| この1年(もしくは半年)でEVを取り巻く環境は完全に以前とは異なるものに |
おそらく、まだまだ様々な分野において「歪み」が見られるようになるだろう
さて、パナソニックは「2030年度末までに売上高を3倍に、バッテリーの生産能力を4倍に」引き上げるという目標を打ち出していたものの、今回その目標を撤回すると発表したもよう。
これは主に北米におけるEV需要の減速、そしてもっともそのあおりを受けるであろうテスラの状況を考慮してのことである、と報じられています。
パナソニックは現在テスラとの提携によって米国に2つの工場を建設しており、1つはネバダ州、もう1つはカンザス州にて建設中ですが、3月に予定されていた「第三の」工場建設計画の発表は行われておらず、つまりは3月の段階から”雲行きが怪しくなっている”ことを察知して計画の変更を検討していたのかもしれません。
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「計画の達成時期はもはや重要ではない」
パナソニックによれば、引き続き「売上高を3倍に、バッテリーの生産能力を4倍に」という目標を維持し続けるものの、その達成時期はもはや重要ではないと述べ、これは事実上の「無期限延期」ということになりそうです。
なお、この計画を公表したのはわずか1年前であり、その際にはEV用バッテリーの生産・調達能力を全世界規模で50Gwhから200GWhに引き上げるとしていたものの、わずか1年のうちに事情が「まったく変わってしまった」わけですね。
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パナソニックは北米にて生産したバッテリーをテスラはじめルシード(ルーシッド)にも供給していますが、今回パナソニックは「現在の市場動向を見て、目標数値に固執するよりも、適切な利益と一定の市場シェアを目指すことの方が重要だと判断しました」と日経アジア紙に語っており、同紙によると同社幹部による今回の再評価は、北米でのEV販売の全般的な減速がきっかけとなった、とのこと。
米国では毎年記録的な数のEVが登録されているものの、その市場の成長は鈍化し始めていて、複数の調査では、依然として充電インフラの不足と購入コストの高さがEV購入検討者の心を重くしていると示唆していますが、この傾向はぼくらが思うよりもずっと深刻なのかもしれません。
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ただしパナソニックは単に”減産”を行うわけではなく、「日本市場に潜在性を見出している」とも述べており、すでに、円筒形リチウムイオン電池の供給をめぐり、スバルやマツダと交渉中であるともコメントしていて、北米の顧客向けに割り当てていた国内生産能力の一部を日本の自動車メーカーが生産するEV用へと振り分けるのことを計画しているのだとも考えられます。※しかし日本市場においてもEV需要が高まっているわけではなく、北米の”欠損”分を日本市場でカバーできるかどうかはわからない
こういった事実を見るに、すでに供給能力が需要を上回っているとも考えられ、これによる「ひずみ」があちこちに現れるようになるのかもしれません。
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