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ブガッティ・トゥールビヨンはなぜターボを使用せずV16自然吸気+ハイブリッドを採用?その真意とは

ブガッティ トゥールビヨン

ブガッティ、伝統のW16ターボから脱却。選んだのは「V16自然吸気×ハイブリッド」

ブガッティ・リマックCEO「ターボは有効な解決策ではない」

ブガッティは新型ハイパーカー「Tourbillon(トゥールビヨン)」にて、長年採用してきたW16クワッドターボエンジンを廃止し、その代わりとして自然吸気V16エンジン+3モーター式ハイブリッドという全く新しいパワートレインを導入しています。

このV16ユニットは、英国の名門エンジンメーカー、Cosworth(コスワース)と共同開発されたもので、最高出力はエンジン単体で1000馬力、さらに電動パワーで800馬力が追加され、総出力は驚異の約1800馬力にも達します。

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なぜターボではなく自然吸気なのか?CEOメイト・リマックの哲学

この「自然吸気」エンジンを採用した理由につき、まずブガッティ・リマックのCEOであり、リマック創業者でもあるメイト・リマック氏は「ターボ+ハイブリッド」という組み合わせに否定的な見解を持っているもよう。

「ターボはそもそも妥協の産物。自然吸気エンジンの方がピュアだし、ハイブリッドで十分に補える。ターボハイブリッドは意味がない」
──メイト・リマック

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実際、自然吸気に切り替えたことで600馬力を失ったものの、3基の得てくトリックモーターと24.8kWhの大容量バッテリーによってパワーは完全に補われ、EV走行可能距離は約70kmを確保することで完全にライバルを凌駕します。

もともと「ターボ」は排気量の小さいガソリンエンジンのパワーとトルクを補うために利用されることが多く、その目的を長きにわたり果たしてきたものの、「ターボラグ」「熱」など特有の問題も。

ブガッティ・トゥールビヨンはもともと「W16」の予定だった。ただしコスワースの「W16は高回転自然吸気に向きません。V16で行きましょう」の一声でV16に決定【動画】
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しかし「電動化」という選択肢が登場した現代において、わざわざターボチャージャーを使用せずとも、エレクトリックモーターをターボと置き換えたり、タービンをエレクトリックモーターにて駆動するという「電動ターボ」の使用によって”より効率的な”パッケージングを実現できる可能性があり、いまやターボにこだわる必要はないのかもしれません(ただし高価・複雑なエレクトシックシステム構成を避け、ターボラグを小さなモーターとバッテリーで補いうというコンパクトなハイブリッドシステムという考え方は有用である)。

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ブガッティがトゥールビヨンの「開発秘話」を語る。「限界を超えるため、すでに優れた空力性能を持つシロンをベースに、さらなる高みを目指した」
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トゥールビヨンの性能スペックは?0-100km/h加速2秒未満、最高速度は430km/h超え

ここで「エレクトリックパワーによって」進化を遂げたトゥールビヨンのパフォーマンスをおさらいしてみると、ざっと以下の通り。

さらには加速や最高速度だけでなく、自然吸気エンジンを搭載するということで「音」や「感覚」の面でも、従来のハイパーカーとは一線を画す走行体験が期待されています。

  • 0-100km/h加速:約2.0秒
  • 最高速度:430km/h以上
  • 駆動方式:全輪駆動(AWD)
  • バッテリー容量:24.8kWh
  • EV走行距離:約70km
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これが「84年ぶりに量産車に搭載される」V16エンジンのサウンド。ブガッティCEO自らがトゥールビヨン試作車のエンジン音を披露【動画】
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今後の派生モデルに関しても構想中?ロードスター版やRWDモデルの可能性も

現在ブガッティはトゥールビヨンのオープンモデル(ロードスター)を開発していることが知られていますが、メイト・リマック氏はそれ以外にも様々な派生バージョンの可能性について言及し、しかし「ガソリンエンジンオンリー(非ハイブリッド)」仕様の市販化は当面予定されておらず、ハイブリッドシステムが車両全体の軽量化や電装設計において中核的役割を果たしていることも明かしています。

「ハイブリッドを最小化したバージョンや、前輪駆動を排除した後輪駆動モデルも技術的には可能。ただしターボ化は考えていない」

ブガッティ・トゥールビヨンを「もっとも詳しく」解説する動画が登場。それにしてもトゥールビヨンは見れば見るほど、知れば知るほどスゴいハイパーカーである
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トゥールビヨンの生産はいつから?プロトタイプ35台が先行、量産開始は2026年予定

このトゥールビヨンにつき、まずは35台のプロトタイプが先行して製造され(すでに中東ではプロトタイプが目撃済み)、それを経て2026年から正式に市販生産が開始される予定。

また、V16を搭載した4ドアモデル(セダンまたはSUV)の可能性については、「ノーコメント」を貫いており、現時点では計画がなされていないようですね。


結論:ターボ依存からの脱却。ブガッティの次なる哲学が始まる

ブガッティ・トゥールビヨンは、伝統と革新が融合した超弩級ハイパーカー。

W16ターボという過去の栄光に頼ることなく、新時代に相応しい軽量・高出力・高効率なハイブリッドシステムを採用したことで、よりピュアで感覚的な走りを実現しています。

まさに「ハイブリッド=妥協」ではなく、「ハイブリッドでしか得られない体験」を提供する一台だといえそうです。

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参照:Top Gear

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  • この記事を書いた人

JUN

2013年より当ブログを運営中。 国産スポーツカー、ポルシェ、ランボルギーニ、フェラーリ等を乗り継ぎ現在に至ります。 単なる情報の記載にとどまらず、なにかしら自分の意見を添え、加えてクルマにまつわる関連情報(保険やメンテナンスなど)を提供するなど「カーライフを豊かにする」情報発信を心がけています。 いくつかのカーメディアにも寄稿中。

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