| 構造が複雑になればなるほどリコールが増えてゆく |
さて、3月に入った後に輸入車に対してチラホラとリコールが出され(なぜか国産車は少ない)、ここでそれらを紹介したいと思います。
まずはメルセデス・ベンツですが、これは「48Vバッテリー管理システム」の問題。
”48Vスターターオルタネータを搭載した48Vバッテリ管理システム”の制御プログラムが不適切であるとされ、よってマイルドハイブリッドシステム「ISG」の不具合ということになりそう。
問題はメルセデスAMG GT 4ドアクーペにも
この問題を発見したのは「市場からの情報による」とあるので、ドイツ本社からの連絡ではなく、おそらくはユーザーからの報告だと思われますが(本国では問題が出ておらず、日本特有の現象なのだと思われる)、合計で23件の問題が実際に発生しています(これに起因する事故はゼロ)。
対象車種はCクラス、Eクラス、GLE、CLS、Sクラス、GLS、メルセデスAMG GT4ドアクーペと幅広く28,361台が影響を受け、問題の内容は下記の通りです。
1:48Vスタータオルタネータを搭載した48Vバッテリ管理システムにおいて、制御プログラムが不適切なため、他のシステムとの同期不良が発生することがある。そのため、エンジンの始動遅れや、エンジン警告灯が表示されず一時的にエンジンが始動しない、又はエンジンが始動してもエンジン警告灯が点灯したままになるおそれがある。
国土交通省
2:48Vスタータオルタネータを搭載した48Vバッテリ管理システムにおいて、制御プログラムが不適切なため、48Vバッテリの内部スイッチが入らずに電源供給が開始されないことがある。そのため、48Vシステムが起動せず、エンジン警告灯が点灯してエンジンが始動しなくなるおそれがある。
スマートには「ECU」の問題
そしてメルセデス・ベンツ日本はもうひとつ、スマート・フォーツーについてもリコール届け出。
こちらは下記の通りECUに問題があり、しかし上の案件ともどもプログラム書き換えで改善する模様。
影響を受けるのは549台、問題発見の動機は「ドイツ本社からの情報による」。
エンジンコントロールユニットの制御プログラムにおいて、車載式故障診断装置(OBD)の制御プログラムが不適切なため、適切な故障診断が行われないおそれがある。
国土交通省
DSは「燃料タンク」
そしてDSからは燃料漏れの可能性にてリコール。
本国からの情報に従い日本国内でリコールがなされるもので、実際に起きた問題はゼロ。
対応としては(該当車の場合のみ)燃料タンクを交換するとし、影響を受けるのはDS3クロスバック251台。
燃料タンクにおいて、製造工程が不適切なため、製造工程で素材に塗布する接着剤が不足しているものがある。そのため、接着が不十分な箇所から燃料が漏れるおそれがある。
国土交通省
プジョーは「ワイヤーハーネス」
プジョーのリコールは「配線問題」であり、これは近年ますます複雑になる操作系を象徴しているとも考えられます。
こちらも問題把握の経緯は「本国からの情報」であり、日本国内での発生件数はゼロ。
影響するのは580一車種のみで、台数は1,728台(こんなに売れていたのか・・・)。
ダッシュボードハーネスにおいて、配策設計が不適切なため、ステアリングコラムと接触することがある。そのため、車両振動等により当該ハーネスが損傷し、最悪の場合、ホーン、ワイパー、ADAS(運転支援システム)、運転席エアバッグ、方向指示器のいずれかが作動しなくなるおそれがある。
国土交通省
ボルボはリコールを2件届け出
そしてボルボはリコールを2件届け出ており、まずXC40については「ブレーキ関係」。
やはり問題把握の経緯は「本国からの情報」であり、日本国内での発生件数はゼロ。
XC40のみ、2,112台が影響を受け、必要に応じて修理もしくはハーネスを交換する、とのこと。
ブレーキフルードレベルセンサーのケーブルハーネスにおいて、製造時の組付け管理が不適切なため、ケーブルハーネスがエキゾーストマニホールドのヒートシール
国土交通省
ドに接触することがある。そのため、熱により被膜が損傷して配線が短絡し、ブレーキ関係の警告灯が点灯して、最悪の場合、制動力が低下するおそれがある。
ボルボのもう一件は「シートベルト」
そしてボルボが届け出たもう一件は「シートベルト問題(やはり本国からの情報による把握であり、国内での問題や事故はない)」。
影響を受けるのはS80、S60、V70、XC70、V60、XC60、V60クロスカントリーの7車種で、合計台数は57,545台(平成18年輸入にまでさかのぼっているので、かなり台数が多い)。
前席のシートベルトにおいて、使用状態を想定した設計が不十分なため、シート座面の位置の状態によりフレキシブルスチールケーブルが斜めに引っ張られることがあ
国土交通省
る。そのため、金属疲労によりケーブルが損傷し、最悪の場合、衝突時にシートベルトの乗員拘束機能が低下するおそれがある。