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ユーロ7導入によってガソリン車の製造原価は28万円も上がるらしい!もちろん末端価格はもっと値上げされ、これは当初の想定額の最大10倍に相当

ユーロ7導入によってガソリン車の製造原価は28万円も上がるらしい!もちろん末端価格はもっと値上げされ、これは当初の想定額の最大10倍に相当

| 欧州委員会の見立てはかなり甘く、現実に即していないとして自動車メーカーから非難を受けることに |

このまま非難の声が高まれば、ユーロ7の導入が先送りもしくは取りやめになる可能性も

さて、現在様々な方面で話題となっている「ユーロ7」。

これは欧州にてクルマを販売する際にクリアせねばならない各種規制を総合したものですが、その達成は非常に難しく、自動車メーカーとしてこれに適応するために相当なコストとリソースを割く必要が出てきます。

そしてその負担は「車両価格」という形にて消費者が一部肩代わりすることになり、しかしもちろん自動車メーカー側もそのコストとリソースの多くを自社で吸収せざるを得ず、「電動化に向けて進まねばならない今、なぜ終わりゆく内燃機関にそれだけのお金と人材を注ぎ込まねばならないのか」という不満が業界から噴出しているわけですね。※ユーロ7の導入は2025年が予定されているが、その頃までにガソリンエンジン/ディーゼルエンジンを捨ててピュアエレクトリックカーのみのラインアップとすることは不可能であり、よって各社とも内燃機関をユーロ7に適合させる必要がある

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ユーロ7に対応すると、1台あたりのコストは2,000ユーロ上昇

そして今回、欧州自動車工業会(ACEA)が行った調査によると、「実際に各自動車メーカーがユーロ7に対応することで、”1台あたりにかかるコスト”は欧州委員会が見積もっていた金額の4倍~10倍になる」という衝撃の結果が示され、欧州委員会の見当がかなり甘かったことが指摘されることとなっています。

具体的には、内燃機関(ガソリン/ディーゼルエンジン)を搭載する乗用車と商用車の1台当たりの直接コストにつき、ガソリン車だと1,862ユーロ(現在の為替で約28万円)、ディーゼル車が2,629ユーロ(約39万円)となり、欧州委員会の行った公式試算に比べそれぞれ10倍と5倍という数字に。

同様に、欧州自動車工業会(ACEA)が算出したディーゼルエンジン搭載トラック/バスのユーロ7対応費用は「1台あたり11,707ユーロ(176万円)」となり、こちらは欧州委員会が当初提示した数値の4倍に相当するもよう。

なお、この数値で注意を要するのは、これらの数字は「自動車メーカーにかかるコスト負担」であり、自動車メーカーがそれをすべて、さらには利益を乗せることを考慮すると「消費者の負担はもっと大きくなる」わけですね。

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参考までに、レポートでは「ユーロ7に対応したエンジンの燃費は約3.5%向上する」としているものの、平均的な自動車の寿命(売却までのサイクル)を考慮した場合、乗用車と商用車では650ユーロ(約97,000円)、長距離トラックで2万ユーロ(279万円)の節約となりますが、トラックはともかくとして、乗用車と商用車だと、「オーナーは値上げ分のモトを取れない」ということに。※ユーロ7は、現在導入済みのユーロ6に比べ、NOx排出量を35%、微粒子を13%削減するほか、電気加熱式電子触媒や排出量を継続的に監視する車載診断システムの追加などが求められ、物理的に追加デバイスが必要になるので車両も重くなる

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もうひとつ参考までに述べておくと、昨年にフォルクスワーゲンCEO、トーマス・シェーファー氏は「ユーロ7の規制を満たすために必要なコストは、1台あたり最大で5,000ユーロに達する可能性がある」と述べ、さらにシュコダのクラウス・ゼルマーCEOは「現在15,000ユーロの価格の車が、ユーロ7時代には18,000~20,000ユーロの価格になる」とも。

つまりこれは「小型車の価格が中型車並になってしまう」こと、「EVとの価格差が小さくなる可能性がある」ことを意味しており、そのため小型車中心の自動車メーカー(フォルクスワーゲンやシュコダ、セアト、ルノー、シトロエン、プジョーなど)は将来的にクルマが売れなくなるという懸念が生じます。※ユーロ7は欧州の基準ではあるが、自動車メーカーは仕様地向けに作り分けるほうがコスト高になるものと思われるので、欧州以外で販売されるクルマもユーロ7対応仕様となり、結果的にこれによるコストアップのあおりを食うものと思われる

実際のところ、ルノーはじめいくつかの自動車メーカーは内燃機関を積む小型車の製造を終了させることも視野に入れ、かわりにEVを投入するという計画にシフトしていますが、ユーロ7導入の時期までにこの計画が完了するかどうかはかなり「微妙」だと思われます。

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今回の調査に際し、欧州自動車工業会(ACEA)は「EUは現在、世界で最も包括的で厳しい汚染物質排出基準を設けている」とし、既存のユーロ6/VIであっても「排気ガスがすでにほとんど測定できないレベルである」とも。

つまり、現時点でもそこまで環境を”汚染する”わけではなく、これは「80点まで持ってゆくことは難しくないが、80点を100点にすることは困難である」という事象を象徴しているとも考えられ、よって欧州自動車工業会(ACEA)は「ユーロ7は極めて低い環境改善効果のために、極めて高いコストを伴うため、排出ガス削減のためには正しい方法ではない」と指摘。

レポートを見る限りでは「これはもっとも」としかいいようがなく、さらに欧州自動車工業会(ACEA)は代替案として「EUが電動化への移行に注力する一方で、古い車両を高効率のユーロ6/VIモデルに置き換える」ことを提案しています(買い替えを促すということなのだと思われる。たしかに新車販売台数よりも既存の販売済み台数のほうが遥かに多いので有用かもしれない)。

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参照:Frontier Economics study

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