>テスラ(TESLA)

パナソニックが1年前に掲げた「売上3倍、バッテリー生産4倍」という目標を早くも撤回。テスラはじめ北米生産のEVが売れなくなったことが原因だと報じられる

2024/06/10

テスラ

| この1年(もしくは半年)でEVを取り巻く環境は完全に以前とは異なるものに |

おそらく、まだまだ様々な分野において「歪み」が見られるようになるだろう

さて、パナソニックは「2030年度末までに売上高を3倍に、バッテリーの生産能力を4倍に」引き上げるという目標を打ち出していたものの、今回その目標を撤回すると発表したもよう。

これは主に北米におけるEV需要の減速、そしてもっともそのあおりを受けるであろうテスラの状況を考慮してのことである、と報じられています。

パナソニックは現在テスラとの提携によって米国に2つの工場を建設しており、1つはネバダ州、もう1つはカンザス州にて建設中ですが、3月に予定されていた「第三の」工場建設計画の発表は行われておらず、つまりは3月の段階から”雲行きが怪しくなっている”ことを察知して計画の変更を検討していたのかもしれません。

VW
参考EV革命の急先鋒、VWですらEV注力姿勢を弱めPHEVへと軸足を移行。「過去6カ月以内に、突然誰もがハイブリッドを望むようになった」

| それにしても、昨年11月辺りからの「急激なハイブリッド、PHEV人気」には驚かされる | ただし現時点ではアウディのみが「電動化計画に変更なし」 さて、現在の自動車業界は大きな荒波にもまれており、 ...

続きを見る

「計画の達成時期はもはや重要ではない」

パナソニックによれば、引き続き「売上高を3倍に、バッテリーの生産能力を4倍に」という目標を維持し続けるものの、その達成時期はもはや重要ではないと述べ、これは事実上の「無期限延期」ということになりそうです。

なお、この計画を公表したのはわずか1年前であり、その際にはEV用バッテリーの生産・調達能力を全世界規模で50Gwhから200GWhに引き上げるとしていたものの、わずか1年のうちに事情が「まったく変わってしまった」わけですね。

パナソニックが米国・カンザスと日本・和歌山にてテスラ向けのバッテリー製造設備を開設!EV製造は今後バッテリーをいかに安価に、安定的に調達できるかが鍵に
パナソニックが米国・カンザスと日本・和歌山にてテスラ向けのバッテリー製造設備を開設!EV製造は今後バッテリーをいかに安価に、安定的に調達できるかが鍵に

| EVは参入障壁が低いと思われたが、ここへきてバッテリー製造工場をまかなえるだけの資本の有無が勝敗を分けるかも | テスラに日本製のバッテリーが積まれるとなるとちょっと安心 さて、パナソニックが米国 ...

続きを見る

パナソニックは北米にて生産したバッテリーをテスラはじめルシード(ルーシッド)にも供給していますが、今回パナソニックは「現在の市場動向を見て、目標数値に固執するよりも、適切な利益と一定の市場シェアを目指すことの方が重要だと判断しました」と日経アジア紙に語っており、同紙によると同社幹部による今回の再評価は、北米でのEV販売の全般的な減速がきっかけとなった、とのこと。

L1410545

米国では毎年記録的な数のEVが登録されているものの、その市場の成長は鈍化し始めていて、複数の調査では、依然として充電インフラの不足と購入コストの高さがEV購入検討者の心を重くしていると示唆していますが、この傾向はぼくらが思うよりもずっと深刻なのかもしれません。

テスラ
米にて実施の調査によれば「EVの選択肢がかつてないほど増えた一方、EVを購入しようと考える人は減少」。購入しない理由は1位が充電インフラ、次いで価格、航続距離など

| ただし年代や使用状況によって「EV購入検討」状況に違いがあり、一部ではEVに対する興味も伺える | いずれにせよ、自動車メーカーは「課題」が明確になっているだけに”やること”が決まっている さて、 ...

続きを見る

ただしパナソニックは単に”減産”を行うわけではなく、「日本市場に潜在性を見出している」とも述べており、すでに、円筒形リチウムイオン電池の供給をめぐり、スバルやマツダと交渉中であるともコメントしていて、北米の顧客向けに割り当てていた国内生産能力の一部を日本の自動車メーカーが生産するEV用へと振り分けるのことを計画しているのだとも考えられます。※しかし日本市場においてもEV需要が高まっているわけではなく、北米の”欠損”分を日本市場でカバーできるかどうかはわからない

こういった事実を見るに、すでに供給能力が需要を上回っているとも考えられ、これによる「ひずみ」があちこちに現れるようになるのかもしれません。

合わせて読みたい、関連投稿

ボルボXC40リチャージが米国でリコール!「意図しない加速、もしくは加速しない、走らない、起動しない」。やはり中国産ボルボはちょっと不安
ボルボが2024年第1四半期の確報を発表。2025年にEV販売比率を50%、2030年に100%にすると言う目標を掲げつつも実際には69%もEV販売が下がり、構成比率は1/4程度に留まる

| 様々な事情があるものの、ボルボにとっては厳しい状況であることは間違いない | 価格戦略やモデル展開、プロモーションなど様々な対応が望まれる状況ではあるが さて、ボルボは2030年までにラインアップ ...

続きを見る

フォードは「EV1台の販売につき1550万円の赤字」。わずかしか売れないEVがガソリン車の利益を一瞬で奪い去り、未来だと思われたEVが業績の大きな「重し」に
フォードは「EV1台の販売につき1550万円の赤字」。わずかしか売れないEVがガソリン車の利益を一瞬で奪い去り、未来だと思われたEVが業績の大きな「重し」に

Image:Ford | まさかEVがこんな状況になるとは誰も想像していなかったであろう | もう少し状況が進めば「EVを売ること」がビジネス上良い判断だと言えなくなるだろう さて、フォードが2024 ...

続きを見る

テスラ
テスラはEVの製造・販売に見切りをつけ、「AI、自動運転、ロボット」を中心としたテック企業へと進化するのか?ボクがそう考える理由とは

| テスラにとって電気自動車の製造販売はひとつの「手段」でしかない | そしてテスラはより大きな目的を果たすため、新たなる一歩を踏み出すであろう さて、ここ最近大きな変化が見られるのがテスラそしてイー ...

続きを見る

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->テスラ(TESLA)
-, , , ,