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ブガッティがトゥールビヨンの「開発秘話」を語る。「限界を超えるため、すでに優れた空力性能を持つシロンをベースに、さらなる高みを目指した」

ブガッティがトゥールビヨンの「開発秘話」を語る。「限界を超えるため、すでに優れた空力性能を持つシロンをベースに、さらなる高みを目指した」

Image:Bugati

| おそらくブガッティはこのトゥールビヨンにて「最高速記録」を目指すだろう |

ただし問題は「その環境」がないことである

さて、ブガッティは公式コンテンツとしてトゥールビヨンに用いられる技術をいくつかに分けて公開していますが、今回の内容は「エアロダイナミクス」。

トゥールビヨンの開発におけるひとつの目標は「世界で最も空力的に優れたロードカーを作ること」で、これは常に「最速」であることを目指すブガッティにとっては「当然」のことなのかもしれません。

ブガッティのチーフ・ビークル・エンジニアであるポール・バーンハム氏によると、空力性能を追求する取り組みは、開発プロセスの意外にも小さな一歩から始まったといい、今回のコンテンツではブガッティのデザイン・エンジニアリングチームによって築かれた次世代ハイパースポーツカーの基盤から、数ヶ月にわたるCFD(数値流体力学)シミュレーションの実施、ブガッティの最精鋭エンジニアと空力専門家がイタリアの最先端の風洞施設に集結し、1/2のスケールにて精巧に作られたトゥールビヨンの模型を用いたテストについても言及がなされています。

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ブガッティ・トゥールビヨンの空力性能はこうやって磨き上げられた

なお、「模型」といっても一般にぼくらが想像するようなものではなく、トゥールビヨンの形状を完全に(1/2ですが)再現し、その構成部品は250以上にも登るのだそう。

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さらにはボディパネルの至る所に100以上の圧力計測ポイントが設置されているといい、この計測ポイントは質量流量の測定、静圧点、気流速度など、すべてのデータを精密に分析し、シミュレーションで予測された空力性能が実車でも正しく機能することを検証するそうですが、この段階ではバーチャル環境での最新のシミュレーション技術を駆使して開発されたデータと、実際のテスト結果の整合性を確認してゆくことになる、と説明されています。

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「このテストは、スケールモデルの初めての検証となります。ここでは、異なるデザインボリュームや形状の変更を評価し、パーツを交換しながら、高速性能を追求します。後のプロセスでは、ハンドリングの効率性や動的性能へと焦点を移していきます」

—デビッド・ショシュタリッチ(ブガッティ・リマック 空力部門責任者)

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なお、トゥールビヨンは完全な新設計ではあるものの、そのボディ形状はシロンをベースに開発されることとなり、その段階ではフロントの複雑な形状を最適化して高度なリアディフューザーを組み込み、コックピットのガラスエリアを縮小し、全体の空力特性を向上させるといった手法が採用されています。

最終的には車両全体の空気抵抗係数(Cd値)を最適化し、空気の流れを徹底的にコントロールすることによって「リアウイングを展開せずとも最高速度に到達でき、かつ安定した走行を実現すること」が可能となったようですね。

12 BUGATTI BTS Episode 6

その後さらにシミュレーションと実験データの照合が進むにつれ、トゥールビヨンの開発はスケールモデルから実車プロトタイプへと移行することになりますが、これに伴い風洞試験もスケールモデル用施設からフルサイズ車両対応の風洞施設へと拡張されることに。

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「スケールモデルの風洞実験から、実車サイズの風洞試験へと進みました。トゥールビヨンの空力性能を検証し続けるためです。フルスケールのプロトタイプを使用することで、シミュレーションツールのキャリブレーションをさらに正確にし、より精度の高いデータを取得できます」

「トゥールビヨンは完全にゼロから開発された新プログラムです。私たちは、100年以上にわたる内燃機関のノウハウと、最先端の電動性能を融合させました。新しいハイブリッドシステムは、これまでのブガッティとは一線を画すものであり、冷却システムも非常に複雑になっています。そのため、フロントのラジエターチャネルから、アイコニックなブガッティCラインの後方インテークまで、気流を細部まで徹底的に解析し、デジタルシミュレーションと実車の整合性を確保しています」

「トゥールビヨンの開発に関わったすべてのチームは、完璧を追求することに全力を注いできました。このクルマは、自動車業界の新たなベンチマークとなるでしょう。その開発に注がれた技術力と情熱の結晶です」

 ポール・バーンハム(ブガッティ チーフ・ビークル・エンジニア)

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ブガッティは「世界でもっとも速く走ることができるクルマ」のひとつではありますが、速く走るには「ハイパワーなエンジン」だけでは足りず、空力性能が低ければ時速300キロを突破することすら叶わず、さらにはコーナリング性能の低下や、高速時の不安定な挙動、さらにはオーバーヒートのリスクも発生します。

よって「速く走れるクルマ」を作ることは非常に難しく、しかしブガッティは長年培ったノウハウにてこういった問題をクリアしており、それは数々の記録にて立証済み。

そして「まだ語るには早い」ものの、シロン以上の空力性能そしてパワーを誇るトゥールビヨンが驚異的な記録を打ち立てる日が来るのを心待ちにしたいと思います。

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参照:Bugatti

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