| ブガッティ・トゥールビヨンの真髄はそのパフォーマンスを達成するための「エンジニアリング」にある |
さらには卓越した芸術性、そしてクラフトマンシップによって「100年後にも色褪せないクルマ」に
さて、YouTube上には様々なブガッティ・トゥールビヨンを紹介する動画が存在しますが、今回はおそらく「もっとも詳しく、そしてその細部に至るまで」解説した動画が登場。
この動画を公開したのはEVOマガジン創業者にして「農夫」「ユーチューバー」という肩書を持つハリー・メトカーフ氏です(同氏はランボルギーニ・カウンタックなどクラシックスーパーカーを多数所有しており、かつ自身の足として実際に乗っている)。
-
「農夫とユーチューバー」を両立させ、ポルシェほかランボルギーニやフェラーリなどスーパーカーの大規模コレクションを手に入れた男がいた!Evoマガジン創業者はこんな人
| Evoマガジン創業者、ハリー・メトカーフがそんなバックボーンを持っていたとは | 様々な方面で成功しているところを見るに、商才があったのは間違いない さて、自動車関連記事を漁っていると必ず出くわす ...
続きを見る
ブガッティ・トゥールビヨンの細部はこうなっていた
そこでハリー・メトカーフ氏がやってきたのはフランスはアルザスにあるブガッティ本社。
そこではトゥールビヨンの完成車に加えてベアシャーシが展示されており・・・。
その構造を見るに、ヴェイロンやシロンよりも(サーキット走行専用モデルの)ボリードに近いもよう。※スーパーカーやハイパーカーに多い「カーボンファイバー製バスタブシャシーにアルミ製モノコック」ではなく、前後サブフレームまでカーボンファイバー、かつリアセクションではそれらが一体化しているようも見える
-
ブガッティがサーキット走行専用ハイパーカー、ボリードの設計/安全要件を公開。ル・マン用レーシングカーを超える剛性を持ち、消火システムはなんと「軍用スペック」
文字通り「比較されるようであれば、それはブガッティではない」を地でゆくハイパーカー、それがボリード | ブガッティはどんな小さなことにも妥協を許さず、規制の範囲を超えて最高を目指す さて、ブガッティは ...
続きを見る
そしてこちらがトゥールビヨンの核でもある「自然吸気V16」。
従来のW16エンジンに比較して「数十センチも長い」そうですが、それでも重心を最適化し、車体サイズを最小限に収めるため「キャビン側にめり込む」ように取り付けられています。
-
ブガッティ・トゥールビヨンはもともと「W16」の予定だった。ただしコスワースの「W16は高回転自然吸気に向きません。V16で行きましょう」の一声でV16に決定【動画】
Bugatti | 結果的にこのV16エンジンはブガッティにとって「正解」であったのだと思われる | そしてこのV16エンジンはほかのどの自動車メーカーであっても真似はできないであろう さて、ブガッテ ...
続きを見る
このエキゾーストシステムの位置を見ても「どれだけエンジンが前にあるか」がわかろうというもので、しかしなぜ「上方排気」としなかったのかは不明です(そのほうがより軽くコンパクトに作ることができ、リアディフューザーの設計自由度も向上する)。
そしてリアエンドはこう。
一般的なスーパーカーやハイパーカーのように「リアアクスルの後ろからディフューザーを巻き上げる」のではなく、トゥールビヨンでは車体中央(シート下)あたりから斜めに(後ろに向かって)ディフューザーの角度がつけられており、これもボリードと同じ構造ですね(そう考えると、ボリードの開発は非常に大きな意味があった)。
ブガッティ・トゥールビヨンの設計は「既存の概念」を超えていた
フロントセクションはアルミ製サブフレームとカーボンファイバーにて構成され・・・。
これがウワサの「AIによる設計、3Dプリンタによって製造されたサスペンションアーム」。
これは米ジンガーによって開発されたもので、その創業者であるケビン・ジンガー氏は別途この技術を専門的に開発する会社「ダイバージェント」を設立し、このトゥールビヨンのサスアームもまたダイバージェントの共同開発によって生み出されたパーツです(マクラーレンもダイバージェントとの提携を発表しており、今後同様のパーツが一般化するのかもしれない)。
-
【動画】ハイパーカーはここまで進化した!AIによる設計、3Dプリンタにて製造される1250馬力のジンガー21Cがスゴかった
| 一瞬、キワモノかと思ったが | さて、今年3月に発表されたハイパーカー、「ジンガー21C」。このジンガー(Czinger)はポルシェのレストアそしてカスタムで有名なジンガー(Singer)ビークル ...
続きを見る
そしてエンジンへとエアを送るパイプ、そしてエアクリーナーボックスは「ボディと一体化」。
こうやって見ると、トゥールビヨンのパーツは「車体構造とボディパネル」とにシームレスに結合し、その結果によって無駄なくスペースを活用し最大の機能を発揮しているようにも思えますが、このあたりが以前にブガッティのデザイナー、アキーム・アンシャイト氏が「ブガッティのデザイナーは、エアロダイナミクスなど”表面”だけではなく、車体の構造や機能などすべてについて理解しておく必要がある」と語った部分なのかもしれません。
-
ブガッティがトゥールビヨンのデザイン決定過程を語る。「我々のクルマは100年後にも輝きを失ってはならないので、過去100年で色褪せていない技術に目を向けました」
| たしかにブガッティの考えることは「もっとも」である | このブガッティ・トゥールビヨンが実際の100年後に「どう見えるのか」は非常に興味のあるところである さて、ブガッティのチーフデザイナーはアキ ...
続きを見る
そしてもちろんインテリアにおける最大の特徴、「ステアリングホイールとメーター」についても解説がなされます。
ただ、ちょっと残念なのはエンジン始動プロセスが詳しく紹介されていないことで、ブガッティのいう「昔のクルマのエンジンスタートに必要であった”儀式”を取り入れた」という動作をどこかで見てみたいものですね。
ブガッティ・トゥールビヨンを事細かに解説する動画はこちら
合わせて読みたい、ブガッティ・トゥールビヨン関連投稿
-
ブガッティが新型ハイパーカー「トゥールビヨン」発表。伝統のW16エンジンではなくV16エンジンを積み、その命名もレーシングドライバー由来ではなく腕時計の複雑機構から
| その外観こそはシロンに近いように思えるが、コンセプト、エンジニアリング、クオリティはまったく別のクルマである | これまでブガッティが作ってきた数々の派生モデルのノウハウがここに生かされているよう ...
続きを見る
-
ブガッティ・トゥールビヨンの「上に開くドア」はデザイン的側面ではなく機能上の理由からだった。「あれは、ドレスを着た御婦人が降りるときに”変な格好”をしなくてすむようにです」
Image:Bugatti | エレガントに乗降できるというのもブガッティにとっては「立派な機能」である | さらにトゥールビヨンはシロンよりも全高が低く、通常のドアでは乗降が困難になっている さて、 ...
続きを見る
-
新型ブガッティ「トゥールビヨン」は限定250台、その価格は6.5億円。「我々は次の世紀にも芸術品として評価されるためにあえて困難な道を選びました」。そこに採用される技術とは
| トゥールビヨンはヴェイロンよりもシロンよりも「ブガッティ」なハイパーカーである | これほどまでにブガッティの思想を体現したクルマは さて、ブガッティは先程「限定台数250台、価格6億5000万円 ...
続きを見る
参照:Harry's garage(YouTube)