| トヨタはせっかく育てた「電気に便利さを感じる顧客」をみすみす他社に引き渡してしまっている |
どう考えても、トヨタは失策を演じたということになるだろう
さて、電気自動車の普及が始まった後しばらく時間が経過し、さらには相当数の台数が出回ったということもあって「電気自動車の中古車が(中古車市場全体に)様々な影響を及ぼしはじめている」との報道。
今回この影響に関するレポートを公表したのは米中古車販売大手「カーマックス(CarMax)」で、まずは「2022年3月頃から、電気自動車の検索数が飛躍的に増加している」ことに言及しています。
「エレクトリック」関連検索は約二倍に
カーマックスによると「エレクトリック」という言葉が入る検索ボリュームは2022年2月から2023年2月にかけて約2倍に跳ね上がったといい、現在ではカーマックス全体に占める検索ボリュームの5.6%を占める、とのこと(ピュアEVのみではなくPHEVも含まれるものと思われる)。
そしてもう一つの特徴としては、新車がそうであるように、中古車市場における人気モデルもやはり「テスラ」で、カーマックスでもっとも人気があるのはモデル3とモデルY(これも新車市場と同じである)。
なお、モデルXの人気は7番目、そして8番目はモデルSで、テスラ以外ではフォード・マスタング・マッハE、シボレー・ボルト、BMW i3といったクルマの人気があるのだそう。
問題は「どのクルマを売っているか」
そしてカーマックスがレポートにて示している、そしておそらくは最も興味深い事実は「どのクルマを売って、どのクルマを購入しているか」。
カーマックスは「ほとんどの人が、トヨタのクルマを売却してEVを購入している」と示しており、(EV購入のために)売却もしくは下取りに出されるクルマのトップはプリウス、そして次に購入しているクルマの(中古車販売サイトが行った調査なので、購入するのも中古車だと思われる)トップは日産リーフなのだそう。
ちなみにですが、EVの新車販売に関してもトヨタはよく下取り / 売却に出されているという調査結果が見られ、テスラの新車を購入する人のうち、もっともその比率が高いのが「トヨタオーナー」という統計も。
こういった調査結果を見るに、トヨタはその顧客を失いつつあえると考えてよく、ハイブリッド車の販売にて「育てた」客を他社のEVに奪われているということになり、自社内でうまく顧客を移行させることができなかったのは「失策」と言えるかもしれません。
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つまり、トヨタはハイブリッドやPHEVにて「電気」に慣れ親しみ、その便利さや経済性を十分に理解した顧客を「EVへと」ステップアップさせるための準備を行い、それを行うべきであったと考えられ、そうすることで「できるだけ競争に巻き込まれず、自社内で顧客を回しつつ」EV販売を伸ばすことができる可能性があったわけですね。
ただ、実際には「電気の便利さを知った顧客」の多くがトヨタの外に流出してしまっていて、トヨタとしてはEVシフトへのお膳立てを(他社のために)整え、そして他社(つまりテスラ)にその顧客を提供し続けていると言えるのかもしれません。
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参照:CarMax