アップルがついに10年以上進めてきた自動車事業（プロジェクト・タイタン）からの撤回を決める。発足当初から苦戦続き、投資家はこれを評価し株価は上昇

｜　アップルのEV計画については当初から方向性が二転三転し、その実現製、収益性が疑問視されていた　｜

ここまで巨額をつぎ込んだということになるが、それでも未来の損失を回避できたと考えるのが妥当だと思われる

さて、アップルは10年以上の長きに渡り「アップルカー（あるいはiCar）」の開発に取り組んできたものの、今回正式に「自動車事業からの撤退を宣言した」との報道。

このアップルカーについては当初BMWとの提携にて製造され、i3をベースにするというところからウワサがスタートし、その後は「自動運転に特化」「一般向けに販売は行わず、公共モビリティとしてリリース」というように話が変化し、その後しばらくウワサがなかったものの、2-3年前に突如、台湾のサプライヤー経由にて「試作車を作るための準備をするようにアップルから連絡を受けた」というリークがあり、ここからアップルカーのウワサが再燃しています。

その後ヒョンデとの提携話に加えキアやフォックスコンが生産を請け負うという話が出た後、結果的にどこもアップルと手を組もうとはしなかった（アップルのOEM先に対する姿勢が問題であったと言われる）という話に落ち着き、アップルが自社でなんとかするより道がなくなったというのが直近の状況です。

アップルの自動車事業からの撤退は投資家に歓迎される

報道によると、Appleの最高執行責任者ジェフ・ウィリアムズ氏とプロジェクト担当副社長のケビン・リンチ氏により、このプロジェクト「タイタン」に割り当てられていた2,000人以上の従業員に対して火曜日にプロジェクトの中止が告げられたとされ、これらの従業員の多くはAppleの生成AIチームに異動するほか、社内公募にて別プロジェクトへの転属の希望も受け付けられる、とのこと。※もちろんそれに漏れた従業員は解雇に直面することになるかと考えられる

この「タイタン」につき、アップルとしてはもっとも野心的、そしてもっとも高額な製品を開発するプロジェクトでもあったわけですが、上述の通りプロジェクト開始当時から方向性が定まらず、かつパートナーも見つからない状態に苦しめられ、かつプロジェクトリーダーも二転三転。

フォードやランボルギーニなどの既存自動車メーカーのほか、新興EVメーカーからも多数の人材を引き抜いたことも報じられているものの、結果的にそれらの人材の多くがアップルを去り、発売時期の延期、予定していた自動運転レベルの引き下げ（レベル4からレベル2へ）も報じられ、かつ車両価格も1500万円を超えると報じられるにあたり、投資家そしてアップルの幹部からもこのプロジェクトの成功を疑問視する声が大きくなっていたのも事実です。

そういった背景もあり、この数週間にてアップルの上層部はこのプロジェクト・タイタンの「中止」を決めたといいますが、興味深いのはこの判断によってアップルの株価が上昇（8.1％）したこと。

つまり、多くの投資家はこのプロジェクト・タイタンのシャットダウンを歓迎しており、そもそもこれは「成功しないだろう」と見ていたということになりますね。

参考までに、テスラCEO、イーロン・マスク氏もこのニュースについて反応し、「敬礼」アイコンを投稿していますが、撤退という勇気に敬意を示したのか、同氏が重視するAIへの注力に敬意を表したのかは不明です。

🫡 🚬 https://t.co/f5wn0y95gx

— Elon Musk (@elonmusk) February 27, 2024

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参照：Bloomberg