| 同時に発表されたレクサスTXとは異なり、GXでは日本のトヨタから具体的な解説がなされ、日本での発売を期待できるかもしれない |
レクサスGXの生産は日本の田原工場、北米での納車は2024年から
さて、レクサスが待望の新型GXを正式発表。
レクサスGX(先代)はランドクルーザー・プラドをベースとし、2002年から北米を中心に展開しているモデルですが、ラダーフレーム(ボディオンフレーム)を採用するということもあって(レクサスの中では)オフロード色が濃いラインアップです。
これまで全世界30の国と地域にて販売がなされ、累計販売台数54万台を誇る人気モデルでもあり、今回「21年ぶりに」フルモデルチェンジを果たしたということになるわけですね。
なお、新型レクサスGXにつき、トヨタは「2023年末より、順次各地域に展開する」とコメントしているものの、日本での発売については現時点では言及がなされていない状態です。
新型レクサスGXはこんなクルマ
そこで新型レクサスGXについて見てみたいと思いますが、まず概要は以下のとおり。
新型レクサスGXの概要
- 新しいGA-Fプラットフォーム採用による基本性能のリニューアル
- 世界中の厳しい環境下で鍛え上げられた悪路走破性能の向上
- LEXUSらしい走りであるレクサス・ドライビング・シグニチャー(Lexus Driving Signature)の実現
- オフロード走行時の機能に根差したプロポーション
- 過酷な環境でも快適性を提供するインテリア
- 飽くなき冒険心をかき立てるオーバートレイル(OVERTRAIL)仕様の設定
- 新設された「オーバートレイル」グレードでは33インチサイズのオールテレーンタイヤの標準装備
- 349HPを発生させる3.5リッターV6ターボエンジン搭載(2.4L+ハイブリッドは後に登場)
レクサスによれば、新型GXの車両開発コンセプトは「ザ・プレミアム・オフローダー」。
プラットフォームにはレクサスLXと同じGA-Fを採用し、レクサスらしい静粛性や快適性を引き上げたといいますが、20年ぶんの進化が反映されているということになるため、今回のフルモデルチェンジではまったくの別モノになっていると考えてよいかと思います。
メルセデス・ベンツGクラス、ランドローバー・ディフェンダーが直接のライバルになるかと思われますが、「エレガントな機能、オフロード性能、そしてレクサスが誇るラグジュアリーな品質」という比類なき組み合わによってラグジュアリー・オフローダー市場に挑むということになりますが、北米にて発行されたプレスリリースによれば新型レクサスGXは「ソフィスティケイテッド(洗練された)ユーティリティ・ビークル」。
レクサス部門グループ副社長兼ゼネラルマネージャーのデユアン・ロス氏によると「GXは、20年以上にわたり、伝説的なオフロード性能と贅沢な日常生活のギャップを埋めてきました、新しいパワートレイン、印象的なプレミアム装備の数々、そして新グレードのオーバートレイルなど、新型GXでは、すべての人に楽しんでいただける内容となっています」とのこと。
そしてレクサスは「目的地ではなく、旅が大切」とも語っており、新型GXは、顧客の旅への衝動を刺激し、舗装されていない道を進み、自然に浸り、運転の楽しさを満喫できるように設計されているといい、レクサスの提唱する「オーバートレイル・プロジェクト」を実現する最初の市販車がこのレクサスGX。
北米で展開されるレクサスGXには、 「プレミアム、プレミアム+、ラグジュアリー、ラグジュアリー+、そして新グレードであるオーバートレイルとオーバートレイル+」の6つのグレードが用意されることもアナウンスされており、ほかのモデルであっても、場合によっては今後この「オーバートレイル」グレードが追加設定されるかもしれませんね。※新型LBXについてもグレード構成に変化があり、「用途(ライフスタイル)別」にて分けられているので、今後のレクサスのグレード展開は大きく変化を迎えそう
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新型GXは、タフで頑丈なペルソナを表現するためにアグレッシブなエクステリアデザインを採用したといい、レクサスのデザイナーは、ボディオンフレームSUVならではのオフロード性能を表現することに最大の注力を行っています。
まず目に入るのは水平基調のデザインをモチーフにしたスクエアボディで、これは先代GXのはもちろん他のレクサスとはまったく異なるルックス。
フロントでは、レクサスのスピンドルボディコンセプトを継承し、サイドでは接地感のある安定したスタンスを実現するため、ワイドトラック(トレッド)とフェンダーフレアで張りのあるボディを作り、フロントピラーベースをリアに寄せていることが視覚的な特徴です。
ボディサイズは全長4,950ミリ、全幅1,980ミリ、全高1,870ミリ(オーバートレイルグレードはさらに広い)、ホイールベース2,850ミリという「かなり大柄な」クルマであり、しかしプレミアムトリプルビームLEDヘッドランプの位置とグリル開口部を高くすることで路面からの衝撃を回避しやすくしたほか、LEDフォグランプとコーナリングランプを採用して視認性を向上させ、さらにはフロントオーバーハングを短縮してアプローチアングルを拡大するなど、すべてのデザインは機能と直結しており、その外観が示す通りに「他のレクサスとは異なる思想で設計されている」こともわかりますね。
そのほか、デザイン的特徴としては「水平方向に流れるようなボディを採用することで、ソリッドで力強い存在感を表現」「Aピラーを後退させ、さらにはベルトラインを低くしすることで視認性を向上」といったところがアナウンスされているほか、オーバートレイルグレードでは18インチホイールと33インチサイズのオールテレーンタイヤという「レクサスらしからぬ」ワイルドな組み合わせも。
