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メルセデスAMG GTは競争力がある?ライバルと比較してみる

2015/05/12

メルセデスAMG GTですが、ぼくにとってはかなり魅力的な車です。
メルセデス、というブランド自体も魅力的ですが、何よりその美しい内外装に惹かれます。

ハイパフォーマンスカーを発売するブランドは数多いですが、ブランドそれぞれのバックボーンや特徴があるのが面白いところで、あるブランドはレースであったり、またあるブランドはF1であったりするわけです。

メルセデスは古くから様々な車を作ってきており、モータースポーツにおいて輝かしい歴史を残す一方で、美しい車を作ることでも評価を得てきました。
そのように、メルセデスにとっては「活用できる資産」がたくさんあることも他メーカーに比べて有利となるポイントで、とくにデザイン的アイコンといえる車が存在することも大きな排他性を持っています。

(ガルウイング採用の)SL300はその一つで、それを現代風に解釈した「SLS AMG」は大きな話題を呼びましたし、その系譜という形で登場したAMG GTもまた、SL300の血筋を感じることが出来る一台だと思います。
不思議なのはSL300とAMG GT都の間にSLS AMGが介在するからこそ、そのように感じるわけで、SLS AMGが無ければSL300とAMG GTは血縁関係を感じさせなかったかもしれません。

それはともかく、他ライバルに比べてメルセデス・ベンツは「モータースポーツ以外の」資産を持つことが特徴であり、それをフル活用できるのは他メーカー/ブランドとの間で競争力を確保するのに役立っている、と思うのです。

そこでメルセデスAGM GTを購入する価格であればどんな車が買えるか?と考えた時、フェラーリやランボルギーニは難しいのですが、下記あたりであれば十分に競合するのではないか、と考えられます。

アストンマーティンV8ヴァンテージ 426馬力 4.8秒 1477万円
アストンマーティンV8ヴァンテージS 436馬力 4.5秒 1740万円

ジャガーF-TYPE R 550 4.2秒 1443万円

911カレラGTS 430馬力 4.0秒 1702万円
911GT3 475馬力 3.5秒 1912万円

BMW i8 362馬力 4.4秒 1966万円

メルセデスAMG GT 462馬力 4.0秒 1580万円
メルセデスAMG GT S 510馬力 3.8秒 1840万円

上記のようにリストアップしてみると、アストンマーティンは(登場時期が古いこともありますが)やや割高に感じるところがありますね。
アストンマーティンもメルセデス・ベンツ同様にモータースポーツや美しい車(DB5など)での定評があるブランドですが、それらの血筋が現代の車においては(メルセデス・ベンツほど)感じられないかもしれません。

それはジャガーも同様で、ジャガーの場合はXJでもわかるように、意図的に過去のデザインと決別しようとしていることがわかりますね。

伝統を継承しようとした結果、また伝統を捨て去ろうとした結果、各ブランドとも新旧織り交ぜたデザインとなっているのですが、そのあたりの消化はメルセデスは非常にうまく、優雅かつダイナミック、そして先進的なデザインを行うことができ、独特の世界観を持つに至っていると思います。
とくにうねるような線を持ち、質量たっぷりに感じさせるダッシュボードやセンタートンネル、各種ノブの造形は見事としかいいようがなく、これは他メーカーを大きく引き離していると言えるでしょう(他メーカーの内装に用いられるスイッチは、スイッチでしかない)。

アストンマーティン、ジャガーの室内も見事としか言いようがありませんが、メルセデス・ベンツには及ばず、そしてポルシェ、そしてBMWはここについて大きく遅れているとぼくは考えています(ここ数年で大きく進歩したにせよ)。
見た感じの印象ですが、内装はAMG GT>BMW i8>ジャガーF-タイプ=アストンマーティン>ポルシェ911、のように感じます。
ただしこれは見た目の華やかさ、質感という観点での評価なので、ポルシェ911に内装が劣る、という話ではありません(ポルシェ911の内装は実用的で、必要な物は揃っており、スイッチ類の配置もわかりやすい)。
たとえばメルセデス・ベンツの車は全般に、スイッチ類を操作した時のタッチ(重みとも言える)についても節度を持っており、たとえばこれは「パキッ」と音を立てて作動するポルシェのウインカーレバーとは対照的です。
しかしながら、どちらも動作することには変わりはないわけですね。
何を考え、どこにお金をかけるのか、はブランドごとに大きな差がある、ということです。

