
| たしかにここ最近のボルボは「ワゴンボディを発売していない |
ワゴンで有名になったボルボがまさかワゴンを捨てるとは
さて、新型車「ES90」を発表して話題を呼んでいるボルボですが、そこでふと思ったのが「そう言えば最近のボルボはワゴンボディを発表してないな」ということ。
ボルボは長い間ワゴンボディを提供しており、世界的には「ワゴンボディでツーリングレースに参戦したり」、日本だと「キムタクが愛用したことで」幅広い人気を博しています。
そして今回、ちょうどボルボCEO、ジム・ローワン氏が「ワゴン」について語る機会があったのですが、それは「ワゴンを投入する」というものではなく、なんと「もうワゴンはラインアップに必要ない」という衝撃発言に始まっています。
ボルボの未来予想図に「ワゴン」はない
この発言はカーメディアによるインタビューの最中に出たもので、ジム・ローワンCEOによれば「市場はSUVに有利に変化している」「ラインアップにワゴンを含める未来は想像しにくい」「SUVとセダンのさまざまなバージョンに焦点を当てていく」。
ボルボは今年5つのニューモデルを発表する予定ではあるものの、その中にワゴンはなく、「新しいモデルを市場に投入するのは高くつきます。同じプラットフォームとボディ形状を使って、ボリュームを増やすほうがコスト効率が良いのです」という説明とともに、ワゴンボディが正式に「廃止された」と認めることに。
これはボルボ=ワゴンという認識がある世代にとっては衝撃の発言ではありますが、たしかに現在ワゴンは「スポーツカー以上に」ニッチとなっているため、やむをえないことなのかもしれません。
よってボルボは今後、投入済みあるいは直近にて投入するモデルに「ブラックエディション」「クロスカントリー」といった、(既存モデルと競合しにくい)ターゲットを絞ったバージョンを提供することに焦点を当てることになりそうですが、ワゴンによって構築されたブランドだけに、それを潔く捨てるといった決断には心地よさすら覚えます。
Image:Volvo
ただ、今回はボルボUKの商業ディレクター、ロバート・ディーン氏が興味深い発言を行っていて、それは2023年に(ワゴンボディの)V60とV90の生産を中止したことを「間違いだった」と語ったこと。
「我々からワゴンが提供されないとなると、消費者は他社のワゴン車を買ってしまう」とロバート・ディーン氏は語り、アウディやBMW、あるいはメルセデス・ベンツのワゴンに市場を奪われたことを暗に示唆していますが、今からワゴン市場に再参入したとしても「これらに勝つことは難しい」という予測も(ワゴンを今後展開しないという決定に)影響しているのかもしれませんね。
そしてジム・ローワンCEOはこの発言を引き継ぐ形でボルボが戦略的に焦点を絞っていることを強調し、「どこで戦うかを非常に意識的に選んでいます。差別化を図るのはSUVです。優れた乗り心地、高い視点に高い安全性があり、競争相手に対してその地位を守れると考えています。あまり多くのモデルに気を取られるよりも、これを守る方がずっと簡単です」とコメントし、この決定が”選択と集中”の結果であることにも触れています。
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参照:Car Expert