| ル・マン24時間レースを3連覇した919ハイブリッドに比較すると、大きな進化があるようだ |
とくにエアロダイナミクス面での進歩は小さくない
さて、ポルシェは2023年のル・マン24時間レースに復帰しますが、参戦するカテゴリは「ハイパーカークラス(LMH)」。
ただしトヨタやプジョー、フェラーリとは異なり、LMDh規定に則り、指定の今ストラクターが製作したシャシーを使用しての参戦となり、よって以前の919ハイブリッドにて参戦していた際とは事情が大きく異なります。
この新型レーシングカーにつき、ポルシェは今年1月にヴァイザッハにてシェイクダウンを行う様子を公開していますが、今回はスパ・フランコルシャンを走行する姿が目撃されており、以前のオフィシャルフォトではわからなかったディティールが判明しているほか、新しいエアロパーツが装着されていることも確認可能。
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根本的に919ハイブリッドとは異なる?
なお、その外観が919ハイブリッドと一部共通しているためについつい919ハイブリッドの発展型のように考えてしまいがちですが、上述の通りシャシーが根本的に異なり、ポルシェが選択するのは(オレカ、リジェ、ダラーラ、マルチマチックのうち)ダラーラ製シャシーで、搭載されるエンジンも919ハイブリッドの「V4ターボ」ではなく「V8ターボ」。
さらにはハイブリッドシステムもポルシェ自社のものではなく、レギュレーションによって指定されたウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング社製となっています。
そして実際のところ、こうやって見るとシルエットそのものも大きく異なるようで、こちらのほうが「長く低い」ように見え、さらにはノーズやサイドの処理が大きく異るもよう。
ちなみにこのLMDh規定に従ったシャシーを使用するとIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップに参戦することも可能となり、比較的低いコストで「欧州とアメリカ」の二大陸でのレースに参戦でき、そのためBMW、キャデラック、アウディ、アキュラはこれを利用することとなっています(エンジンやボディワークについては、規定内で自社のオリジナリティを出すことが認められる)。
参考までに、ハイブリッドシステムとあわせて出力は670馬力以下でなくてはならず、レブリミットは10,000回転、そしてエンジンの重量は180kg以上という規定もあるようですね。
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ポルシェは次期フラッグシップたるハイパーカーを開発中というが
なお、ポルシェは918スパイダーの後継たるフラッグシップモデルを開発中といいますが、今回のレーシングカーは残念ながらその「新型ハイパーカー」とは共通性がないと考えてよく、それは上述の通りサードパーティの開発したシャシーとハイブリッドシステムを使用しているため。
ただ、この細長いLEDヘッドライトなど、そのデザインの一部は次期市販ハイパーカーに受け継がれることになるのかもしれません(ある意味では、ミッションRコンセプトとの共通性も感じられる)。
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そして細部を見てみると、ヘッドライトはこんな感じで「横長の薄型」を採用しており、これは919ハイブリッドとは全く異なる構造ですね。
ルーフにはフィン。
これは1月に公開されたプロトタイプには見られなかったものですが、新型911GT3 RSのプロトタイプに装着されているもので、「レーシングカー、市販車」ともに新しく導入されるパーツなのかもしれません。
リアウイングはダブルデッカー、そして小さなスワンネックが取り付けられています。