ポルシェが911カレラGTSに積まれるハイブリッド用バッテリーメーカーを買収、今後は「バッテリービジネス」へと参入。今後は自社でバッテリーの開発、製造、他社への供給が可能に

｜　ポルシェはこれまでにも様々な会社を買収している　｜

これで918スパイダー後継「ピュアエレクトリックハイパーカー」の実現に一歩近づいたか

さて、ポルシェは将来的に「自動車ビジネスのみでは会社が成り立たない」として様々な方面へと触手を伸ばしており、その過程ではソフトウェア会社、マイクロモビリティカンパニーなど買収しているほか、多様な業種へと出資を行っています。

そして今回、ポルシェは「911カレラGTS」にて初めて導入された軽量ハイブリッドシステム「T-ハイブリッド」用バッテリーを製造する「V4ドライブ Gmbh」を買収したと発表。

より正確に言うならば、ポルシェはこのV4ドライブを、その親会社であるVARTA AGから取得し、今後「V4スマート」へと社名を改めて自動車用途以外にもこの高性能バッテリーセルを提供することとなるのだそう。

ポルシェはバッテリー生産を加速

V4スマートの高性能リチウムイオンバッテリーセルは、現在ドイツ・エルヴァンゲンの施設で生産されており、しかしポルシェはすでにバッテリー技術センターがあるノルドリンゲンにも新たな生産ラインを建設中だとも述べていますが、こちらは4月から生産を開始する予定であることにも言及しています。

買収発表直後に「もう工場建設」というのはやや奇妙ではあるものの、実はこのエルヴァンゲン工場は、V4スマートの買収前からポルシェの関与によって設立されたという経緯があるようで、今後は両施設において高い効率と品質を維持しながら生産を進めるとみられています。

今回の買収により、ポルシェはバッテリーのセル開発、設計、生産のすべてを自社で管理できるようになり、これにより「顧客により優れた製品を提供できる」述べていますが、この「顧客」とはハイブリッド車を購入するユーザーのほか、バッテリーを必要とする法人も含まれていると思われ、可能性としては、

• フォルクスワーゲン・グループ内の他ブランド（アウディ、ベントレーなど）
•  航空・海洋分野への応用（ポルシェは低空経済にも興味を示している）
•  住宅用バックアップ電源（テスラのパワーウォール、ジェネシス・ホームのような家庭用バッテリー）

などが考えられます。

また、コンパクトで高エネルギー密度という特徴を持つV4スマートバッテリーは、他のポルシェ車にも展開される可能性が高く、いっそうのパフォーマンス向上を見込むことができそうですね。

参考までに、ポルシェ718ケイマン・ボクスターのEV版に搭載する予定であったバッテリーのサプライヤー、ノースボルトが倒産したことでポルシェの電動化計画が大きく遅れたとも報じられており、今回の買収は「外的要因に左右されず、自分ですべてをコントロールしたい」と考えたためなのかもしれません。

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