、と紹介されています。
加えて、2018年のレストアにあたっては新車コンディションに戻されており、よってエンジンの(次のオーバーホールまでの)寿命、ギアボックスの寿命はそれぞれ10,000kmと7,000km。
現存するR18 TDIはわずか6台のみだそうですが、実際に走行可能な状態にて提供されるのはこの個体が「唯一」なのだそう。
つまりほかの個体は「不動」の状態でしか販売されておらず、しかしこの個体は走行可能な上に元アウディのエンジニアがサービスを行ってくれるという「おまけ」もついているようですね(ただし有償だと思われる)。
一時、アウディはディーゼルに集中していたが
アウディはCO2削減のため、一時期ディーゼルそしてガスに注力していたことがあり、このR18 TDIもその時代の産物ということになります。
しかしながらガスはなんとなくフェードアウトしてしまったうえ、ディーゼルは偽装事件によってイメージが悪くなってしまい、これらはアウディの歴史からは消されてしまいそうな予感。
自動車史には「未来を嘱望されながらも、そのまま消えてしまった」技術がたくさんありますが、ガスそしてディーゼルが「アウディにとっての」幻の未来だったのかもしれません。
参照: Art & Revs