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アメリカで中古車価格が15〜40%も上昇し、新車価格を上回る車種も登場。日本でも同様の現象が散見され、その理由を考える

2021/06/28

アウディのキー

| コロナウイルスのパンデミックや、チップ不足だとも言われるが、自動車メーカーの「売り方」、ユーザーの「買い方」が変わったためだとボクは考える |

おそらく、この傾向はコロナ禍が収束しても変わることはないだろう

さて、現在アメリカ市場において、中古車のほうが新車よりも高い例が多数登場している、との報道。

これはつまり「新車の在庫がない」ためで、チップ不足、コロナウイルスのパンデミック、そしてブリグジットといったパーフェクトストームの影響であり、そのために米国市場の中古車価格が15〜40%ほど上昇し、結果として新車を超える例が多々ある、とのこと。

インセンティブ減少によって、自動車メーカーにとっては嬉しい状況?

なお、アメリカでは新車を販売する際、自動車メーカーがディーラーに対して販売を推奨するための、そして値引きのための原資でもあるインセンティブを支払うことになると思いますが、これはかねてより自動車メーカーの懐を圧迫してきたと伝えられており、しかし現在の状況であれば(車種にもよりますが)値引きの必要もなく、よって自動車メーカーにとっては好ましい状況なのかも知れません(ただ、生産台数が減っているケースが大半だと思われるので、トータルでの収支は減っているとは思う)。

そして現在、米国にて「新車を超える価格」で販売されるのは主に1〜3年落ちの比較的新しい中古車で、かつトラックやSUVという人気のモデルが多いと報じられており、車種でいえばフォードF-150、ジープ・ラングラー、メルセデス・ベンツGクラスなどがその筆頭なのだそう。

日本市場でもよく似た状況に?

日本市場においてもこれに近い状況が生じていると認識しており、というのも最近発売されたニューモデルで納車待ちが長いモデル(ハリアーやヤリスクロスなど)については下手をすると新車よりも高い例があるため。

ただ、これについては北米とはちょっと事情が異なるとも考えていて、ひとつは「自動車メーカーが大量の見込み生産を行わなくなったこと」が理由として挙げられると思います。

これまでであれば、自動車メーカーは大量に自動車を作り、それを「在庫」として持ちながら販売していたものの、今はそうではない、ということですね。

これは「販売現場に負担をかけることが許されなくなった」「消費者の好みが多様化され、在庫車よりも好みのオプションを装着したクルマを選ぶようになった」「自動車メーカーが在庫を嫌うようになった」「自動車メーカーごとの車種が増え、それら車種ごとに在庫を持つととんでもない在庫負担になる」という事情を反映したものだと思われます。

ランボルギーニ、フェラーリのトミカ

加えて、別の理由だと「大量のオプションを消費者が選ぶようになった」。

上述の通り現在の消費者は自分の好きなオプションを選ぶようになっており、よって”乗り出し価格”が、その車種の「メーカー希望小売価格」よりもかなり高くなる例が多数(あれやこれや装着してゆくと、とんでもない価格になっている)。

そして「新車購入時に人気のオプション」は中古市場でも人気が高く、これが下取り/売却価格に反映され、ひいては中古車の店頭価格にも反映されることになり、結果的に「メーカー小売価格(何も付いていない状態の新車価格)」よりも「フルオプションの中古価格」のほうが高くなっているものと思われます。

なお、「たくさんオプションを付けてもらう」ことは自動車メーカーにとっても喜ぶべきことなので、新車販売時にユーザーの嗜好を反映させる(オプションを付けることができる)よう、作り置きをしなくなったということもあるのかもしれません(これはいい傾向だと思う)。

いずれにせよ、様々な理由にて新車の供給が細くなり、納車期間が長くなっていて、「すぐに欲しい」人が高いお金を出して高年式の中古車を購入していることがこの状況を作り上げていると考えて良さそうですね。

参照:The Associated Press

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