| ボディパネルは薄肉化、塗料の重量を嫌い塗装ではなく「ラッピング」を選択 |
ドアミラーにすらエアカーテンを採用しエアロダイナミクスを最適化
さて、先日T.50s ニキ・ラウダの最初のプロトタイプの組み立ての様子に関する「第一弾」動画を公開したゴードン・マレー・オートモーティブ(GMA)。
このT.50s ニキ・ラウダは、公道走行バージョンであるT.50のサーキット走行版という位置づけですが、よくある「パワーアップに軽量化、足回りやボディ剛性とエアロパッケージのアップグレード」が施されただけのクルマではなく、第一弾動画では根本から再設計された”サーキットウエポン”であることが明かされています。
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「T.50s ニキ・ラウダ」プロトタイプ製作動画「第二弾」ではさらなるディティールが明らかに
そして今回公開された「第二弾」動画ではさらなる詳細が明らかになっており、前回同様にチーフ・テストドライバーのダリオ・フランキッティ、そして設計者であるゴードン・マレーがそのディティールへと触れることに。
まず最初に言及したのは「エンジン」であり、T.50s ニキ・ラウダに搭載されるコスワース製V12エンジンは当初の計画である715馬力を大きく超えて761馬力に達していますが、これは主に圧縮比を15.0:1に高めることによって成し遂げられたのだそうう。
ただしもちろんそれだけではこの数字を達成することは難しく(ターボであればともなくNAエンジンではいっそう難しい)、サーキット走行専用車ということを考慮して低回転域を捨て去り、可変バルブタイミング機能の廃止のほか、新設計のシリンダーヘッド、より大きなプロファイルを持つカムシャフト、(12個の)独立スロットルボディ、F1マシン同様のダイレクトオーバーヘッドインジェクションを備えた新しい吸気システム等を備えることに。
なお、これらは過去にゴードン・マレーが設計したF1マシンにも用いられた技術であり、ここから多くのアイデアがデリバリーされているようですね。
そしてサスペンションに関してだと、通常のT.50はサスペンションコンポーネントに鍛造アルミニウムを採用しているものの、T.50s ニキ・ラウダでは軽量スチールを使用し、「カーボンカーボン」ブレーキと組み合わせた幅広の18インチホイールもT.50s ニキ・ラウダならではの専用装備。
もちろんこれらによってバネ下重量が軽減されますが、この「カーボンカーボン」ブレーキローターもサーキット走行に特化したがための装備であり、低温下や雨天では十分な制動力を発揮しないものの、もちろんサーキット走行下においては絶大な効力を発揮します。
GMA T.50s ニキ・ラウダは最大で1,900kgのダウンフォースを発生
そしてT.50s ニキ・ラウダは公道走行バージョンのT.50に比較しても強大なダウンフォースを発生し、最大では1,900kgをマークすると紹介されていますが、この最大ダウンフォースではむしろダウンフォースが「強力すぎて」走行性能がスポイルされる可能性があるといい、「ダウンフォース1,500kg」版のエアロパッケージを別途用意することについても言及しています。
ちなみにこのドアミラーには「エアカーテン」が内蔵され、ミラーハウジング内を抜けたエアはそのまま後方へと抜ける構造を持つもよう。
そして戦闘機ばりのピトー管も。
なお、T.50s ニキ・ラウダはブレーキング時に最大2.6の横Gと最大3.5の縦Gを発生するとされ、すでにプロトタイプはGT1マシンを凌駕するラップタイムを記録しているのだそう。
加えてル・マン(サルト・サーキット)では1995年の優勝車であるマクラーレンF1 GTRよりも速く走ることが可能だとされています。
そして「塗料」は重量増加につながるため、T.50s ニキ・ラウダのプロトタイプでは塗装の代わりにラッピングにて着色されており、カーボンファイバー製ボディパネルそのもの薄肉化されているのだそう。
実際に販売されるモデルでは助手席(というかセンターシート後方の2つのシート)やそれに関連するハーネス(シートベルト)、マウント類もオプショ扱いになるとされ、とにかく凄まじい戦闘力を持つマシンに仕上がるのは間違いなく、まだまだ開発は継続中ではありますが、プロトタイプが完成し「どれだけのタイムを出せるのか」には注目が集まるところですね。
ゴードン・マレー・オートモーティブ(GMA)T.50s ニキ・ラウダの開発過程を紹介する動画はこちら
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参照 / Photo:Gordon Murray Automotive