| さらにノースボルトは「他社では供給できない」小型軽量バッテリーを持っていた |
EVはガソリン車とは異なり「サプライヤー依存度」が高く、これまで経験していない問題が生じることも
さて、この1年余りの「EV人気減速」の余波を受け、自動車メーカーのみではなくサプライヤーも苦境に立たされており、つい先月にはスウェーデンの大手バッテリーメーカー、ノースボルト(Northvolt)がアメリカで連邦破産法第11章の適用を申請し、債務再編と新たな資金調達を目指しています。
そして現在は債務再編と新たな資金調達を目指している最中であるとも報じられていますが、同社は「通常通り事業を継続する」とし、しかしその舞台裏ではポルシェやアウディを含む複数の自動車メーカーの進めるEV製造計画に遅れが出る可能性が指摘されています。
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ポルシェ718ボクスター・ケイマン「EV」の生産遅延の可能性
このノースボルトの倒産の影響で注目されるのはポルシェ718 EVだと見られており、同モデルは来年末の発売が予定されていたものの、バッテリー供給の問題や駆動系部品の不具合により遅延の可能性が指摘されているわけですね。
というのも新型ポルシェ718EVのパフォーマンスはノースボルトのバッテリーに依存しており、実際にこのバッテリーは高いエネルギー密度を誇ります(つまり、同じ容量だとより小さく軽いバッテリーパックにできる)。
そしてこのバッテリーは軽量性を重視するスポーツカーの実現にとって「必要」かつ「他のバッテリーでは代替がきかない」存在だといい(ポルシェの広報担当者はこの件についてコメントを控えているものの)問題解決に向けた取り組みが求められています。
一方でポルシェと同じくフォルクスワーゲングループに属するアウディもこの問題に直面していて、しかしリスクは比較的小さいもよう。
その理由としては「アウディはCATLやLGからもバッテリーを調達しており、かつスポーツカーにノースボルトの軽量バッテリーを積まなければ”ならない”わけではなく、よって他のサプライヤーのバッテリーでも代用がきくから」。
そのためアウディは「サプライヤーを切り替える可能性があるものの、ポルシェはそうではない」ということになるわけですね。
ノースボルトの破産は、ヨーロッパの各自動車メーカーが中国のバッテリーサプライヤーへの依存を減らすために進めていた戦略にとって大きな打撃となっており、よってこの破産は欧州のEV計画に大きな影響を及ぼす可能性が高まっています。
よってポルシェやアウディがこれをどう乗り越えるかが、今後のEV市場での競争力を左右する重要なポイントとなり、ほかの欧州の自動車メーカーにとっての指標となるのかもしれませんね。
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