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なんとこの15年でEV用バッテリーパックの価格は10分の1にまで下がっていた。しかしそれでもEVそのものの価格が下がらないのは「インフレ」のせいだった

メルセデス・ベンツ

| EVそのものの製造コストは予期したほども下がらない |

それでも2027年にはガソリン車の製造コストを下回る可能性があると見られている

米国エネルギー省(DOE)車両技術局が発表した新しい調査によると、電気自動車に使用するバッテリーの製造コストが2008年から2023年の(15年の)間になんと90パーセントも下がっている、とのこと。

つまりこの統計では「バッテリー価格が1/10になっている」と述べているわけですが、実際のところEVそのものの価格はそこまで下がっておらず、その理由は昨今叫ばれる「インフレ」であり、これがせっかく下がった製造コストを帳消しにしているのだそう。

それでもバッテリー製造に関わる実勢コストは「30%減」

米国エネルギー省によればリチウムイオンバッテリーパックのコストは、2008年の1,415ドル/kWhから2023年には139ドル/kWhにまで下がっていて、たしかにこれを見るとそのコストは「1/10以下」。

しかしながらここにインフレを加味して調整すると「1,000ドル/kWh」になるといい、そうなるとコスト下落幅は30%にとどまります。

このコストの低下は「バッテリー技術と化学特性の向上、新しい製造プロセス、生産量の大幅な増加」によってもたらされているといい、テスラに積まれる81kWhサイズのバッテリーパックの価格は2008年には114,615ドルであったものの、2023年には11,259ドルにまで下がっているとされ、テスラがここ数年で加速度的に利益を増加させているのにはこういった背景があるのかもしれません。※そう考えるならば、新しく創業したEVメーカーほど「価格の下がった」バッテリーパックの恩恵を受けていそうではあるが、反面インフレによる用地取得や人件費、様々な投資の負担が増加しているのかも

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今後も引き続きバッテリーコストは低下の見込み

現在多くの自動車メーカーが「今後数年間はバッテリーコストが引き続き低下し、手頃な価格のEVが実現する」と予想しており、市場分析会社ガートナーの調査によると「2027年までにEVの生産コストは内燃機関搭載車より安くなるとされ、そうなると現在EVの普及が想定通りに進まない理由のひとつ「価格」が解決される可能性が生じ、これによって大きく環境が動くことになるのかもしれず、自動車メーカー各社は来たるべきときに備えておく必要があるのかもしれません(今ここでEV開発の手を緩めることはできない)。

なお、JDパワーの調査では「5年間のEV所有コスト」は、米国50州のうち48州ですでに内燃機関車よりも安価になっているということがわかっていますが、「タイヤ代」「年々高騰する電気代」のように維持費を押し上げる要員もあり、EVにとっては「一難去ってまた一難」ということにもなりそうですね。

加えてEVの場合、バッテリー価格の下落が示すように「新しいEVであればあるほど価格が安くなる、もしくは価格が同じであっても航続距離などEV性能が向上する」ために購入済みEVの価値が絶対的にも相対的にも下がってゆき、これが売却価格にも影響することは間違いなく、よって「買ってから売るときまでのことを考えると」当面はガソリン車含む内燃機関搭載車のほうに分があるのかもしれませんね。

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