リアビューもやはりスクエアでアグレッシブ、そして近年のレクサスらしいL字型のライトバー、しかしGX専用の無骨なデザイン。
刷新されたLEXUSロゴは、2022年のNXで導入された”ネクストチャプター”デザイン、そして新型GXには、ポップアウトウィンドウ付きのパワーリアリフトドア(GX初)を標準装備し、ハンズフリーで使用できるキックセンサーも導入されています。
新型レクサスGXのボディカラーはグレードにより「エミネントホワイトパール、ネビュラグレーパール、アトミックシルバー、GX初のインコグニート、キャビア、ノリグリーンパール、ナイトフォールマイカの11色。
「オーバートレイルとオーバートレイル+」には、アトミックシルバー/ブラックルーフ、インコグニート/ブラックルーフ、ノリグリーンパール/ブラックルーフ、レクサスファーストアース/ブラックルーフというバイトーンの専用外装色の組み合わせが用意されますが、今回公開された公式フォトでは、ベージュの個体が「オーバートレイル/オーバートレイル+」グレード、そしてメタリックグリーンの個体が「プレミアム」グレード。
走行性能的なところに触れておくと、新型レクサスGXは強靭で軽量なラダーフレームを採用することでオンロードでのハンドリングを改善し、新開発のダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションとマルチリンク式リアサスペンションの組み合わせによってオフロードでの走行性能とオンロードでの走破性を高い次元で両立。
さらにはAVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション)の採用によって路面状況に応じ減衰力を調整することもでき、EPS(エレクトロニック・パワーステアリング)採用によってオンロード/オフロード両方をステアリングフィールを高めている、とのこと。
そのほか、ロック機能付トルセン式リミテッドスリップセンターデフ付き4WDシステムの採用によって変化に富んだ路面でも安定した走りを実現しており、オーバーレールグレードでは電子ロック式リアデフが追加。
なお、このトルセン式ディファレンシャルは、旋回時の加速においては後輪左右の荷重に応じて駆動力を最適に配分して高い制御性能を発揮するほか、直進走行時には路面状況の変化に対応することで車両全体の安定性に寄与。
さらには電子制御トランスファーケースの改良によって「4hi」と「4lo」の切り替えが高速化されているようですね。
新型GXには2種類のパワートレインが用意され、米国での発売時には3.5L V6ツインターボ・エンジンと10速ダイレクトシフト・オートマチック・トランスミッション、そしてのちにハイブリッドバージョン(2.4リッター4気筒+エレクトリックモーター)が追加される予定とのことですが、現時点では現地価格について公表されておらず、日本導入の可否とともに気になるところでもありますね(生産は田原工場で行われ、納車開始時期は2024年はじめから)。
新型レクサスGXのインテリアはこうなっている
そしてこちらは新型レクサスGXのインテリア。
ラグジュアリーSUVに求められる二面性、すなわち”堅牢で高性能なエクステリア”と”ロードトリップのオアシス”を演出するラグジュアリーなインテリアの要素を備えており、新型RXにも採用されたドライバー重視のコックピットデザイン(TAZUNAコンセプト)を採用し、ドライバーが安心して旅に集中できるような配慮がなされています。
水平基調のインストルメントパネルは、ダッシュボードまで続く新しいデザインを持ち、前方および側方の視界を確保しながらも助手席における使い勝手を向上。
また、ヘッドアップディスプレイ(HUD)と標準装備の14インチマルチメディアタッチスクリーンディスプレイ(Lexus Interfaceテクノロジー搭載)をシームレスにつなぐオープンスペースが用意され、エアコンやオーディオボリュームなど、頻繁に使用する操作系のダイヤルはそのままに(つまりアナログのまま残されている)、すべてのオフロード用操作系をギアシフター付近に集約し、悪路走行時にも直感的な操作ができるよう構成されています。
インテリアカラーは”ドアのすぐ外に広がる自然を引き立てることを意図した”というブラック、ダップルグレー、サドルタンのセミアニリン本革とニューリュクス(NuLuxe)、ブラックまたはダークブラウンのグレイントリム。
オーバーレールグレードには、ブラックのニューリュクスインテリアにオリーブウルトラスエードアクセント、またはシャトーのニューリュクストリムインテリアにオリーブウルトラスエードアクセントとブラックオーナメントというカラーコンビネーションが用意されています。
なお、同時に発表されたレクサスTXのプレスリリースでは「北米のみ(生産も北米である)」という文字が見られ、簡素な説明に終始するものの、新型GXではその内容が濃く、さらに販売地域についての言及も見られず、かつ説明の内情が充実している上、レクサスの開発担当者からのコメントも添えられており、両者の差が明確になっています。
加えて日本のメディアには「GXのみ」プレスキットが事前に配布されているようなので、新型レクサスGXの日本導入については「非常に可能性が高い」と考えていいのかもしれません(さらに、新型GXはレクサスの既存ラインアップを侵食せず、メルセデス・ベンツGクラス=ゲレンデとランドローバー・ディフェンダーの人気が高い日本市場ではそれらのシェアを獲得し、レクサスの販売を上積みできる可能性がある)。
新型レクサスGXのプロモーション動画はこちら
参照:TOYOTA