| それでもついに、2019年11月からサイバートラックの納車を待ち焦がれていた人々に朗報が訪れる |
一方でサイバートラックのサイズ、スペック、価格はまだ公開されていない
さて、テスラが2023年第3四半期の決算発表を行い、その場で「サイバートラックの納車が11月30日から開始される」と発表。
直近の予定では「第3四半期に納車される」はずだったものの、それが第4四半期にまでずれ込んでしまったということになりますね。
そして今回の発表によると、現在テスラはサイバートラックの試験生産を行っており、生産を担当するギガテキサスでは年間125,000台を製造する能力があるとのこと(一方、サイバートラックの予約は150万台以上あると言われている)。
Q3 2023 Earnings Call https://t.co/eSwixzYTJD
— Tesla (@Tesla) October 18, 2023
テスラはサイバートラックの価格やスペックについては「未公表」
納車が近づいてきたといえど、現時点でまだわからないのが「サイバートラックの最終的な価格とスペック」。
2019年に発表された際には「39,999ドルから」ということでしたが、モデル3のときと同様に、それが実現できるとはとうてい考えられず、ぼくらにできるのは「発表を待つことだけ」。
加えてイーロン・マスクCEOは「サイバートラックが利益として反映されるまでには”最大で”18ヶ月を要する」「年間25万台を生産できるようになるのは2025年」ということについても言及しており、サイバートラックへの過剰な期待は避けたい(もしくは避けて欲しい)とも述べていますが、同氏は大胆な発言や行動で知られる一方、非常に悲観的な人物としても有名で(スペースXやテスラについても、成功より失敗する可能性のほうが遥かに高いと捉えていた)、モデル3発表前にも「それほど期待しないで欲しい」という牽制を行っています。
ただ、サイバートラックがすぐに利益に貢献しないとしても、「走る広告塔」として実益に換算できないメリットを生み出すことは間違いなく、これを世に送り出すことのほうがずっと重要であるとも考えられます。
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サイバートラックの生産は「非常に難しい」
そしてこの決算発表の場でサイバートラックの開発そして生産に関わる困難についても(イーロン・マスクCEOが)言及しており、同氏の言葉をそのまま借りると「我々はサイバートラックで墓穴を掘った」。
要はサイバートラックの実現には想像以上の困難が存在したということになりますが、イーロン・マスクCEOは過去にも同様の発言を行っていて、それはモデルXに採用されるファルコンドアに関してで、「開発には想像を遥かに超える苦労を要した。あれを実現しようとした自分を呪う」とまで。
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そして今回のサイバートラックに関しては「異質で先進的な存在であり、これを実現するためには極めて斬新な生産工程を開発する必要があった」と述べ、「数々の問題を解決しようとすると、それに関係する問題がまた発生します。しかし、それでもこのサイバートラックはこれまでのテスラにおいて最高の製品であることを強調したい」と続けています。
ただ、「多くの人々が手に入れることができる価格になるには時間がかかる」ともコメントしているので、当面はかなり高い価格設定にて推移することになるのかもしれません。
参考までに、今回のサイバートラックのような「開発の遅れ」「販売価格の引き上げ」は珍しいことではなく、フォードでもF-150ライトニングの価格が予定よりも大幅に高くなってしまい(それでも1台売るのに相当な赤字が出るという)、GMではピュアエレクトラックの生産を1年先送りにする、というコメントを出したほどで、これらの事実は、ビッグ3の一角を成す自動車メーカーであっても、ことEVに関しては「予定通りに進める」のが非常に難しいということを物語っています。
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テスラ・サイバートラックの納車に向けて準備が着々と進行中
様々な困難があったといえど、サイバートラックの納車に向けて準備が進められていることも事実であり、テキサスのギガファクトリーでは生産が完了したと見られる個体が多数目撃されていて、これらは11月30日に顧客へと引き渡されるサイバートラックの一部なのかもしれません。
How about a few more Cybertruck images from today at Giga Texas to celebrate the official announcement of 30 November 2023 for the delivery event? pic.twitter.com/mLSYU1GNKa
— Joe Tegtmeyer 🚀 🤠😎 (@JoeTegtmeyer) October 18, 2023
そして現在でもテストが継続され、こちらは「かなり珍しい」サイバートラックとリビアンR1Tとが並んだ写真。
リビアンR1Tはサイバートラックに先駆けて発売されたピュアエレクトリックピックアップですが、その丸くシンプルなルックスによって、サイバートラックでは拾えなかった顧客を獲得している、と言われています。
画像のみではなんともわかりにくいものの、見る限りではサイバートラックのほうがR1Tよりもやや大きいように見えますね(この期に及んでも、まだ市販版サイバートラックのサイズすら発表されていない)。
少なくとも11月30日にはサイバートラックの全容が明かされることになるものと思われますが、テスラからの正式発表を待ちたいと思います。
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参照:Tesla(X), Joe Tegtmeyer(X), Cybertruck Owners Club