■そのほか自動車関連/ネタなど

EVのバッテリー劣化はこれまでの予想に比較して最大で40%も遅く、意外と長持ちすることが判明。もうEVの「バッテリー交換」を気にしなくていいかも

BMW

| EVに関しては、毎日様々な分野で様々な発見がなされている |

そのためEVは「まだまだ発展途上」という印象が強い

さて、EVは発展途上のセグメントであり、もちろん各自動車メーカーは様々な環境や状況を想定してテストを行ったのちに車両を世に送り出しているものの、まだまだ「わからないことが多い」というのが実情かと思います。

そして「わからないことのひとつがバッテリーの耐久性であり、今回「これまで、EV用バッテリーのテストは正しい方法ではなく、実際の運転条件を考慮していなかった」として、「EV用バッテリーは予想より最大40%長くもつ可能性がある」という調査結果が発表されることに。

テスラ
テスラ車に搭載されるバッテリーはわずか3年で36%劣化する?ただし正確な劣化度合いを知ることは難しいようだ

| どうしてもEVにとって「バッテリー劣化」の問題は避けることができない | そしてこのバッテリーは容易に交換ができず、メーカーも簡単には保証交換に応じない さて、最近の調査により「テスラのクルマに搭 ...

続きを見る

電気自動車の使い方は「人それぞれ」である

EVにおけるバッテリーの劣化は深刻な問題で、これが進むと古くなった EV の走行距離を大幅に短縮したり、高価なバッテリー交換が必要になる可能性が出てきます。

しかし、SLAC-スタンフォード バッテリー センターの科学者による新しい研究では、電気自動車のバッテリーは以前の推定よりも大幅に長く性能を維持できる可能性があることが示唆されており、「加速、ブレーキ、ダウンタイムはすべて、バッテリーの寿命を延ばすのに役立つ」という主張がなされることに。

スタンフォード バッテリー センターの研究発表を要約すると「EVに関しては、バッテリー寿命サイクルの計算方法があまり適切ではない。今までのの計算方法では、車両を実際に運転した際には発生しない、一定の放電と再充電サイクルを想定している」。

L1010043

一方、実際のEVの使用においては、街中の短距離走行から長距離高速道路走行まで、あらゆる状況を経験し、渋滞や駐車場での待機時間も長くなり、かつ充電方法もさまざまで、所有者によっては毎晩バッテリーを満充電する人もいれば、充電のと充電の間隔が何日も開く人もいる、というのが実情です。

そこでスタンフォードの研究者は「理論と現実との乖離」に着目するわけですが、「この比較的無秩序な使用方法を研究室では再現できない」と判断し、しかしより実際の使用に近づけるため4つの放電プロファイルを作成し、これらを使用して「92個の市販のリチウムイオン バッテリーを2年以上テスト」し、プロファイルが現実的であればあるほど、「EV の寿命が長くなる」ことを発見したと主張することに。

この研究では、急激で短い加速(つまり急な放電)が劣化を遅らせる可能性があるなど、いくつかの意外な事実が判明し、これは予想とはまったく逆の結果です。

まだまだEVは「ソフト面での」改良が可能である

さらに、この研究では、回生ブレーキによる(短時間かつ低電圧の)充電が航続距離を伸ばし、それによって生じる(たびたび急速充電を行わなくても良くなるという)バッテリーの「休息」がバッテリー寿命を延ばすのに役立つという事実が示されることに。

上述の通り、現在は「テスト方法」まで含めてわからないことが多く、しかし多くのユーザーが走行を行い、そのデータが蓄積され自動車メーカーに渡ることにより、メーカーはさらに精密な制御をできるようになるものと思われますが、たしかにEVは「ソフトウエアのアップデート」によって(物理的な変更がないのに)航続距離が伸びることも少なくはなく、それはこういった「大量のデータ解析によって導き出された」最適化によってなされるのだとも考えられます。

そのため、今後もまだまだ航続距離が伸びたり、バッテリーの寿命が長くなったり、劣化の速度が遅くなったりといった改善がなされるものと思われ、こういった例を見ても、やはり「EVは今でも発展途上」の乗り物なのかもしれません。

あわせて読みたい、関連投稿

テスラ
パナソニックが1年前に掲げた「売上3倍、バッテリー生産4倍」という目標を早くも撤回。テスラはじめ北米生産のEVが売れなくなったことが原因だと報じられる

| この1年(もしくは半年)でEVを取り巻く環境は完全に以前とは異なるものに | おそらく、まだまだ様々な分野において「歪み」が見られるようになるだろう さて、パナソニックは「2030年度末までに売上 ...

続きを見る

EV用バッテリーシェアNo.1のCATLが「ソリッドステート(全固体)技術はEV業界が考える特効薬ではない」と衝撃発言。実現の難しさ、その危険性について言及
EV用バッテリーシェアNo.1のCATLが「ソリッドステート(全固体)技術はEV業界が考える特効薬ではない」と衝撃発言。実現の難しさ、その危険性について言及

| 早ければ2020年に実現するとしていたメーカーも存在したが、現時点では実用化の目処は立っていない | もしかすると、このまま永遠に実現できない「幻の技術」となる可能性も Image:CATL さて ...

続きを見る

メルセデス・ベンツ
なんとこの15年でEV用バッテリーパックの価格は10分の1にまで下がっていた。しかしそれでもEVそのものの価格が下がらないのは「インフレ」のせいだった

| EVそのものの製造コストは予期したほども下がらない | それでも2027年にはガソリン車の製造コストを下回る可能性があると見られている 米国エネルギー省(DOE)車両技術局が発表した新しい調査によ ...

続きを見る

参照:The Hill

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

-■そのほか自動車関連/ネタなど
-, ,