| まさかランボルギーニの買収がこういった形で具体化するとは |
いったんは落ち着いたランボルギーニの身売り話だが
さて、年末年始あたりに世を騒がせた「ランボルギーニの身売り話」。
これは親会社であるフォルクスワーゲンが、電動化をすすめるにあたって巨額の資金を必要とするにあたり、保有するブランドのうち「ランボルギーニ、ブガッティ、ドゥカティ」を売却するというもの。
これら3ブランドについては、けして利益が出ていないわけではないものの、CO2排出量が大きく、かつ電動化にあたって競争力を発揮できないかもしれないと(フォルクスワーゲンが)考えたのだと思われます。
ただしフォルクスワーゲンは一転して売却を撤回
しかしながらフォルクスワーゲン内部においても様々な協議がなされた結果、「売却」についてはいったん取り下げられ、ランボルギーニ、ブガッティ、ドゥカティはそのままVWグループ内に存続することが決定。
しかし将来的には株式新規公開(IPO)含む分離をほのめかす形となっています。
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そこで今回出てきたのが、スイスの持株会社「クァンタム・グループAG」が、フォルクスワーゲンに対して75億ユーロ(日本円で約1兆円)の買取計画を提示したという話。
現在クァンタムグループ、フォルクスワーゲンもしくはランボルギーニからなんらかのコメントは出ておらず、しかしフォルクスワーゲンが、ランボルギーニを「売りに出す可能性をほのめかし、その後撤回」したことでランボルギーニの価値が吊り上げられたとも考えてよく、それが今回の巨額買収計画に結びついたことは疑う余地がありません。
クァンタム・グループAGとは?
このクァンタム・グループAGについてはあまり広く知られておらず、しかし「ポルシェ創業者一族」との関係がある模様。
というのも、今回の交渉を行っている(クァンタム・グループの)代理人であるレア・スターク氏は、ポルシェ創業者にして元フォルクスワーゲングループ会長であったフェルディナント・ピエヒ氏のひ孫、アントン・ピエヒ氏とともに「ピエヒ・オートモーティブ」を設立した人物だと報じられているため(ただしアントン・ピエヒ氏がこれに関与しているのか、レア・スターク氏が単独で動いているのかはわからない)。
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参考までに、ピエヒ・オートモーティブは自社にてスポーツカーの生産と販売を目指して設立されており、これまでにもいくつかの計画を発表済み。
業界の重鎮を引き抜いて計画を推進しており、ディーラーを解説したとインスタグラム上にて報告を行なうも、現在はその投稿も削除されるなど、状況が不明な会社でもあります。
ランボルギーニ買収後もフォルクスワーゲングループとの関係存続を希望
なお、今回クァンタム・グループがフォルクスワーゲンに申し入れたのは、ランボルギーニの名称使用権だけではなく、本社や関連する設備、モータースポーツ部門であるスクアドラコルセなど、ランボルギーニに関わる「一切がっさい」。
上述の通り、現在ランボルギーニはフォルクスワーゲングループに属するため、そのグループ内のリソースを自由に使用することができ、実際にウルスではプラットフォーム、パワートレーンやトランスミッション、電装系などをポルシェ・カイエンやベントレー・ベンテイガ、アウディQ8と共有しているという状況があり、そのために開発コスト、車輌製造コストを大きく下げる事が可能となっています。
ただ、ランボルギーニがフォルクスワーゲングループを離れるとなれば、こういった「リソースの共有」が不可能となり、一気に会社運営コストが上がってしまう可能性も。
そしてもちろんクァンタム・グループもそういった事情を理解していて、今回の買収提案については、アウディとの5年間のサプライヤー計画も含まれているといい、買収後も5年は現在の車種を継続しつつ、その後は「フォルクスワーゲングループに頼らない」ニューモデルを開発するということなのかもしれません。
さらにクァンタム・グループはアウディと「電動化にかかわる技術の共有」をも望んでおり、ドイツにバッテリー開発拠点「アドバンスト・オートモーティブ・イノベーション・センター」を開設すること、「クリーンなドライブトレインの新技術を一貫して導入することで、イノベーションの先鋒となる」ブランドを目指すことについても触れているようですね。
ランボルギーニはつい最近、「今後10年の計画」、そして巨額投資を発表したばかりなので、今回の買収話がどう進むのか(もしくは進められないのか)はわかりませんが、フォルクスワーゲングループとしては、ランボルギーニを売却したとしても、今後しばらくは技術を販売したり、生産の一部を請け負ったりということで(ウラカンやウルスの一部はアウディの工場で作られる)利益を受け取ることができるため、完全にランボルギーニを売却するのではなく、株式の過半数をクァンタム・グループに売却して「運営コストは相手任せ」にしたうえで、技術の売却、生産の請負、そして株式の配当等により「労せずして利益を得てゆく」のかもしれません。
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