| ポルシェにしては珍しいコンロッドの強度不足 |
さて、ポルシェが6気筒エンジンを搭載した718ケイマン/ボクスターのリコールを(北米にて)発表。
つまりは718ケイマンGT4、718ケイマンGTS4.0、718スパイダー、718ボクスターGTS4.0ということになりますが、その内容はちょっと深刻で「エンジン損傷につながる可能性がある」と報じられています。
問題は「コンロッド」
北米にてリコールの対象となるのは2021年モデルとして販売された190台で、問題の内容は「コンロッド(コネクティングロッド)」。
これはピストンとクランクシャフトとを接続するパーツですが、このコンロッドが「仕様どおりに製造されていない」場合があり、状況によってはコンロッドに亀裂が入り、ボルトによる固定を維持できなくなる可能性がある模様。
なお、このコンロッドの製造元は「Hoeckle Austria GmbH」だと発表していますが、社名まで公表するのはある意味では「さらし首」のようなもの。
ただ、ポルシェはそれくらい事態を重く捉えているということになり、(ほかのサプライヤーに対する)見せしめの意味もあるのかもしれません。
反面、高い品質のパーツを提供したサプライヤーに対しては表彰を行ったりしているので、アメとムチによってポルシェはサプライヤーをコントロールしている可能性もありそうです。
最悪の場合は「火災」も
ポルシェがHNTSA(National Highway Traffic Safety Administration=米国運輸省道路交通安全局)に届け出た内容だと、コンロッドに亀裂が入った状態で、かつ高負荷にて走行するとエンジンブロックの損傷、エンスト、出力低下、オイル漏れ等が発生する場合があり、最悪の場合は「火災に至る」とも。
対象となる190台は2021年1月26日から3月4日にかけて製造された個体だとされますが、リコールの対応としては状況を確認し「コンロッドの交換」もしくは「エンジンそのものの交換」を行うと発表しているので、時間や手間など、オーナーやディーラー(ポルシェセンター)にとっては相当に負荷の高いリコールだと思います。※もともと高負荷にて走行する可能性が高いモデルなので、問題発生率はけっこう高いのかもしれない
ポルシェはもともとリコールの少ないメーカーであり、とくに自社設計や内製比率の高い911そして718ケイマン/ボクスターについてはさらにリコールが少ないという状況。
加えてその心臓部であるエンジンに問題があったというのはさらに意外でもありますね。
あわせて読みたい、ポルシェのリコール関連投稿
-
ポルシェがカイエン、パナメーラにリコール。なぜポルシェの中でもこれらのリコールは多い?ほかベントレーもリコール届け出
本来ポルシェのリコールは多くない ポルシェがパナメーラとカイエンにリコールを届け出。ポルシェはもともとリコールの少ない会社ではありますが、パナメーラ、カイエンについてのリコールは少なくはなく、パナメー ...
続きを見る
-
今日のポルシェ718ケイマン。リコール(ボディ強度不足)の案内が届き、7−8月に対応してもらうことに
| この不具合は事故を起こした場合のみに影響 | さて、ぼくのポルシェ718ケイマンがリコール対象に。これは先日国土交通省へとポルシェジャパンが届け出たもので、「ボディ強度不足」。その内容としては「車 ...
続きを見る
-
ポルシェ718ケイマン/ボクスターに”発煙の恐れ”として改善対策。「リコール」「サービスキャンペーン」とどう違うの?
| ポルシェ718ケイマンは718ボクスターに比べて1.5倍の販売だった | ポルシェが718ケイマン/ボクスターに「改善対策」を公表。 改善対策とはリコールの「ちょっと手前」というイメージで、これに ...
続きを見る
参照:NHTSA, Car and Driver