外装については、伝統を武器にできるポルシェ、そしてメルセデス・ベンツがアストンマーティンやジャガーを歩リードしているとも言えますね。
ポルシェ、メルセデスはシルエット自体がアイコンになっている部分があり、これは大きなアドバンテージです。
メルセデスAMG GTの場合は、内装同様に質感の高い加飾をそこへ施すことで、さらにアドバンテージを築いている、と言えます。
ここでもやはりポルシェは過不足はないものの質実剛健、といったところですね。

空力やメカニズム、エンジンもF1で鍛えあげられているのがメルセデスの特徴で、伝統、動力性能、デザイン、それらの総合力を考えると、登場が一番新しいということもありますが、運動性能に関しては、ライバルと比較した場合メルセデスAMG GTに軍配が上がるのでは、とぼくは考えています。

ただしポルシェ911GT3だけはその限りではなく、ストイックに速さを追求する姿勢はGT3他に類を見ないもので(そのためにアストンマーティン、ジャガーがいかにサーキットオリエンテッドなモデルを発売しようともGT3の地位は揺るがない)、これはもはや「聖域」と呼べるレベルではないかと思うのですね。

速さと楽しさとはけして比例するものではなく、そこにはメーカーそれぞれの思惑があるように思います。
ポルシェは正確無比かつシャープな反応を示し、ジャガーやアストンマーティンはライトウエイトスポーツのようなタッチでアクセルペダルは後輪に、ステアリングホイールは前輪に直結しているようなダイレクトさを感じさせるところがあり、きっとメルセデスAMG GTは別の印象を受けるのでは、と考えています。

そういったこともあり、BMWは「走りや伝統ではポルシェはじめ他ブランドに勝てない」と判断したのか、全く他と競合しない「i」を新規に立ち上げ、初期投資は必要になるものの、「これから先の数十年」に備えたのではないか、とも考えます。
多くのメーカーがポルシェ911をターゲットにスポーツカーを開発するのを尻目に、「ポルシェ911とは異なるスタンダードを持つ」スポーツカーを開発しようと考えたのでしょうね。

AMG GTは主にポルシェ911をターゲットに開発した車と言われますが、上記のように考えると、ポルシェはポルシェの方向性があり、それは揺るぎないものであって、むしろアストンマーティンやジャガーのほうがメルセデスAMG GTに喰われてしまうのかもしれません。

もうひとつ、上記は「新車」の例ですが、中古車も対象に入れると、フェラーリF430、ランボルギーニ・ガヤルドとも重複する価格帯となり、ここと迷うケースも出てくるかもですね。


関連投稿:メルセデスAMG GTとポルシェ911。どちらを選ぶ?かなり難しい選択だが

AMG GT

AMG GT

AMG GTについてですが、これは紛れもなくポルシェ911を狙ったもの、と言われます。

ここでぼくが思うのは、メルセデスAMG GTはポルシェ911の牙城を崩すことができるのか?ということですね。
正直なところ、答えは「NO」だと思います。

AMG GTのパフォーマンスが劣る、というわけではなくて、もはやポルシェ911は「ポルシェ911というカテゴリの乗り物」であり、他との比較ができない次元にあると思うのですね。
ぼくは911について神格化するつもりもありませんし、おそらくはもう二度と911を購入することはないだろう、と考えていますが、それでも911だけは別格だと考えています。

比類ないレベルの精密さ、あるふれた表現ですが「針の穴に糸を通すような」正確無比なハンドリング、カミソリのようなレスポンス。
これを超えるのはおそらく難しいだろう、というのがぼくの印象です。

