| 「ブライアンのクルマ」としては、トヨタ・スープラのほか、三菱GTOはじめ日産フェアレディZ」、トヨタMR2という候補もあった |
ただしMR2はポール・ウォーカの身長を収めることができず、最初に脱落
さて、先日お伝えした、映画「ワイルド・スピード」の撮影に使用され、実際にポール・ウォーカーがドライブしたというトヨタ・スープラ。
今回、オークションハウスであるバレット・ジャクソンが開催した競売、「Las Vegas 2021」にてなんと約55万ドルにて落札されることになり、これは日本円に換算すると「約6000万円」という高額プライスです。
もちろん、「80スープラ史上」最高額だといい、この記録は当面破られることはないかもしれませんね。
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「ワイルド・スピード」2作品に登場
なお、このスープラは「ワイルド・スピード」(2001年)と「ワイルド・スピード X2」(2003年)の二作品に登場しており、ポール・ウォーカー自身が実際に運転したこと、公式な認定書も付いていることから、オークション開始前より「どこまで価格が上がるのか」と注目されることに。
この80スープラは映画撮影のために製作された8台のうち一台で、エンジンは3リッターツインターボ(2JZ-GTE)を搭載。
劇中にてその威力を見せつけたNOS(ナイトラス・オキサイド・システム)とリアトランク内のオーディオシステムこそ搭載されていないものの、かなり細部まで作り込まれたウチの一台だといいます。
実際のところ、トランスミッションは4速ATにもかかわらず、撮影時には「6速マニュアル」に見えるように偽装されるなど、カメラ写りを意識した仕上がりを持っています。
そのほか、インテリアだと3本スポークのレーシングステアリングホイール、バケットシートやドアインナーパネルのブルースウェード、助手席やAピラーの追加メーターなど、劇中の仕様が「そのまんま」再現されています(ただし、センターコンソール上のオートメーター製タコメーターが取り外されているようだ)。
なお、ワイルド・スピード X2登場時には、別のオーナーの乗るクルマという設定だったので「ゴールド」へとペイントされていましたが、その後はワイルド・スピードシリーズにて車両製作を手掛けるエディ・ポール氏のショップへと輸送され、もともとのこの仕様へと戻されることに。
外観を見て見ると、ランボルギーニ・ディアブロの純正ボディカラー(オレンジパール)が目を引きますが、トロイ・リー・デザインによる「ニュークリア・グラディエーター」もこのスープラの大きな特徴。
エアロパーツとしてはボメックス(BOMEX)製のフロントスポイラーとサイドステップ、そしてリアスカート、TRDスタイルのボンネット、リアにはAPR製デュアルプレーンリアウイングを装着し、ホイールはDazzモータースポーツ・レーシングハートM5(19インチ)が装着されています。
なお、2015年には自然吸気エンジンとダミーのNOSシステムを積んだ(やはり撮影に使用された)スープラが約2000万円で落札されていますが、今回はその「3倍」。
その理由は「ターボエンジン」だけではなく、スープラそのものの高騰、そして年々人気を増すワイルド・スピードシリーズの影響があると言えそうです。
そもそも、なぜワイルド・スピードには「スープラ」が採用されたのか?
「ワイルド・スピード」シリーズの多くの作品にてカーコーディネーターとテクニカルアドバイザーを務めてきたクレイグ・リーバーマン氏によれば、「最終的には、制作側のキャストが、三菱GTOとトヨタ・スープラとを比べ、スープラを気に入ったから」。
そしてそこに至るまでにも紆余曲折があり、まず最初の条件として、「ワイルド・スピードに使用されるクルマは、それぞれの登場人物のキャラクターに合ったものでなくてはならなかった」ということ。
そして次に重要であったのは「200万ドルの予算に収める必要があった」ということ(ワイルド・スピードは当初、”低予算映画”だった)。
加えて「当時アメリカで販売されているクルマ」「アメリカのチューニングシーンを反映できるクルマである」という制約があったといいます。
つまり「ロシアの車」「オーストラリアの車」といった、アメリカにはほとんど輸入されていなかったクルマ、ポピュラーではないクルマはNGということになり、一部のスーパーカーのように「新車でアメリカに輸入されなかった」クルマもアウト。
そうなると必然的に日産フェアレディZ(Z32)やトヨタ・スープラ(80)、三菱GTO、トヨタMR2といった選択肢となり、実際に同氏が制作側に提案したのもこれらのクルマ。
なお、脚本を書いている初期段階だと三菱GTOが「ブライアンのクルマ」として登場したそうですが、その後GTOはスープラへと置き換えられることに。
この理由としては、ルーフをふっとばすシーンが脚本上必要であったと言われ、これができるのが「フェアレディZ、スープラ、GTO」の3車で、しかしフェアレディZは「Tバー」だったので候補から外れ、GTOについては(北米で設定された)電動リトラクタブルハードトップがあったものの、実際に撮影の際にキャストに見せたところ「GTOを気に入らず、スープラが選ばれた」のだそう。
ちなみにMR2が選ばれなかったのは、ポール・ウォーカーの身長が高く(188センチ)、車体に収めるのが困難であったためだとされています。
ロット名「1994 TOYOTA SUPRA- "FAST&FURIOUS" MOVIE CAR」出品〜落札風景はこちら
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