そして911に惹かれる人というのは、そういった正確さを求めるのであり、パワーを求める人たちではない、と
思うのですね(むしろアルファロメオ4Cのほうがポルシェ911乗りには魅力的かもしれない)。

そういった意味ではメルセデスAMG GTはベクトルの異なる車であり、ポルシェ911に魅力を感じない人や、馴染めなかった人にこそ訴えかけることができるのかもしれません。

そしてむしろ奪うのはアストンマーティンやジャガーの客層ではないか、とぼくは思うのですね。
価格帯は微妙に異なりますが、FRということではそれらのほうが近いですし、RRの911とFRでロングノーズのメルセデスAMG GTとではあまりに乗り味が違うので、911に大きな魅力を感じる人はまずAMG GTに魅力を感じないだろう、と考えるわけです。

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もちろんメルセデスは911と同じ路線で勝負しようと考えたわけではないでしょうし、レイアウトが異なる時点で911とは異なる乗り物になるのはわかっているので、「911には無い」要素を盛り込んだと思われます。
それは快適性であったり、レーンキーピングアシスト、レーダーやセンサーなどの運転支援システムであったり、おそらむポルシェの内装において最も欠けている要素「豪華さ」というところですね。
そして911の神経質さを嫌う人を狙ったのか、ある程度のおおらかさを持っており、その意味でも上にあげたように「911に惹かれる人ではなく、911に馴染めなかった人、何か違うと感じている人、さらなる豪華さを求める人、その神経質さを持て余しているが、それなりのパフォーマンスが欲しい人」というところがターゲットになろうかと思われ、911と直接戦うのではなく、「911の周辺市場」を作り出す車だとぼくは考えるのです。

ある程度ゴージャスである程度の日常性を持つ、という意味でもこれらは共通しますが、ぼくがAMG GTを購入するとすれば、まずポルシェ911との比較は行わず、ジャガーとアストンマーティンが比較対象ですね。
マセラティ・グランツーリスモ、フェラーリ・カリフォルニアも対象になるかと思いますが、グランツーリスモは大きくそしてモデル末期なので対象から外れ、カリフォルニア(”T”になってからは高価なので)はターボ化以前の中古になりますが、かなり迷うところ。

なお、それぞれのスペックは下記の通り。

●ジャガーFタイプRクーペ
5リッターV8 550馬力1372万円

●アストンマーティンV8ヴァンテージ
4.8リッターV8 426馬力1743万円

ジャガーは「スポーツ」という点において、実際の速さは別として、車の持つ雰囲気、内装、サウンド等含めるとかなりなものがあります(ある意味メルセデスAMG GT以上かもしれない)。
ただしブランド性やゴージャスさではメルセデスAMG GTに軍配が上がり、信頼性においてもそれは同じですね。

ぼくはポルシェという会社は好きですし、その姿勢に対しても常に尊敬の念を抱いていますが、ぼくの技術ではどうしても911を扱いきれず、従って911には戻らないだろうと考えており、911の購入を検討することもおそらく無いだろうと考えています。

そしてメルセデスAMG GTは911には無いものを持っており、ぼくが911で感じていた「実力不足」を補ってくれる部分がある、という意味でも非常に魅力的ですね。

ポルシェ911は正確無比ですが、走ることに重点が大きすぎ、実力が伴わないと却って辛い思いをすることになり、そうなると車を所有する、乗る楽しみが半減してしまいます。
ぼくがある程度のドライビングスキルを持ち、スポーツ走行を行う機会が多いのであれば、おそらく911を選ぶと思います。

ですが、スポーツ走行をさほど行うわけではなく、日常性を重視し、ある程度の豪華さや快適さを重視した場合、メルセデスAMG GTになることは間違いありません。

かなり迷う選択ではありますが、どちらを選ぶか、と聞かれると「メルセデスAMG GT」ですね。
補足するとすれば、メルセデスAMG GTを購入するお金があれば、ジャガーFタイプRとロレックス・デイトナの金無垢モデルを購入したほうが幸せになれるような気はしています。

画像は先日遭遇したジャガーFタイプ。

jaguar F-type

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